心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

今年も衰えることのない好奇心をもって

2020-01-11 11:02:31 | Weblog

 次男君一家を横浜にお見送りしたあと、ひっそりとした我が家はいつも通り老夫婦だけの静かな生活に戻りました。この年末年始の騒々しさ。その陰で家内の奮闘ぶりは相当なものでしたが、「今年はうまく行った」と満足気です。やはり母親は強い。
 その慰労も兼ねて、先日、なんばの松竹座で公演中の『壽初春大歌舞伎』を観劇しました。昼夜二部制ですが、私たちは夜の部の「義経千本桜」「夕霧名残の正月」「大當り伏見の富くじ」を楽しみました。開場前の松竹座玄関には多くの方々が詰めかけていました。やはり能や狂言とは違う人気があるようです。
 といっても二人とも歌舞伎は初めてです。最初はストーリーが良く分からなかったのですが、次第に歌舞伎の世界にのめり込みます。舞台照明のなんと美しいことか。回転舞台で場面転換も楽しいものでした。帰りには片岡愛之助さんのご夫人(藤原紀香さん)のお見送りをいただきました。
 その日は少し早く家を出て、家内の希望でIKEA鶴浜に寄り道しました。年に一二度しかいくことはありませんが、イケアといえばスウェーデンが発祥の地。4月の北欧旅行が楽しみでもあります。
 北欧といえば、昨年末から読売新聞に掲載されている特集「時代の証言者」は、今回、照明デザイナーの石井幹子さんです。
 石井さんには、15年も前のことでしょうか。新規事業立ち上げに向けたシンポジウムを中之島の中央公会堂で開いたとき、基調講演をお願いしたことがありました。聡明な方で物腰が柔らかいという印象があります。その後、石井さんが照明を担当された舞台鑑賞にご案内いただき東京まででかけたこともありました。
 そんな一瞬の出会いに過ぎませんが、石井さんは日本における照明デザイナーの草分け的な存在です。大阪万博、東京タワー、横浜ベイブリッジ、そして「歩き遍路」の際利用する明石海峡大橋など、橋や建物のライトアップを通して新しい光の世界を楽しませていただいています。
 記事では、幼い頃から今日に至る石井さんの歩みが紹介されています。物怖じしない進取の精神の持ち主であることがわかります。やはり時代に足跡を残す方は違いますね。いつもこういう記事を読むと、私がもっと若かったら、と思ってしまいますが、後の祭りです(笑)。その石井さん、東京芸大を卒業後、北欧のフィンランド、ドイツで研鑽を積み、帰国後東京で独立されています。もちろんご活躍の場は世界各国に広がります。

 さて、今週は兵庫県伊丹市にある柿衞文庫にもお邪魔しました。来月の校外学習のための下打ち合わせです。かつてこの界隈は酒蔵が立ち並ぶ街でした。80以上あった酒蔵はその後、海辺に近い灘に移っていきました。柿衞文庫は、当時栄えた俳諧の文化、芭蕉直筆の「ふる池や」の句短冊や軸物、和本など約9500点を所蔵する日本三大俳諧コレクションの一つと言われています。この日は見学先の酒蔵屋敷なども確認しました。
 2020年のお正月は、ざっとこんな感じで過ぎていきました。今年も、衰えることのない好奇心をもって時代を見つめていこうと思います。それにしても今日の記事はベースに北欧が見え隠れしています。それもそのはず。部屋には館野泉さん奏でるピアノ曲「北の調べ~フィンランド・ピアノ名曲集」が流れています。

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