愛しきものたち

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大淀町今木 泉徳寺蔵王堂石仏

2012年07月13日 | 石仏:奈良

嘗て女人禁制の信仰の山、吉野金峯山寺への古い参詣道にあたるこの大淀町今木の権現堂には、その信仰の思いを託す様に修験道の特徴有る石造物が数多く残されている。

権現堂の在る泉徳寺はJR和歌山線、近鉄吉野線、共に吉野口駅より国道309号線で約約3kmも南下した吉野川分水路脇、北面する山裾に建つ、役行者賀創建した大峯修験道のための入峯行場として知られている。

問題の権現堂は寺の東側、山の斜面に伸びる石段の上に仁王門が建ち、またその奥の石段を登ると権現堂が建っている。

仁王門の中央には天狗像、左右袖には木造仁王像。

泉徳寺の正式名称は「高野山真言宗天狗山泉徳寺」と云うらしいから、天狗にまつわる由緒でも有るのだろう・・・権現堂のあたりを指して「天狗山」という名前がついていたことでもわかります

所謂、今木権現堂と呼ばれる建物には権現堂の文字は無く蔵王堂に成っている。

内部正面に真新しい基壇を設け中央には主尊の蔵王権現石仏、向かって右手に双竜神、左手には役行者三像を置く。

主尊の蔵王権現は金峯山寺の本尊でもあり、高さ約1.3mの自然花崗岩に右足を上げ岩座に立つ蔵王権現像を中肉彫りで刻み出す。

動きの有る肢体、火焔を負って、三眼炎髪、右手に三鈷、左手は弥勒印を示し、独得な像容。

光背の向かって右側面に「備中国堺目東定久女人本願、永禄十二年己巳三月十一日」の刻銘があり、室町後期の永禄十二年(1569)、備中の女性が女人禁制の吉野金峯山寺に思いを馳せ、この地に奉納したもののようです。

右側の舟形状花崗岩に蛇が交互に絡みついたような双竜神石像、高さ約125cm、頂部には蓮華座上の馬頭観音と阿弥陀如来像(大淀町説明板)が刻まれている。

普段余り見かけない石像です・・・・・・室町時代後期 永禄十二年

高さ約1mの  役行者倚座像と前鬼・後鬼の丸彫り三像です。

これらは総て遠く離れた備中、山陰地方の女性達が女人禁制の修験道の山を目前にして適わぬ夢を託して寄進したものだそうです。

女性が不浄だと言うのはどんな理由があったのだろう??現代じゃ一寸考え難いような・・・・。

撮影2011.7.13