国道369号線、柳生街道中ノ川信号を左折すぐ脇道に左折し、林道を暫く進むとこの首無し石龕仏に出遭う。
昨日紹介の中ノ川、尾根道伝いの浄瑠璃寺へ通じる旧道は、多分南山城各地からの伊勢参詣道としても盛んに利用されて居たのだろう・・。
このなだらかな峠道より北方には、南山城旧加茂町山中の新興住宅街と、そのずっと向こうにも恭仁京(くにきょう)址や、海住舟寺のある山並も見える。
もう足音も聞こえなくなって久しい旧道の峠と思しき辺り、斜面に突き出した岩を奥壁に利用し、大きい板石三枚を組み上げ石龕を造り、珍しい丸彫り古式石仏を安置している。
もう遥か昔に頭と両手先を亡くし、近年までは江戸時代に補作された地蔵の頭部が載せられて居たようですがそれも無くなり、現在写真のように小さな小石が乗せられていて哀れを誘います。
座高1m足らず、円頭光と体躯を一石から丸彫り、別石の円盤型蓮台に結跏趺坐して居ますが・・、真直ぐ前に伸び出した両手首の先も無く、持ち物も印相も不明です。
体躯の写実的な造りや円頭光、蓮台の優れた作風から鎌倉後期の造立だと考えられています。
石龕仏の背後には背の高い石塔、元は十三重ノ塔だと思われますが??現在十段しかなく相輪も見当たりません。
初層軸部には其々月輪内に金剛界四佛の種子を薬研彫り、鎌倉後期の作風を良く表し、塔高約3.6m。
こんな処を訪れる人は相当な物好きなんでしょうね・・・・・・。
撮影2011.7.9