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東京中央郵便局の状況は、新聞やテレビなどで逐次報道されたが、一部の保存部分以外はほぼ解体された。大阪中郵が気になる。
僕は「東京中央郵便局を重要文化財にする会」を中心として保存活動をしてきたが、そのベースには、行政や郵政関係に保存要望書を提出してきたJIA、DOCOMOMO Japan、建築学会がある。会員だからだ。
僕がJIA関東甲信越支部保存問題委員会の委員長を担った10年前になる1999年に、文化庁にこの庁舎の「重文」指定を要請した。これが僕の東京中央郵便局庁舎保存活動のスタートだった。
活動を通して様々なことを学んだが、その最大の課題はモダニズム建築の価値(歴史的な位置付けとその源流が今の社会にも大きな役割を担っていること)が、社会的に認識されていないこと、最近「内なる敵」とついつい`ぼやきたくなる状況が`建築界にもあることだ。モダニズム否定は「建築文化の危機」だと、いてもたってもいられなくなる。
とは云えあえて述べると、「建築と人、建築と都市、更に開発と保存の狭間における建築家のあり方」については、僕自身簡単に答えの出ない難しい問題が内在していると考え込んでしまう。
建築家は「文化を担う」と言われるように、僕たちは建築をつくることによって人の生き方に大きな役割を持つが、建築はクライアントの意向を受けてつくられるものであるし、必然的に経済行為の側面を持つことにもなる。また様々な法規の枠の中でつくらなくてはいけない。
今の時代は一体どうなったのかと憮然とすることもあるのだが、嘆くばかりではなく建築家としてできることはないのか。例えば「外壁保存によって都市景観を保全する」という都市計画関連法規の見直しを、建築家として検討していくなど。いい都市空間を構築していくこと(いい都市空間とは何ぞや!)、それが結果として市民の共感を得ることになるのだと思う。
モダニズム建築存亡の危機をのりこえ、建築をつくる喜びを大勢の人々と分かち合いたいために、JIAは声明を発表し、シンポジウムを行います。下記ご案内しますので、ぜひお出かけ下さい。
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声明発表とシンポジウム 東京中央郵便局庁舎保存問題から大阪中央郵便局庁舎の課題へ
「モダニズム建築・存亡の危機をこえるために」
(社)日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部・保存問題委員会は、1999年文化庁長官あてに「東京中央郵便局の重要文化財指定に関する要望書」を提出して以来、日本郵政関係者や所轄する総務省(旧郵政省)などへ、近畿支部と連携し東京・大阪両中央郵便局の重要文化財指定や保存活用を繰り返し要望してきました。
建築家吉田鉄郎の設計した東京中央郵便局庁舎は、モダニズム建築の水準点であり、大阪中央郵便局庁舎はさらにその完成度を深めた建築です。
しかし東京中央郵便局庁舎は、大部分を解体して高層化する工事が進捗しており、大阪中央郵便局庁舎も今後の展開が懸念されます。
これらの一連の動向から見えてくるのは、都市景観の保全を理由に、建築の内部空間を視野に入れず、外観保存のみに重点を置こうとする社会通念と都市政策です。辛うじて保存されても残るのは外壁のみで、内部空間は失われてしまうという、モダニズム建築の新たな存亡の危機に対し、(社)日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部・保存問題委員会は、『声明』を発表いたします。
この声明を受けて各分野の方にパネリストとして参加いただき、建築と人、建築と都市との関わり、また開発と保存の狭間における建築家のあり方について、様々な視点から意見を取り交わすシンポジウムを開催します。
お誘い合わせの上、ご参加くださいますようご案内します。
日 時 2009年7月17日(金)pm6:30~8:40
会 場 建築家会館(JIA)一階ホール(当日会場にて受付)
資料代 1000円
主 催 日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部・保存問題委員会
司 会 篠田義男(建築家・JIA保存問題委員会元委員長)
声明発表 和田昇三(JIA保存問題委員会委員長足利工業大学教授)
問題提起 兼松紘一郎(建築家・JIA保存問題委員会WG主査
DOCOMOMO Japan幹事長)
パネリスト 鈴木博之(青山学院大学教授・東京大学名誉教授
DOCOMOMO Japan代表)
清野由美(ジャーナリスト)
室伏次郎(建築家・神奈川大学特任教授)
兼松紘一郎(建築家)
<会場:地下鉄:銀座線外苑前駅より徒歩約5分 JR線:総武線千駄ヶ谷駅より 徒歩約15分>
問い合わせ 日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部事務局 03-3408-8291 担当菊地
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