名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

またボンバル機墜落50人死亡

2009-02-14 08:35:25 | Weblog
2009.2.14
 今日はバレンタインデー、義理チョコもめっきり減った。筆者の属しているNPOでは女性は多勢いるが、義理チョコをあげることはやめようということで貰うこともない。本来、バレンタインデーにふさわしいチョコレートが贈られるべきなのだから、もともと義理チョコは邪道なのだ。
 さて、航空機事故というものはしばしば重なるものである。
 米ニューヨーク州バファロー市近郊で12日午後10時20分(日本時間13日午後0時20分)ごろ、ニュージャージー州ニューアーク発バファロー行きのコンチネンタル航空小型旅客機が民家に墜落、炎上した。この事故で、乗客44人、乗員5人全員と民家の住民一人が死亡するという惨事となった。
 事故機は双発プロペラ機のボンバルディアDHC8―Q400で、2007年3月に高知空港で胴体着陸した飛行機と同型である。
 現場はバファロー空港まで約8キロで、着陸体勢に入った後、連絡が途絶え墜落したという。これまでのところテロの情報はないとも伝えている。
 
 一方今朝のテレビ・ラジオは、イギリスでも旅客機の前輪が出ず後輪だけで着陸した事故を伝えている。こちらは幸い、破壊、炎上するという事態はまぬがれ、70人あまりの乗員・乗客のうち、二人が怪我を負った程度ですんだという。

 かたや全員死亡、かたや全員無事という全く明暗を分けた形となった。それにしても安全性は高いとは分かっていても、やはり飛行機は怖い。何しろ地に足が着いていないのだから。

麻生政権に小泉元首相のちょっかい!!

2009-02-13 16:25:41 | Weblog
2009.2.13
 小泉元首相が12日夕、自民党本部での郵政民営化推進派議員の会合でのあいさつで、麻生首相の郵政民営化をめぐる迷走発言に対して『ただただ、あきれている』『政治で一番大事なのは信頼。首相の発言に信頼がなければ選挙戦は戦えない』と厳しく麻生政権を批判した。
 小泉氏は更に、定額給付金関連法案について『三分の二を使ってでも成立させなければならない法案だとは思っていない』と、衆院での再可決を否定する考えを示した。この段階に来て小泉氏のこの発言は、小泉氏が定額給付金に造反する可能性を示唆したもので、自民党にとってはとんでもないサプライズである。
 小泉氏は郵政民営化について、造反議員は切り捨てても衆院解散・総選挙に踏み切り、与党が三分の二を占める議席を獲得した。自公の与党にとって、今国会における定額給付金はあの当時の郵政民営化に匹敵する課題であり、それが否定されるなら、麻生首相は同様に造反議員を切り捨てて、解散・総選挙に打って出ても決しておかしくないはずである。
 小泉氏が本当に反乱を起すならば、追随する議員は少なくないと思われる。既にポケットに入れていた給付金がスルリと逃げていく様もありうる。にわかに政局が荒れ模様の展開をみせることとなり、面白くなってきた。

かんぽの宿 施設別収支一覧

2009-02-12 16:45:30 | Weblog
2009.2.12
 70か所ある『かんぽの宿』の2007年度の個別収支が明らかになった。このうち、黒字と収支トントンの施設は12か所に過ぎない。儲け頭は兵庫の「有馬」で126百万円の黒字。次が同じく兵庫の「赤穂」60百万円、滋賀「彦根」52百万円、千葉「旭」43百万円の黒字と続いている。近くでは三重県の「鳥羽」が11百万円の黒字を計上している。
 一方赤字施設は58か所(ただし3か所は休館)に上っており、赤字幅は1百万円から2億5千万円にわたっている。
 赤字が一番大きいのは、さいたま市の「ラフレさいたま」が経常赤字258百万円、次いで北海道の「小樽」と沖縄県の「那覇」が同額の124百万円の赤字となっている。
 愛知県の「三ヶ根」は37百万円、「知多美浜」は12百万円、静岡県の「浜名湖三ケ日」は2百万円、岐阜県の「恵那」は9百万円、「岐阜羽島」は24百万円のそれぞれ赤字となっている。
 全体をよく見てみると、どうにもならないところと、努力して運営の効率化を図れば黒字化が見込める施設もいくつかある。
 鳩山邦夫総務相も『赤字が出ない料金設定とか、黒字化の努力をしていくべきだ』と強調している。
 今回、これら70箇所の2007年度の赤字額の累計は約16億円に達していることが明らかになった。しかし、だからといって2400億円もかけて造ったこれら施設をたった100億円あまりで売ってしまうというのも、鳩山総務相の言うとおり性急過ぎると言わざるを得ない。簡保資金といういわば国民からの預かり金を投げ捨てるような扱いは納得しがたい。勿論、赤字を垂れ流していくのも容認できない。
 こうした事態を招いた者たちが、知恵を絞って、少なくとも最少の損失に抑えるような努力が必要である。それだけの責任があることの認識ぐらいは持ってもらわなければ、国民は納得しない。

麻生首相『郵政民営化』でコロコロ答弁修正

2009-02-11 07:31:05 | Weblog
2009.2.11
 今から約3年半前、参議院で郵政民営化法案が否決されたことから、小泉首相(当時)によって突如行われた総選挙は、自民党の驚異的な圧勝となったことは記憶に新しい。この郵政改革については、自民党内でももめにもめて亀井静香氏など有力議員の離党者を出すとともに、選挙での刺客を通じて小泉チルドレンという新たな大量の新人議員を誕生させることにもなった。
 この郵政民営化について、麻生首相は2月5日の衆院予算委員会での答弁で『当時民営化には賛成ではなかった』と発言してしまった。
 これには与野党から猛反発を受けたため、9日の答弁では『最初は民営化にそんなに賛成だったわけではないが、(在任中に)2年間かけて勉強し、うまく経営をやれば(民営化は)できるだろうと、私なりに思った』と述べ、2005年時点で賛成だったと釈明した。
 また、今後の郵政見直しに関し、『(民営化は)4年前に議論し尽くし、これに従って推進している。私は国営に戻すとは一回も言っていない』と述べ、民営化は堅持する考えを示した。
 ところがである。首相は10日夜、記者団の質問に対して、2005年の衆院選について『あの時(郵政民営化関連法案に日本郵政公社の)四分社化が入っていると知っている人は、ほとんどいなかったというのが私の認識だ』『国民が感じていたのは、(郵政)民営化か、そうでないかだけだった。内容を詳しく知っている人はほとんどいなかった』と答えてしまった。
 当然のことながら、国民を馬鹿にしている、とこれにも反発が巻き起こっている。
 しかし筆者としては、この麻生首相の発言は案外、的を得ているような気がしてならない。当時、小泉首相が解散に打って出たときの、小泉人気の異様さは尋常でなかった。あの爆発的な人気は馬鹿げた人気に思えて仕方がなかったのを覚えている。まるで首相をアイドルのように騒ぐおばさん達の姿を、執拗に伝えるテレビ映像がますます中身のない選挙にしていった様はまさに異様であった。異を唱えた自民党議員には刺客が送られるという前代未聞の様相が展開した。
 おばさん達やキャーキャー言っている女子大生たちにとって、郵政改革の中身などどうでもよかった。ただ、小泉さんが勝てばよかった。
 こんな気持ちを持っていた人は決して少なくなかったのではないか。麻生首相の言も思わず出た本音だったと思ってしまう。

ものすごいオーストラリアの山火事

2009-02-10 06:07:22 | Weblog
2009.2.10
 今月の7日に発生したオーストラリア南東部ビクトリア州の山火事はその後も広がりをみせ、死者130人以上、焼失家屋750棟以上と伝えられている。
 豪ABC放送などによると、7日に数か所で発生した火災は、州都メルボルン北部の山間部や原野のほか市街地にも広がり、東京都の1.5倍に当たる3500平方キロ以上を消失、町や集落が炎にのみ込まれ、ほぼ全焼した地域もあると伝えている。すでに75人死亡、3000棟以上が焼失した1973年の被害を超えた。
 オーストラリアでは、このところ40度以上の高温が続き、今月の7日には46.8度にも達した。また、雨が降らず5%以下という乾燥湿度と強風が重なって被害が拡大しているという。一方で赤道に近い緯度の低い地域では豪雨が続いて、水の被害も出ているとも伝えられる。
 日本の25倍ともいわれるオーストラリアはさすがに広く、被害もスケールが大きいということを実感させられる。人間の命や家屋の被害もさりながら、この火災で多くの動物たちも逃げ場を失っているのであろう。かつてメルボルンを訪れたことがあるが、森には野生のコアラが沢山いた。彼らも被害を受けているに違いない。今回の火災の一部は放火が原因とされているが、人間の愚かな行為が自然の生き物にも大きな影響を与えていることを思い知るべきである。

サラリーマン川柳100句発表

2009-02-09 21:19:37 | Weblog
2009.2.9
 第一生命保険は9日、第22回目の『サラリーマン川柳コンクール』の入選作品100句を発表した。
 第一生命によると、サラリーマンの視点で世相を風刺した作品が全体で21,455句寄せられた。昨今の不況を嘆く句や世界的な金融危機を詠んだ句など、政治・経済の話題を題材とした作品が多く入選しているという。
 この100句の中から、同社のWebサイトや所定の投票用紙で2月9日から3月13日まで一般投票が行われてベスト10が選ばれ、5月に発表されることになっている。
 面白そうなものをひろってみると
  ☆ コスト下げ やる気も一緒に 下げられる
  ☆ 円下げて! ドル上げないで 株上げて! 
  ☆ 子どもらに また教えてる 総理の名
  ☆ 篤姫に 仕切らせたいな 国会を
  ☆ 社運賭け 社員総出で ジャンボくじ
  ☆ しゅうち心 なくした妻は ポーニョポニョ
  ☆ 円高を 実感したいが 円が無い
 インターネットの第22回第一生命サラリーマン川柳コンクールで検索して投票できる。
 果たしてどれがベスト10に選ばれるのか、毎年のことながら楽しみである。
 

トヨタの赤字 3500億円

2009-02-07 08:57:16 | Weblog
2009.2.7
 トヨタ自動車は2009年3月期の連結決算の業績予想を3500億円の赤字になると発表した。販売不振に歯止めがかからず、約1兆7千億円の黒字だった前期から大きく後退し、1950年3月期以来、59年ぶりの絢損失となるという。
 この09年3月期の業績予想は昨年11月、12月に続き、3度目の下方修正であり、「トヨタショック」は更に広がる。それでも売上高は5千億円減の21兆円を見込んでいるというからすごい。
 ダイハツや日野自動車を含む連結の販売台数は、年明け以降も悪化し、08年3月期に比して159万台減の732万台となると予想している。
 これを反映してか、米格付け会社スタンダード・プアーズ(S&P)は、6日、トヨタの長期格付けを最上級の「トリプルA」から「ダブルAプラス」に一段階格下げしたと発表した。
 さすがのトヨタも他の企業と同様、従業員の削減や就業時間のカットなどでしのいでいる。子会社や下請けへの影響もはかり知れない。規模の小さいところほど深刻な状態であることは間違いない。トヨタ自体は、前年の利益が1兆7千億円もあったのだからこの際ドタバタしてほしくない。
 車の販売台数がGMを抜いて世界一になったと騒いでいるのは、それもバブルである。短期間で成長を急ぐことは危ないとは、先のバブル景気で十分学習したはずである。トヨタ本体につられて、まわりの企業も背伸びし、破裂してしまった。トヨタに限らないことだが、規模が大きいだけに影響も大きい。
 愛知県や豊田市など関係市町村の税収の減が政策に影響し、県民に思わぬしわよせも出てくる。
 なんといっても世界のトヨタ、そのトヨタがクシャミをして、まわりがみんな重い風邪をひいてしまった。

擬似通貨「円天」を売り物にした詐欺師の逮捕

2009-02-06 06:28:36 | Weblog

2009.2.6
 『使っても減らないお金』という新手の擬似通貨『円天』を売り物にし、年36%の高配当と元本保証を約束して、2000年から07年までに約37000人から総額1260億円ものお金を集めていた東京の健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)の会長とその幹部ら22人が昨日(5日)、逮捕された。
 
 捜査本部の発表による巨額の金を集めたからくりは、次のようである。
 L&Gは01年から59000円を支払うと3年後に10万円が支払われる『あかり価格』の名称で入会を募る一方、一口100万円で年利36%の配当をうたう『協力金』の募集を本格化させた。
 これとは別に『預った現金と毎年同額の円天を支払う』とする『円天受取保証金』名目でも資金集めを開始。全国各地で円天が使えるバザーを開いて評判を呼び、05年ごろから会員が急増したというものである。

 『円天』は使っても減らない通貨で『使えば減るという文明社会の迷信を打破する』などととんでもない幻想をふりまいて会員を集めたというからあきれる。こんなことを信じて騙されることが信じられない。
 当然のごとく、資金繰りに行き詰まり、会員から資金返還の請求が相次いだことから警視庁などの容疑で捜査を受けることになったという訳である。
 逮捕されたのは、L&Gの会長波和二容疑者(75)で『詐欺ではない』と容疑を否認しているという。
なお集めた資金のうち、837億円は解約による元本返済や配当として会員に返還されたが、423億円が未返還になっているという。これを37000人で割ると一人当たり約115万円になる。これはもう還ってこないであろう。

 それにしてもあり得ない擬似通貨と高額配当ををエサにして、よくもこんな巨費を集めたものである。こうした事件は一定の間隔を置いて起こっているが、結局は欲に眼がくらんで、こんなものに手を出す者も悪いとしかいいようがない。
 逮捕容疑は、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)だそうであるが、多勢の人たちが泣く割にはたいした罪にならないのだからやりきれない。

かんぽの宿払い下げ問題の怪

2009-02-05 17:14:41 | Weblog
2009.2.5
 日本郵政株式会社が「かんぽの宿」70施設を109億円でオリックス不動産に一括払い下げするという問題は、鳩山総務相の抵抗でどうやら白紙撤回ということになったようである。そもそも今回売却予定の「かんぽの宿」は土地代と建設費で約2400億円もの巨費を投じて建設されたもので、それを24分の1の超安値で売ってしまうというまさに仰天ものの話なのである。
 ところで「かんぽの宿」とは総務省所管の特殊法人「簡易保険福祉事業団」が、簡易保険や郵便貯金の保険運用とともに、加入者向けの利用施設として造られたものである。それが郵政民営化や特殊法人改革を通して日本郵政株式会社に引き継がれてきたものである。
 今回問題の70施設は大半が赤字で、07年度は計16億2200万円の赤字を計上しているという。しかし「有馬」や「彦根」などは稼働率も高く、それぞれ1億2600万円、5200万円の黒字を出しているそうである。
 今回、鳩山総務相は『2400億円かけて造ったものが、109億円なんて馬鹿なことはない』と主張したのに対し、日本郵政の西川善文社長は2月4日の衆院予算委員会で、オリックスへの譲渡案を『ゼロから検討する』と述べて事実上白紙撤回することになった。
 さてこの70施設については、問題の解決が先送りされたわけであるが、日本郵政の民営化前にさかのぼると、とんでもない払い下げがゾロゾロ出てくると、今朝(5日)の中日新聞が報じている。
 まず2007年2月末に閉鎖された鳥取県岩美郡岩美町にあった「かんぽの宿」が、『年間2千万円を超える赤字続き』ということで同年3月、競争入札に付され、「レッドスロープ」という東京の宅建業者がなんと1万円で入手したというのである。敷地約4千坪、建物は3階建て、述べ1088坪という施設である。これで驚くにはまだ早い。この半年後に、この物件を社会福祉法人フォイボスが6千万円で買収した。僅か半年で、1万円が6千万円になったというぼろもうけの商売である。フォイボスは1億1千万円をかけて定員50人の軽費老人ホーム『里久の里』に改装した。事業は順調に運営されているという。
 次に鹿児島県指宿市の「かんぽの宿」も赤字続きの理由で、レッドスロープが07年3月に同じく1万円で入手。短期間で東京のリゾート会社に転売された。いくらで取得したかは明かされていない。
 さらに別の報道によれば、日本郵政公社が所有していた「旧沖縄東風平(こちんだ)レクセンター」は、東京の不動産会社にたった千円の評価額で売却され、その1か月半後に沖縄県の学校法人に4900万円で転売されたという。
 驚くべきことである。こうした事務に携わった役人は一体何を考えてこんなことをしたのか全く理解できない。これはもう犯罪行為ではないか。尊い国民の財産をこんな形で処分してしまうことに何の罪悪感もないのであろうか。
 簡易保険や郵便貯金のお金がこんな形で消えてしまったことに、国民は本当に腹から怒らなければならない。
 今後、国会で与野党を問わず、もっと追求されることを願う。

官僚の天下りあっせん年内廃止

2009-02-04 08:21:19 | Weblog
2009.2.4
 昨年末、麻生首相が官僚OBの天下りを繰り返す『渡り』の斡旋を容認する政令を作ったことから、与野党の厳しい批判にさらされてきた。
 それが昨日(3日)の衆院予算委員会において自民党の議員から頼むからやとめてくれ!と言わんばかりの懇願を受けて、とうとう麻生首相も『天下りを今年いっぱいで廃止するための政令を作る』と言明してしまった。
 この間の経緯を少し復習すると、
 渡りを含む各省庁の天下りあっせんは、昨年末(08.12.31)に施行された改正国家公務員法で禁止され、官民人材交流センターに一元化された。ただし、三年以内の移行期間中は容認され、政府はこれに沿った政令を公布した(職員の退職管理に関する政令。08.12.25公布)。この政令を巡っての攻防がこの1か月繰り返されてきたものである。
 しかしこの新たな『天下り廃止の政令』については、民主党の管直人代表代行は『法律を出し直すか、「渡り」を認める政令を廃止するなどきちんとした手続をせず、屋上屋を架す形だ』と指摘し、『本当に年内に廃止する確証があるとは言えない』と疑問を呈している。
 共産党の穀田恵二国対委員長も『官民交流センターであっせんも天下りも自由にやるという本質は何ら変わっていない。大山鳴動のたぐいだ』と手厳しい。

 ところで、官僚が独立行政法人、特殊法人、認可法人、公益法人あるいは民間企業へ天下りする数は一体どれだけあるのであろうか。1999~2003年までの5年間で民間企業に再就職した国家公務員は3027人という公表数字があり、また、2003年8月から一年間に退職した中央省庁の課長・企画官以上の国家公務員1268人のうち552人が特殊法人などの公益的な団体に再就職したと発表されている。要するに数千人規模の天下りがあることは間違いない。これに地方機関の職員の天下りを加えれば更に膨大になる。そして巷間言われているように、一つのところを退職し高額の退職金を得て、更に次のところへ天下るという『渡り』を繰り返していることも事実である。 
 こうした天下りをする理由の一つとして、各省庁の事務次官競争に敗れた者の救済策であるといわれることがる。次官の就任期間は1年ないし2年である。例外的に3年の場合があるが少ない。何人もいる同期の中から一人しかなれないのだから多くの者があぶれる。めでたく次官になれた者も同期が身近にいれば目障りである。そこでそうした者を外郭団体や民間企業に高額な給与で処遇して身の安全を図るという構図ができあがった。この仕組みは次官級だけでなく、審議官、局長、部長、課長級の各段階で昇格争いに敗れた者にも同様にあてはまることである。勿論これは動機の一つにすぎず、天下りそのものは、もっと壮大な高級官僚の利権としてとらえるべきである。
 
 さて官僚の天下りはメディアの攻勢もあって極端に忌み嫌われているが、筆者としてはこの風潮に大勢としては理解できるが、少しく違和感を覚えざるを得ない。その人やそのポストによって十分その役割を果たしている人も決して少なくないからである。長い役人生活から得た専門知識と幅広い人脈が、ある組織にとってかけがえのない場合がある。それらをすべて否定するのも大人気ないような気がしてならない。問題はその処遇の仕方にあるような気がする。外郭団体の給与などは、時々発表される数字を見ると、現役時の給与を上回っている場合が多い。また退職金も高額である。明らかに庶民感覚からずれている。現役退職時には高額な退職金を既に受けており、また年金も受給するのであるから基本的にはボランティアでも良いと思うぐらいである。事実そうした形で社会活動をしている人もいる。
 閑職にもかかわらず、高額な給与を得てのんびりとしている人もいるが、いたずらに天下りは悪だといわんばかりに貴重な人材を放置するのも必ずしも良策とは思えない。本当に役立つ人には更に働いてもらって、年金も支給される程度の給与で処遇するというのなら、国民も納得できるのではないかと思う。
 こうした議論にいかないのもなにか片手落ちのような気がしてならない。