心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

便利さと幸せ度を天秤にかける

2013-02-03 09:48:03 | Weblog
 朝、庭の隅っこに小さな小さなフキノトウの芽を見つけました。2月も初旬だというのに春めいた陽気に誘われたのでしょう。「もう少し眠ってなさいよ」。机の前の窓を開けると、冬の朝の陽が街を照らし始めています。新しい空気を迎え入れました。
 そんな2月最初の日曜日の朝は、珍しく「Bill Evans - A Tribute」のLPに針を落としながらのブログ更新です。硬直した脳ミソに適度な刺激を与えたい、そんな気分ですが、学生の頃はよくジャズ喫茶に籠ったものでした。

 そうそう、「タマネギと人間」に添えた写真2点、ある方から「あれはなんですか」というご質問。なあんにも意味はありませんよ。村上春樹の「ノルウェイの森」を読んでいて、ついついPCの中から探し出した写真を添えただけのこと。ずいぶん前になりますが、左はフランクフルトの道端で出会った大道芸人のピエロさん、右はハイデルベルク城界隈で撮ったものでした。
 週末の新幹線の中で「ノルウェイの森」の下巻を読み終えました。なんだかふわあっとした、行き場のない心が宙を舞っていました。村上春樹の小説って、いつもこうなんです。いやいや、妙に結論や意味を求めすぎるのかも知れませんね。君は小説の楽しみ方を知らないんだよ。ありのままをそのまま受け止めることが大事なんだよ。「1969年」が脳裏にこびり付いて離れません。もう44年も前のことです。あの頃はあの頃で悩み多き多感な時代でした。

ところで話はがらりと変わりますが、購入して半年も経たないデスクトップの調子がおかしくて、修理に出しました。Windows7が起動しないのです。いろいろ弄っているとなんとなく起動する、そんな不具合が続いていました。製造元のテクニカルサポートセンターの教えに従順な私です。Cドライブのエラーチェックやシステム復元、BIOSの操作など、初老にとっては恐ろしい作業を次々に試みました。最後はリカバリーまで行ったのですが、埒があきません。
 結果は、HDDの故障でした。保証期間中だったのでもちろん無償で新品に変えていただきましたが、運が悪かったということです。でも、思いました。技術の進歩に高齢者はどこまでついて行けるのかと。世の中、便利になればなるほどブラックボックス化が進みます。
 先週末、縁あって福祉機器開発の最前線を覗いてきました。手足が不自由になっても、微妙な生体信号を捉えて人工の手首を動かすことができる。寝たきりになっても、ちょっとした身の回りの動作は自分でできる。PCと会話さえ楽しむことができる。なんだか夢のような世界です。でも私は、「お風呂が沸きました」と無機質な声で叫ぶ我が家の給湯システムを思い浮かべてしまいました。便利さと幸せ度は、少し違うような気がしないでもありません。
 なるほどなあと思ったのは、「シーズよりニーズ」という言葉でした。シーズを人の役に立てようという上から目線と、困っている人がいるから解決しようという下から目線。どちらも大切ですが、ちょっとした視点の違いが利用する者の幸せ度を左右するのかもと、そんな他愛ないことを思ったものでした。かくのたまう私も、いずれ「技術」の恩恵に預かる時が来ます。

 さあて、きょうは節分の日です。家内と二人で厄払いでもしましょうか。
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