非国民通信

ノーモア・コイズミ

日本ではよくあること

2008-09-02 22:41:13 | ニュース

 福田総理が辞任しましたね。予測できませんでした、虚を突かれました。いくら何でもこのタイミングはないでしょう。奇しくも前任者と同じ様な、いきなり政権を放り出すような無責任な辞め方です。まさか安倍に続いて福田もか、と。まぁ、ああ見えて意外にキレやすいタイプのようですから、突発的に何かをやらかす可能性は前々からあったのかも知れません。

石原知事、福田首相を酷評「理念や情熱感じない」(朝日新聞)

 「あの人やる気あんのかね。理念を感じないよ。それに伴う言葉がなく、情熱が感じられない」。東京都の石原慎太郎知事は2日、辞意を表明した福田首相を批判。その一方、森元首相について「重厚になって成熟してきた。小沢党首と正面切って太刀打ちできるのは体重からいっても彼じゃないか」と語った。

 慎太郎さんならずとも、この突然の辞任には苛立ちを感じるところでしょうか。情熱でどうこうという問題でもありませんが、ともあれ無責任な行動を非難する気持ちは自民支持層、非支持層共にあるはずです。なぜそこで森元首相が出てきたのか、そこだけは不思議に思うわけですが。

「なぜリーダー支えぬ」橋下知事、首相に同情(朝日新聞)

 「なぜ自民党の皆さんが自分たちのリーダーを全力で支えないのか」。大阪府の橋下徹知事は2日朝、福田首相の辞任表明の感想を報道陣に問われ、こう語った。

 橋下知事は「首相1人で何でもというのは大変」と福田首相に同情し、「批判は簡単だが、何でここまでやらんとあかんのやろうと思ったら、やる気がなくなるのは当然」と胸中を察した。

 一方、やけに福田総理に同情的な人もいますね。どこに感情移入するかの違いでしょうか。都合の悪いことは他人のせいにする東西の暴君達ですが、慎太郎さんの場合は外から福田首相を見ているので「急に責任を投げ出すなよ」と、至極当たり前のところに落ち着くわけです。しかるに橋下の場合は福田首相に少なからず感情移入しているようで、「トップが悪いんじゃない、部下が悪いんだ!」と非難の矛先が別の方向を向いています。彼の世界観が如実に現れた発言ですね。

民主・小沢代表「麻生はやりやすい 一刻も早く解散を」(朝日新聞)

 民主党は2日午前、党本部で小沢代表、鳩山由紀夫幹事長、山岡賢次国会対策委員長らが今後の対応を協議した。小沢氏は「野党に政権を譲るよう主張していく。(次の内閣は)選挙管理内閣なんだから、一刻も早く解散をして信を問うことを求める」と幹部らに指示。代表選が無投票の場合、21日の臨時党大会までに第1次公認内定者を発表することを確認した。小沢氏は「麻生はやりやすいぞ」とも語ったという。

 慎太郎さん、橋下と来て、トリは小沢代表です。曰く「麻生はやりやすいぞ」と。まぁ、やっぱり後任は麻生幹事長が最有力なんでしょうか、世も末という印象がないでもありませんが、小沢代表に言わせれば「やりやすい」相手のようです。

 たぶん麻生は安倍と同じタイプで支持層からの期待だけは超一流、しかるに表舞台に立つと途端にメッキがはがれて凋落していく、そんな気がします。前回の総裁選でも明らかなように、党員ではない自民党支持層の支持こそ強いものの、党の中枢に近づくにつれて支持が減ってゆく、政権基盤の弱い政治家でもあります。自滅するのを待っていれば済むのなら、やりやすい相手に違いありません。このまま麻生氏が自民党の切り札のごとく期待を集めたままでいるよりも、一度はトップに立たせて、そこでボロを出させて安倍氏のように失墜してもらった方が今後のためかも知れませんし。

 とはいえ、それが一時的であるにせよ自民党支持が盛り返す虞は否定できません。人生にリセットボタンはないとよく言われますが(これは単に日本社会が「やり直し」を許さないからとも言えます)、自民党にはリセットボタンがあります。たとえどれほど支持が落ち込んでいても、ちょっと顔ぶれを変えて看板をかけ直せば、それだけで過去の負の業績は忘れ去られ、一気に支持の盛り上がるのが通例です。つい先日まで自民党を見限っていたはずの人が、その自民党を見限った過去は切り捨てて新装開店した自民党を再評価する、日本ではよくあることです。

 自民党政権が支持を失い、良い感じに弱ってきたなと思っていた矢先のこの椿事、果たしてどう展開するでしょうか。自民党政権が倒れて新しい政権ができる、だけどその新しい政権がどうなるかに不安が残る、そう思っていたところに予想外の事態発生です。自民党が一時的に盛り返し、その勢いで選挙に持ち込まれると、せっかく育ってきた自民党政治への懐疑も押し流されてしまう、小沢代表は少なくとも表向きは強気ですが、ふーむ、油断は出来そうにありません。

 

 ←あなたとは違うんです


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9 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-09-02 23:09:28
正直、選挙での一時的な効果はありそうなだけに「やりやすそう」というのは意外でした。
小沢氏も福田麻生どっちに近いかと言えば麻生氏に近そうな性格ですから、状況なんかも読みやすいのでしょうかね。
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Unknown (非国民通信管理人)
2008-09-02 23:42:37
>Unknownさん(ハンドルネームは忘れずご記入下さい)

 福田よりも麻生の方が、より短慮といいますか、扱いやすい、組みしやすいと感じるところもあるのかも知れませんね。とはいえ、一時的な支持の盛り上がりをいかにやり過ごすか、この辺は課題になりそうです。
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一時的かどうかは? (怪人20面相)
2008-09-02 23:44:42
自民党支持が盛り返すのは確実でしょう。
安部さん、福田さんの時のようにすぐに凋落する場合。
小泉さんの時のように持続する場合があります。
また、今回も登場の石原知事、彼は、あれだけのボロ、失言がありながらいまだに凋落しまん。
それにしても麻生さん、森さん、小沢さん、石原さんといずれも元はとえいば自民党出身者ばかり、政治信条も極右や新国家主義者。どうして右系、保守系の人ばかりが登場するのでしょうか。
左系、革新系の人の名前が挙がらないところに、登場しないところに日本の悲劇があるように思います。

一方にかたよっていてあまりにもアンバランスですよね。これじゃ民主主義が成熟するはずがない。
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私は「油断できない」どころか危惧さえ感じてしまいます。 (アダモ)
2008-09-03 01:05:41
拝啓、非国民通信管理人様。いつも私の長くて拙いコメントにも丁寧にお答え頂きありがとうございます。

さて、本日の記事に関してですが、ポイントは「自民党にはリセットボタンがあります。たとえどれほど支持が落ち込んでいても、ちょっと顔ぶれを変えて看板をかけ直せば、それだけで過去の負の業績は忘れ去られ、一気に支持の盛り上がるのが通例」だということにあるでしょう。

私はこの管理人様の分析と合わせて考えると、おかしな陰謀論が浮かんでしまうのです。

どういうことかと申しますと、「今回の福田首相の辞任はどこか『タイミングのよさ』を感じてしまう」ということです。

先月の29日に民主党から参院議員が2人離党し、「姫の虎退治」で名をはせた姫井由美子氏が離党表明を撤回するという事件が起きました。この事件で民主党が受けたダメージは決して小さくはないはずです。それを見越して(極めて浅はかですが)の辞任にも思えてくるのです。

そして私はタイトルどおり「油断できない」どころか危惧さえ感じます。総裁として有力視されてるのは麻生氏ですが、自民党は「マダム寿司(センスのかけらもないジョークですが)」こと小池百合子の擁立も考えているようです。

麻生氏か石原伸晃氏が総裁になれば、「表舞台に立つと途端にメッキがはがれて凋落していく」ことでしょう。しかし、小池氏ならどうでしょうか?

もし、小池氏が総裁になれば「日本初の女性総理」となるわけです。これはある意味、「これまでにない型破りな政治家」の誕生です。もちろん、私は女性が総理大臣なること自体に反対しているわけではありません。

しかし、今回の総裁選で「マダム寿司」が総理となったばあい、「画期的」ゆえに「熱狂的な支持」を獲得し、自公政権が当面温存されてしまう気がするのです。

この私の危惧が的外れな杞憂に終わることを祈るばかりです。

後、「D層にふさわしい言葉」ですが、本日は思いつきませんでした。また、思いついたら提案させていただきます。

最後に蛇足ですが、今回の福田首相の辞任に関して産経の社説が(福田首相にとっては!)非常に感動的なので、ご紹介しておきます。

【主張】福田首相辞意 空白抑え強力な政権を 党利党略超えた政治に戻せ:
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080902/plc0809020314009-n1.htm

以上、乱長文にて失礼しました。
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国民の支持とは (さら)
2008-09-03 03:51:21
そういえば、橋下知事は関空とWTCに関する世間の反応が今一だったからか、新しい敵(抵抗勢力=教育委員会)を作り出すパフォーマンスに打って出ています。

例によって多くのブロガー達はビジョンがない無能な教育委員像を根拠に叩き始めていまして、橋下としては思惑通りの結果といったところでしょう。

実際のところ叩く理由や根拠は、マスコミを引き連れての委員の糾弾というパフォーマンス色の強いものや、学力テストの都道府県別成績の結果という本来の趣旨を外れたもので、少し冷静に考えればおかしい話なんですが支持する人々にとって大したことではないんでしょう。

自分のところの職員を敵に仕立てるといった、反撃のリスクを背負わずに支持を得る手法は政治家として実においしい話で、根拠や中身、結果まで伴わなくてもOKならば後に続く者が出てきてもおかしくありません。実際、職員給与の削減などは自治体首長のちょっとした流行になりつつあります。

普通ならば本間氏の顧問採用に何の倫理的問題点も感じないことは、相当市民感覚とズレガあるはずなんですがマスコミもすべてスルーです。衆愚政治という言葉は本来嫌いな言葉なんですが、府民(国民)感覚や支持というものとは一体なんなんだろうと思ってしまいます。
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麻生は軽い (osekkai)
2008-09-03 08:08:56
小沢が麻生うんぬん。
私もそうみました。民主離党問題で、麻生「一年後、その時歴史が、うんぬん」にやーっと、
町村は、雪崩現象をきたいするような発言、TVで。
がっかりしました、雑魚を引き抜いて喜んでる政権
幹部、あまりにも軽すぎる。
日本の将来を任せられる人たちではないと思いましたよ。町村の地元では彼のあだ名は「ほら吹き町村」ですからね。
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左系、革新は国民は望みません (sakai)
2008-09-03 08:43:18
日本は経済立国、だが政策で競い合う保守系二大政党
を望みます。農業政策、国民の生活問題、もちろん経済も大切、お互いに政策で競い合う、国民がそれを判断する、それが民主主義と思います。
50年前、私の友人に、バリバリの共産党員がいました、彼が右に転向しましたその理由は、人類の行き着く所の目標は皆同じ、自由主義の方が早いと、、世界情勢はどうでしょうか。冷戦時代のソ連、中国、を
北朝鮮は。しかし右、左でもない、第三の宗教国家の問題が。

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麻生氏といえば (Bill McCreary)
2008-09-03 22:32:39
何といってもあの野中氏への超問題差別発言ですね。なんでも、野中氏がこのことをあらためて持ち出すとかなんとか。どうなるかは不透明ですが(当然麻生氏は発言を否定します)、なかなか興味深いところです。
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Unknown (非国民通信管理人)
2008-09-03 23:41:34
>怪人20面相さん

 たしかに、ボロを出しても凋落しない人がいますから油断はなりませんね。安倍の場合は北朝鮮との関係くらいしか支持率を稼ぐ武器がなく、北朝鮮がおとなしくなったら支持も低迷しましたが、麻生の場合は、どれだけ引き出しを持っているのでしょうか。石原よりは安倍に近いと思いたいですが……

>アダモさん

 なるほど、麻生が有力視されるとはいえ、小池百合子も無視は出来ませんね。麻生であれば従来の極右層の支持を盛り返すことが懸念されるわけですが、小池百合子であれば、それとは別に新たな支持層を獲得してしまう可能性がある、小泉が従来の自民党支持層とは違う層の支持を掘り起こして暴政を奮ったように、小池百合子がその再来になってしまうことも有り得ますね。それもまた最悪のシナリオですが……

>さらさん

 結局、この手の政治家の支持の源は、いかに敵を作り、それを攻撃することで「正義の味方」のフリをするか、そこにありそうですね。有権者と一緒になってバッシングに走る、その先頭に立つことで「国民/府民の目線に立った」政策と騙る、瞞す方も瞞す方ですが、瞞される方にも……

>osekkaiさん

 まぁ、今の自民党で要職に取り立てられるからには、それだけの無能さがあるということなんでしょう。まともな政治家なら傍流に追いやられるか、資格を差し向けられるのがオチですから。

>sakaiさん

 私は望んだ憶えはありませんよ?

>Bill McCrearyさん

 私も過去に掲載したことがありますが、どうなるでしょうかね。元より麻生など支持しない人間は今後も支持しないでしょうし、麻生を支持しているような人間は差別発言を気にしないどころか拍手を送る、石原の場合のように、暴言を吐いても支持層は固いまま、そういう可能性もありますし。知れば判断を変える、そういう有権者が多ければいいのですが。
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