日々・from an architect

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彼方と行き交う 「フランシス・ベーコン」

2013-03-08 16:35:13 | 文化考
顔がボケ、亡霊のような絵がなぜ存在するのか理解できないまま、でも何かが気になって忘れえないアイルランドの画家「フランシス・ベーコン」の展覧会が、東京国立近代美術館で、今日(3月8日)から始まった。

ベーコンは、1909年にアイルランドのダブリンに生まれ、1992年に亡くなった、ピカソやジヤコメッティに並ぶ20世紀を代表する画家と評されている。本展は没後初のほぼ30年ぶりに開催されたアジアでは始めての、世界的にも稀有な展覧会とのことである。
昨日の夕方プレス発表に参加し、つぶさに見入ることができたが、やはり得体のしれない刺激を受けたもののなぜこういう作品群なのかと考え込んでしまうのだ。

案内チラシやパンフレットには「目撃せよ。体感せよ。記憶せよ」というキャッチフレーズが記載されているが、それが何を意味するのか正直よく理解できない。
しかし、作品のいくつかに特記されている解説の「ベーコンは、額に入れたガラスを通して作品を視てもらうことを好んだ」という一節と、添えられた「レンブラントの絵であってすらもガラスをはめてある状態が好きなのです。確かにいろんな光源で視にくくなりますが、それでも向こう側を見透かすことができます」という一文の「向こう側を見透かす」というベーコンの一言に得心した。見透かすということは彼方と行き交うことなのだ。

向こう側とは何か!彼岸であるかもしれないし、人の生きることの、その世界の不条理なのかもしれない。
同性愛者だったベーコンの何かがこの作品群の根幹にあるのかもしれない。
会期は5月26日まで、おそらく僕は、何かに誘われてもう一度会場を訪ねるだろう。

写真・許可を得て撮影:三幅対 1991年 ニューヨーク近代美術館蔵 


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