心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

春分の日の京都

2015-03-21 22:54:54 | Weblog

 長かった雨のトンネルを抜け、春の陽が暖かく降り注ぎます。そんな心地よい週末、久しぶりに京都に出かけました。お目当ては、京都大学こころの未来研究センター主催のシンポジウム「超高齢社会を健やかに幸せに生きる」でした。
 三条大橋から鴨川河畔を歩いて北上し、荒神橋のたもとにある稲森財団記念館をめざします。途中でベンチに座って川面を眺めたりして、のんびりと春の陽を楽しみながら、20分ほど前に会場に到着です。既にたくさんの方々がお集まりでした。そのほぼ全員がシニア世代、さもありなん。
 ここ数年、ブータンの幸福度に関心があって、今回も坂本龍太助教の報告「ブータンからの叡智~幸せに生きるとは~」に興味をそそられての参加です。発表のスライドを見ていると、古き良き時代の日本の現風景とブータンの風景が重なって見えます。急速に進む時代の変化に、ある種の違和感をもつ私にとっては、人生の総仕上げとしての課題が迫ってきます。なによりも、ひとつのプロジェクトに思想がある、哲学がある、そんな印象を強く抱いたシンポジウムでした。会場の入口にあった特設書籍売り場で、坂本先生の著書「ブータンの小さな診療所」(ナカニシヤ出版)を買って帰りました。
 この日は夕刻、先にお買い物をしていた家内と京都高島屋で合流しました。そして、琳派400年記念「細見美術館 琳派のきらめき-宗達・光琳・抱一・雪佳-」を覗きました。私が知っているのは俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一ぐらい。一方の家内はひとつひとつを丁寧に眺めておりました。その横で私は、伊勢物語の図色紙、「大淀」「業平の東下り」などを興味深く眺めておりました。そのあとは、二人で京の夜を楽しみました。
 ところで、今日の鴨川河畔はお天気もよく、水面には鴨の家族が群れていました。すると、どこからともなく聞こえてきたのが童謡「春よ来い」でした。お母さんと一緒に小さな子たちが声を張り上げて歌っていました。シンポジウムの会場をめざしていた私ですが、そのほのぼの感に、しばしベンチに座って家族の様子を伺っていました。
 童謡「春よ来い」を作詞したのは、「カチューシャの唄」や「早稲田の西北」の作詞で知られる相馬御風です。学校の校歌もずいぶん手がけました。6年ほど前になるでしょうか。私は富山に出張した帰り道、大阪とは反対方向に歩を進め、糸魚川駅まで足を伸ばしたことがありました。糸魚川歴史民俗資料館(相馬御風記念館)と御風の生家を訪ねました。一度しか行ったことがない街なのに何とも懐かしい風景が蘇ってきます。その糸魚川に、先ごろ開通した北陸新幹線の糸魚川駅が誕生しています。(2009年5月24日のブログ記事「相馬御風を訪ねて」)

 春よ来い 早く来い あるきはじめた みいちゃんが 赤い鼻緒の じょじょはいて おんもへ出たいと 待っている
 春よ来い 早く来い おうちのまえの 桃の木の 蕾もみんな ふくらんで  はよ咲きたいと 待っている
 
 春は確実に近づいています。我が家の庭も徐々に春めいてきました。しっとりと雨が降ったからでしょうか。レンギョウの黄色い花が開いています。クリスマスローズは三つ目の品種ルーセブラックが見事に咲きました。
 彼岸を迎えて、明日の日曜日は家内の両親のお墓参りです。孫君たちを連れて出かけます。そんな次第で、一足早いブログ更新となりました。

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