愛しきものたち

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五條市畑田町 落合川不動磨崖石仏

2012年07月23日 | 石仏:奈良

奈良県五條市と和歌山県橋本市を分ける吉野川(和歌山県側では紀ノ川と呼ぶ)の支流、落合川の谷を埋める巨岩に不動磨崖石仏と梵字仏などが刻まれている。

五條市の北に連なる金剛山系の山裾、やがては京奈和道と成る予定の五條道路を突っ切り落合川を遡ると目の前に谷川を埋め尽くす巨岩に出遭う。

細い流れの谷川はジーパンの裾を捲くり上げると入れる程度、川下に向かって屹立する数個の巨岩に「梵字仏」「偈文」「飛天像」「五輪塔」などなど、さまざまの石彫と共にその中央には不動三尊が刻まれています。

向かって右脇の岩には「南無大師遍照金剛]の銘号と小さな「背光五輪塔」・・・・蓮弁基台に乗って居たりして一寸不思議な五輪塔ですが??

右手メインの巨岩中央には総高約90cm、像高50cm足らずの不動明王、脇侍の二体は像高約30cm、ローカル色豊かと云うより一見素人ぽく見える不動三尊ですが・・・・。

向かって右側には大きく梵字で「アビラウンケン」と大日如来真言を刻む・・・・左側には拙い字ながら涅槃経の「諸行無常是生滅法生滅滅已寂滅為楽」と刻みこんでいる。

中央に立つ不動明王より、脇侍の矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制多迦童子( せいたかどうじ)の方が像容にも動きがあり写実的にみえる。

右壁面に応永2年(1395)の銘が確認されており、室町初期の造立だと考えられて居る。

これらの石は斜面上から、ずり落ちてきたと言われていますが石仏はちゃんとまともに立っています。

上流に向かって左手斜面の大岩にも不動明王磨崖仏・・・・、迫力有る大きさながら昭和21年造立の現代石仏。

この地は今尚、信仰篤く祀られている場所のようです。

撮影2011.7.30