暗譜を確実なものにするための努力を余儀なくされています。暗譜ができたと思ったら、その時点からまた抜け落ちていきます。暗譜していた内容がいつの間にか変わっていったりすることもあります。弾いているうちにちょっとミスしたりしたことが原因で、そこから一音だけの勘違いが生まれたりします。これが怖い。そしてそれがだんだんその音だと思いこんで、その音でさらってしまったりします(なんてバカなことを!)。
だから、ひととおり暗譜が出来た後の、さらなる暗譜の詰めというのが、私にとってはなかなか厳しい時期です。今、それに直面しています。覚えては頭の中から何かがこぼれ、また入れ足したら別のがこぼれ・・・。このエンドレスとも思えることを少しずつ繰り返し、重ねて、積み上げて・・・。まるで「ジェンガ」のゲームのよう。
「ジェンガ」:クリックで崩壊体験
こうしてようやく積み上げた暗譜でも、ちょっとでも弱気になると本番10分前まで覚えていたことがステージでは、ポンと忘れたりするところが出てきます。そういう経験が過去にあるから、決して安心はできません。何度でも何度でも頭の中を整理して、また練習を繰り返します。
暗譜の重圧に耐えるためにいろんな工夫や曲の分析をしていきます。この作業の中で大切なことに気がついたり、自分の弱点を知ったりします。暗譜というのは決して単なる音符の丸暗記ではないのです。曲の理解をより一層深めるためには暗譜が欠かせないともいえます。曲そのものをいろんな角度から検討して分析していくうちに、曲に対する理解が深まっていくのだということを実感します。
何百ページの楽譜の重圧をズシンと感じながら、それを受けとめる強い精神を持たなければいけないと思っています。その上で、すっかり安心して曲と一体となって、流れるようによどみなく、ピアノと一緒に音楽を紡ぎだしていきたいと思っています。
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