愛しきものたち

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宇陀市大宇陀 徳源寺布袋石像/一石六地蔵

2012年07月02日 | 石仏:奈良

奈良大宇陀、歴史有る町中から少し離れた山裾の徳源寺に、見事な布袋石像と一寸変わった一石六地蔵がある。

山裾の濃い緑滴る林の中、民家風の本堂が建ち、その境内片隅の簡素な覆堂にぽつんと置かれた布袋石像が有る。

江戸時代後期、石仏界の寵児としてその名を馳せた「丹波佐吉」最晩年の作だと言われる布袋石像です。

何とも云えぬ穏やかな笑顔で大きな袋に寄りかかる姿は、晩年の佐吉そのものを刻み出したようにも思え、冷たい石なのに体温さえ感じられるほど・・・

一石から丸彫された像容は石仏の範疇を越えた作品、名石工佐吉此処に在りの感を強くさせる一作です。

傍らには何が気に要らなかったのか??途中で投げ出したと思われるこんな石塊。

この脇道を少し奥に詰めると斜面にこんな一石六体地蔵さん。

舟形光背の中、一寸珍しい三列二段の六体地蔵です。

いかにも単純素朴な像容で石仏としての価値は少なそうですが・・・こんな石仏に出遭えることが一寸嬉しい。

安物こけしを六つ並べた様な像容、日当たりが少ない斜面で苔生す六地蔵、そんな六地蔵にさえ真新しい「びしゃこ」の小枝が供されていた。

撮影2011.7.17