愛しきものたち

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宇陀市 大蔵寺(おおくらじ)不動石仏/他

2012年07月30日 | 石仏:奈良

なんとも親しげで大らかな、今までこんな不動さんには出遭ったことがない、子供がお絵描きをしたような、不動明王石仏としては似つかわしく無い像容ですが・・・・。

がに股で姐さん被り、人の良さそうな満面笑顔、田舎のオバちゃんが、片手に鍬でも担いで一寸そこの畑までトコトコ歩き・・・・、今にも愛想良く話し掛けて来そうで、思わずこちらから声を掛けたくなる様な。

波切不動と呼ばれ、本堂境内への登り口、石段脇の斜面に隠れるように立っています。

高さ約70cm、江戸中期の享保13年(1728)の造立、江戸期庶民信仰の産物だろうか・・・・・。

山内、長い参道途上にあった二体の板碑と一体の地蔵石仏。

夏草にすっかり覆われ近づくのさえ憚れるような佇まい。

二体の板碑は共に六字名号板碑で高さ約1.2m、一方は頂部に月輪内の阿弥陀坐像を持ち、他の一方は月輪内にキリークを刻み付ける。

奥の板碑には弘治三年(1557)の銘が有り、共に室町後期の造立。

一番奥まったところに立つ高さ約1mの定形地蔵・・・、独得な団子鼻で庶民的な顔容。

しかしこの寺は、今やまさしく世間からますます離れて「隠れ寺」になってしまいそう・・・・。

撮影2011.7.16