名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

延命中止基準先送り

2009-02-26 10:33:39 | Weblog
2009.2.26
 終末期患者の延命医療については、富山県射水市民病院での人工呼吸器取り外し事件で大きくクローズアップされたこととして、このブログでも昨年の7月26日付けで取り上げた。また2006年3月の秋田赤十字病院での延命治療中止の件について、2007年12月23日付けのこのブログで取り上げた。
 厚生労働省は昨年3月、20歳以上の国民(男女)5000人、医師や看護師ら約9000人を対象に終末期医療に関する調査を実施し、調査結果の解析を公表していた。
 そこでは、①医師と患者の間で十分に話し合われていないと答えたのは、国民51%、医師59%、看護師54% ②将来の自分の延命医療について、家族と十分話し合っていると答えたのは、国民4.3%、医師7.3%、看護師6.1%だったという。
 そこで厚労省は、『国民的な議論が進んでおらず、延命医療の中止について法制化したり、具体的な基準を策定する段階にない』として、今年の夏までに纏めることになっている報告書に具体的な延命医療の中止基準を盛り込まない方針を固めた、と今朝の新聞が小さい記事で報道している。
 これは誠に残念なことである。先のブログでも書いたが、これでは毎日多くの死を迎えている患者を前に、戸惑っている現場の医師の苦悩が先伸ばされるだけである。
 いよいよ国の統一基準に頼ることなく、病院ごとに必要な指針をつくり、公表して、チーム医療として実行に移すべきではないか。
 また一方で、国民の意識がそこまで進んでいないから先延ばしせざるを得ないということではなく、もっと積極的に国民の意識改革に取り組む姿勢が求められていると考える。むしろ国民の本音は、無駄な医療はやってほしくないと考えており、このことについてもっと事前の啓発が進んでいれば、調査結果は異なっていたと思えて仕方がない。
 4日前の2月22日付けのブログでも書いたが、解剖学者の養老孟司先生が、『老人は早く死んだほうが良い』といってみえる真意を理解したい。