ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

ショパンのバラードと野良猫と

2014年04月08日 | レッスンメモ
季節は春です。我が家の周りには春のきざしがあちこちに。そうした春のきざしの中には、正直言って必ずしも歓迎できないものもあります。それは野良猫です。数年前から我が家の庭が近所の野良猫たちのたまり場のようになっているのです。庭をわがもの顔で歩きまわっている野良猫たちは勝手に色んなところでフンをするし、伝染病などをもっている確率が高いと聞いているので、決して近づいたりかわいがったりしていません。家の中では二匹の猫を飼っていて、文字通り「ネコかわいがり」しているのにずい分と差のある対応ですが、こればかりはきちんと一線を引いておかなければいけないと思っています。(以前、我が家の猫が大けがをして手術した経緯があるのです。)

そんな野良猫たちも寒い冬はあまり姿を見せないのですが、春になって暖かくなってくるとまたどこからか姿を現して、活動が活発になってくるようです。何匹か連れだって駆けっこしたり、大きな声でうなり声をあげて喧嘩したり。

昨日の午後、ピアノ部屋で自分の練習をしていた時のことです。私のピアノ部屋はピアノの鍵盤に向かって座ると正面の壁が窓になっています。窓の外は駐車場でその屋根がすぐそばまで迫っています。北向きの窓なので陽射しが直接入りこむわけではないのですが、カーテンを開けておくとそれなりに明るくなるので、この窓のことは気に入っています。いつものように窓のカーテンを開けて、ショパンのバラードを練習していました。何度目かの通し練習の最中で、曲も佳境に入り、グッと気持ちも入ってきたところで、ふっと黒いものが眼に入りました。正面に見える窓の外を黒猫が歩いているのです。「あ」と思った瞬間、向こうもこちらを向いて立ち止まりました。窓ガラスに鼻をくっつけそうなくらい近づいてこちらを見ています。私のショパンを聴いて「フン、まだまだだね」とでも言いたそうな顔をしています。私も黒猫もお互い眼が合ったままにらみ合い。そのまま何秒かじっとしていました。せっかくのショパンのバラードが台無し! そうしてさんざん人のことをにらみつけた後に、またふっと向きを変えて悠々と去って行ったのでした。

ああ、もう折角最初からうまく通していたのに! 驚いたのと力が抜けたのとで、すっかり気持ちが折れてしまって、弾けなくなってしまいました。頭にくるやら可笑しいやら。ま、ここらでちょっと休憩しなさいということだろうと思うことにして、おやつにしました。その後、外に出てみると、いました。この猫です!




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山田武彦先生の講座

2014年04月07日 | レッスンメモ
昨日は北九州まで山田武彦先生の楽曲アナリーゼによる演奏解釈の勉強に行ってきました。バッハの装飾音や和声進行と旋律の関係性による演奏法など、とても面白くて勉強になりました。お話もお上手ですごく楽しい勉強会でした。主催者のYuka先生に感謝です!

夕方帰って早速習ったことを実際に試しながらバッハを弾いてみました。なるほど、やっぱりバッハは深いなあと改めて感じ入りました。こういう風に勉強して自分にとって何か新しいことを学ぶことができると、本当に得したなあ、という感じがします。学生の頃は「勉強」というと苦行という印象しかなかったのですけど、歳をとって大人になるとそこは全然違ってきます。勉強できる幸せ、学ぶことの喜び、そういったものを特に最近つくづく感じますね。そういうわけで昨日は久しぶりに充電の時間を持つことができて良かったです。

ドウダンツツジ(満天星)が満開です

アップで見るとこんなに小さい白い花が鈴なりです。カワイイ!

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ピアノは高い買い物。でも・・・

2014年04月06日 | レッスンメモ
誰だってピアノを買ってもらってお家にピアノが来る日はワクワクします。家族中でピアノが来たことを喜んで、そのピアノを大切に思い、本当に大切にして弾いていく。ピアノは音を鳴らしてもらうことを喜ぶのだから、できるだけたくさん鳴らしてあげる。それがピアノを大切にするということ。

このピアノがその人の、あるいは、一家の宝であればある程、ピアノは喜ぶ。そんな風にピアノを扱ってくれる子が伸びるなあと感じています。ピアノは決して安い買い物ではありません。生徒もそれなりの年齢であれば、保護者の方がどのような思いでそのピアノを買ってくれたか、そのことを理解できるはずです。それでもよく考えてみると、使いようによってはピアノはリーズナブルな買い物です。私がスタインウェイを買ってもらったとき、実は夫は新しい車を買いたがっていたのです。そこでその時に私が使った殺し文句がこれです。

「車は10年も使えばポンコツで駄目になるけど、ピアノは大事に使ってメインテナンスすれば50年は全然大丈夫。買うなら絶対こっちの方が得!!」

こうして首尾よくスタインウェイを手に入れたわけですが、16年目の今ももちろんバリバリ働いてくれています。私はこの調子で死ぬまで愛用するつもりですから、まあ、ほんとに安い買い物だったと思います。新しいピアノを迎えた皆さんも、是非、そのピアノと仲良くなって息の長いおつきあいをしてほしいですね。途中でピアノをやめると、ほこりをかぶったままの家具(?)になってしまいます。こんなに高価でしかも邪魔なだけの家具はないので、そうならないようにくれぐれも気をつけてください。

今年は特に消費税の増税前にピアノを買っておこうというご家庭が多かったようで、楽器屋さんも大忙しだったようです。私も教室用に新しいピアノ椅子を一台ネットで駆け込み購入しましたが、売り切れのショップが何件かありました。ギリギリで何とか買えてよかったです。そんなわけで今年は特に年度の変わり目に新しいピアノをお迎えしたご家庭が例年以上に多かったのではないかと思います。新しいピアノが「高い買い物」になるか、「安い買い物」になるか、それはこれから先の、持ち主の使い方次第です。

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歌はいいですね

2014年04月05日 | レッスンメモ
夜、仕事を終えてピアノの部屋を出ると、パバロッティの歌声が聞こえてきました。夫がなぜか最近、古いパバロッティのCDを引っ張り出して、毎晩のように聴いているようなのです。パバロッティの歌声を聴くと本当に疲れが吹き飛んで、パ~っと気持ちが明るくなりますね。ピアノ部屋にいる時は気が付きませんでしたが、結構なボリュームで鳴らしているので家じゅうに響いています。パバロッティの魅力はやっぱりあの高音です。高らかに歌うときは伸びがあって艶がある、か細く歌う時にはあの堂々たる体格からは想像つかないほどの繊細さで、思わず引き込まれてしまいます。

歌はいいですね。ピアノを弾く者は、自分が声を出す代わりにピアノに歌ってもらうのだけれど、本物の歌はやはりもっとストレートで華やかです。自分の身体をそのまま楽器にしてしまうような感覚というのは一体どんなでしょう。楽器という道具を通さない分だけ、本当に自分が表現したいと思っていることを、もっとそのまま直接的に表現出来ているという感じがします。もちろんそれは誰にでもできることではないでしょう。努力や訓練も大事でしょうけど、「持って生まれたもの」の占める比重が比較的に大きいような気がします。お金さえ出せばピアノでもバイオリンでも素晴らしい名器を買えますが、声の場合はそうはいきませんから。

というわけで私はカラオケで歌うのも苦手なくらいですが、レッスンでは、声を出す、ということをとても大切にしています。上手い下手は関係なく、「声に出して歌う」ということを指導します。ピアノを習う生徒さんというのはどちらかというとお利口さんタイプの子どもが多くて、わりとみんな無口で、黙って言うことを聞くという生徒が多いです。でも、素直に黙って先生の言うことを聞くばかりでは、本当のピアノの練習にはなりません。言われたとおりにするのがピアノではないからです。自分の弾きたいように弾けるようになるのがピアノの練習なのです。つまり、ここをこう弾きたい、ここでこれをこういう風に表現したい、という気持ちをもってピアノに向かわなければいけないのです。だから、まだ弾く技術が伴っていないときでも、このフレーズをどんな風に弾きたいかを、声に出して歌って聞かせて欲しいのです。もちろん私も歌って聞かせます(上手くないけど)。そして、生徒たち自身にも実際に声を出して歌ってもらいます。そうすると気持ちの入り方が違ってきます。身体全体が音楽に共鳴してそのままスムーズに鍵盤へと手が伸びて行きます。実際に声に出すというのはほんとうに発散度が違いますね。表現するということを身体で学ぶためには歌うのが一番だと思います。

さあ、私も生徒ももっと声を出して歌いましょ。歌うと、気持ちも上向きになりますよ!

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つらい時こそ

2014年04月03日 | レッスンメモ
何かを一生懸命やって精一杯努力を続けているのに、それでも、どうしてもうまくいかないという時の心情は、本当にがっくり、ひどく落ち込むものです。自分の無力さを呪い、焦り、こんなに一生懸命やっているのにと途方にくれて、もうやめてしまいたくなる。

昨日、指揮者の広上さんのことを調べているときにネットで昔のインタビュー記事を見つけました。その中で印象的だった一節をご紹介します。

「コンプレックスを大いに持った方が良いと思いますね。劣等感を持っていない人はいないと思います。コンプレックスを持って何が悪いという気持ちで出来ない自分を楽しむ。責めないで、褒めた方が良いんです。それ続けていっても効果が出ないと言って止めない事。目に見えるような成果が上がっていくような教育をされているが、そうじゃない。効果や成果と言うのは常に緩やかな線が斜めに上がって行くようなものじゃない。頑張っても効果が出ないで平坦な時があり、ある時突然ぐっと上がる。階段をあがっていくような、ジグザグな線です。その平坦で成果が見えない時をネガティブに考えないで楽しむ事が大切です。」

うーん、この言葉すべてにものすごく納得です。本当におっしゃる通りだと思います。冒頭に書いたような暗~い気持ちになりそうなときこそ、淡々と、いつも通りにやるべきことをやる。とにかくやめないで続ける。これが大事です。そもそも、その人が手にする成果の大きさというのは、成果の上がらない時間の積み重ねの量に比例するのではないかしら。だから、成果の上がらない時こそ、「いつかきっとね~」というくらいの気持ちで練習を続ける、楽しむ、これだと思います。

さ、今日もコンプレックスを踏み台にして、いつも通りに、練習しよっと

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指揮者 広上淳一さん

2014年04月02日 | レッスンメモ
ここのところ毎晩のように「お家コンサート」と名付けてレイジーな格好で夕食を食べながら、録画していたコンサートをあれこれ楽しんでいます。昨夜観たのは京都市交響楽団の定期演奏会。あの広上淳一さんの指揮を初めて拝見(テレビですけど)しました。いやあ、素晴らしかったです。音楽家として、指揮者として、人間として、ものすごく面白いカラフルで魅力的な方ですね。ラフマニノフやマーラーをあんな風にキビキビと、分かりやすく、そして楽しそうに「振る」指揮者ってほかにいるかしら。夫は「全然明るい曲じゃないのにこんな風に元気に振るなんて、なんかおかしくないか」なんて最初は言っていたのですけど、段々ハマって行ったようです。そうです、広上さんはきっと曲想に合わせて自分の表情を作っているのではなくて、思い通りの音が出ているかどうか、オケとのコミュニケーションを大事にしているからこその、あの振り方だと思うのです。だから、例えば、うんと悲しい調子のところで悲しそうな顔をするというのではなくて、オケが思い通りに素晴らしく悲しい音を出すとそれが嬉しくて思わず笑顔になるし、親指を立ててグッドジョブ・サインまで出してしまうのです。

京都市交響楽団の定期演奏会でチケット完売記録を更新中という、今どきのクラシック界ではちょっと信じられないような熱い支持を集めている理由が少し分かったような気がしました。広上さん自身がとにかく、熱いのです。そしてその熱さがオケのメンバー一人ひとりに伝わって、オケ全体が熱くなる。そうするともうそのオケ全体の熱さが観客の皆さんに伝わらないわけがない! 

私が興味を持つのはその熱さをどうやって伝えるか、ということです。自分の熱い思いが、なかなか思い通りに相手に伝わらない、この悩みはオケの指揮者に限らず、あらゆる指導的立場にある人共通の悩みでしょう。もちろん私もピアノ教師としていつもこの悩みに直面しています。広上さんのインタビューを聞いていると、ああ、この人はオケのメンバー一人ひとりのハートをつかんで「その気」にさせるために、ものすごく考え抜いている人なんだなあと感じました。演奏する曲の解釈とか指揮法とか、そういった技術的な課題をすべてふまえた上で、彼が指揮者として一番心血を注いでいるのは、そのオケの最高の音を引き出すことなんだろうと思います。そのためにはメンバーをその気にさせなければいけません。そしてそれを可能にさせるために広上さんが重視しているのがコミュニケーションだと思います。相手のミスをあげつらって委縮させるのではなく、いかにリラックスさせて伸び伸びと大きな音を出してもらうか。そのための気配り、話法の工夫。うん、この姿勢はピアノのレッスンに即、応用可能です。考えて見れば指揮者というのは自分で楽器を演奏するわけではなく、他人に自分好みの(こうあるべきと思う)演奏をしてもらうのが仕事です。ピアノ教師の仕事もその点では同じですよね。広上さんのお話と指揮ぶりを見て、何だか指揮者という人種がこれまでと違ってずっと身近に感じられるようになりました。いつか是非生で観たいです。これからも益々ご活躍してください! 

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レッスンの新しい風

2014年04月01日 | レッスンメモ
さあ、今日からいよいよ新年度。春の気配も本格的になって何だか晴れやかな気分になる季節ですね。いろんな意味で新たなスタートを切った方が多いと思います。私も教室の生徒たちや自分の子どもを次のステージに送り出す節目として、毎年のように感慨深くこの時期を迎えています。そして自分自身についても今年はいくつかの誓いを立てて、新しい自分に挑戦するつもりです。
シャクナゲ
さてこのように新年度という節目に合わせて人生の新しい風を受けることには大きな意味があると思っていますが、もっと言えばこの時期に限らず、何かのきっかけを通じて新しい風にあたるということ自体に、私は大きな意味があると思っています。ピアノ教室の空気が淀んできたら窓を開けて空気の入れ替えをするように、いつものレッスンだけではなくて、たまには新しい切り口や意見の違ったレッスン受けることが新しい風を感じることになると思っています。私は私なりに色んな角度から生徒たちを指導しているつもりですが、やはり私は私。私という枠組み、または視点から指導するということになります。それだけですべて充分、とするのは自分としてはやはりどうかなと思います。何か見逃していることがあるかもしれません。私の気がつかない良いところや、悪いところがあるかもしれないのです。世の中に全知全能で完璧な指導者なんていうのは存在しません。だから私は時々、他の立派な先生方をお招きして自分の生徒を別の角度から見てもらうという機会を設けたりしています。こうしていつもとは違うレッスンを受けると生徒たちは新しい風にあたって、はっと気づくことが少なくないようです。こういう試みはとても有意義なことだと思っています。もちろん、あんまり色んな風にあて過ぎてかえって混乱して風邪をひいてしまっては困るので、窓の開け方、空気の出し入れの仕方については、こちらで上手く調節しながら、全体として気持ちの良い効果的なレッスンができるようにと色々気を配っています。
シャガ

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