心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

山野草を愛でる

2011-05-01 09:54:29 | Weblog
 変則的な勤務にシフトして1カ月が過ぎようとしています。気が張っているせいでしょうか、疲れが出るわけでもなく、あっちに行ったり、こっちに行ったりと、落ち着きのない日々を過ごしています。でも、さすがに昨日の朝は、起きることができませんでした。前日の夜、何をする気にもなれず布団のなかに潜り込んで、あとは熟睡状態、気がつけば予定の起床時間を過ぎていました。土曜日という気楽さもあって、いつもより少し遅めのご出勤とあいなりました。還暦を過ぎましたから、無理は禁物です。我が身を労わりながら、マイペースで仕事を楽しむことにいたしましょう。帰り路、散髪をして、身も心もさっぱりいたしました。

 さて、先週は土日を鹿児島で、1日をおいて火・水・木と広島勤務、そして迎えた金曜日の祝日は宝塚の清荒神清澄寺にお参りでした。年に一度のお参りですが、伸び伸びになっていました。大阪・梅田から、いま映画で話題の「阪急電車」に乗って、およそ30分。清荒神駅下車、徒歩で20分ほどでしょうか、ちょっとしたハイキングを楽しむように山の上のお寺に登っていきます。参道には、以前ほど多くはないけれど、小さなお店が立ち並び、参拝客を誘っています。そんな参道の一画で山野草展が開かれていました。50鉢ほどの小さな展示会ですが、愛好家の方々が丹精をこめて育てた草花は、決して華やかではないけれど、素朴な姿が私の目を楽しませてくれました。
 中国地方の山々は、コブシの花が咲き、芽立ちの季節を過ぎて山桜の花が咲き、今は若葉に覆われ低木のツツジが満開です。最も活き活きとしている季節です。その昔、5月の連休になると、父のお供をして山歩きをしました。管理をお願いしている方のご案内で、森の奥の奥まで分け入り、代々受け継いできた山々を歩きながら、父は、杉や檜の成長度合を確かめ、時々切り株に腰かけては煙草を美味しそうに吸っていました。古き良き時代のことです。そんな父のお供をしながら、昼間でも薄暗い樹木の下で、見たこともない変わった植物に出会うことがありました。清水に濡れた山肌に、ひっそりと春を楽しむ可憐な草花が、ありました。森の神秘さを思ったものでした。

 清荒神さんの参道に、山野草専門のお店があります。帰りに覗くと、店の奥からお婆さんが出てきて、山野草の魅力や栽培方法などをいろいろと説明してくれました。そんなわけで、イカリソウの仲間である「楊貴妃」を一株、テンナンショウの仲間である「ウラシマソウ」一株を買って帰りました。自宅に持ち帰って、葉水をして眺めていると、静かな森の中を歩いているような、そんな錯覚を覚えました。本来なら人知れず山奥の木陰でひっそりと生きているであろう山野草です。人の組織とマネジメントに明け暮れている現世とは異なる世界が、そこにはありました。そして、つい、熊野の山奥で粘菌を探してまわった南方熊楠のことを思い出しました。

 さてさて、ゴールデンウィークを迎えて我が家では、きのう次男君がご帰還でした。それに合わせて長女一家もご参集、孫君もやってきました。久しぶりに賑やかな我が家の騒々しさに、愛犬ゴンタ君は安眠を妨害されたと言わんばかりに、少し戸惑い気味です。
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