今週はあっという間の1週間でした。月曜日に横浜に向かい、その翌日には鎌倉の鶴岡八幡宮で孫娘の七五三を祝い、小町通を散策したあと三浦海岸のリゾートホテルに向かい、家族水入らずのひと時を過ごしました。
その翌日は、三浦半島の農園でみかん狩りと野菜の収穫体験でもしようかと思っていましたが、なんと朝から雨。予定を変更して神奈川県立近代美術館葉山館の特別展「マン・レイと女性たち」に向かいました。そのあと横浜のみなとみらい界隈を散策して次男君一家とお別れしました。
その夜、爺さん婆さんは品川のホテルに一泊し、翌日は婆さんのたっての希望でホテル雅叙園東京に向かいました。お目当ては現在公開中の映画「線は、僕を描く」の舞台となった百段階段「色彩空間で観る水墨画の世界」を見学すること。そして美味しいランチをいただくことでした。
そんな駆け足の旅でしたが、孫娘の七五三を除くと二つだけ印象に残っていることがあります。そのひとつが「マン・レイと女性たち」です。近代美術館のHPには「芸術家として歩み始めたニューヨーク、シュルレアリスム運動に参加し写真活動を開花したパリ、第二次世界大戦を逃れ移住したハリウッド、晩年に再び戻ったパリの4章で構成。絵画、彫刻、オブジェなど多様な作品からマン・レイの生涯を辿る」と紹介されています。私にとっては馴染の薄いシュルレアリスムの世界ですが、今年に入ってフランス文学講座で話題になることが多々あり、実はきょうの講座も詩人アポリネールがテーマでした。この歳になってもまだまだ知らないことばかりです。
もうひとつは江戸のお話しです。目黒駅から歩いてうろうろしながら雅叙園の玄関口に辿り着いたとき、何やら妙な看板に目が留まりました。見ると「お七の井戸」とあります。いわく、「八百やの娘お七は、恋こがれた寺小姓吉三あいたさに自宅に放火し、鈴ヶ森で火刑にされた。吉三はお七の火刑後僧侶となり、名を西運と改め明王院に入り、目黒不動と浅草観音の間、往復十里の道を念仏を唱えつつ隔夜1万日の行を成し遂げた。明王院という寺院は、現在のホテル雅叙園東京エントランス付近から庭園に架け1880(明治13)年頃まであった。この明王院境内の井戸で西運が念仏行に出かける前に、お七の菩提を念じながら、水垢離をとったことから「お七の井戸」と言い伝えられている」とありました。
このお話しは井原西鶴の「好色五人女」に取り上げられ、歌舞伎や文楽などで上演されていますが、私も何年か前に国立文楽劇場で観たことがありました。なんとも江戸らしいお話しではありませんか。
雅叙園から送迎バスで品川駅に向かう途中には、都会のど真ん中を流れる目黒川沿いに紅葉真っ只中の桜並木が見えました。春の桜花の季節にはさぞ美しい花を咲かせてくれるのでしょう。川沿いはコンクリートで固められていますから寂しい感じはしますが、これまた江戸の風景を垣間見る思いがいたしました。
以上、ドタバタの3泊4日の神奈川、東京の旅でしたが、いろいろ思うことの多い秋の旅でもありました。これで年内の長旅は終了です。