田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

この美しい日本が好き/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-11-15 10:05:17 | Weblog
8

父たちがアラブ人のアジトをいちはやく発見した。
Vセクションの情報収集力にオドロキ。
弾丸で撃たれた死体のムゴサをはじめて見た。
そして内臓のはみでた不気味さ。
イヤナ臭い。
「日名子は……? いるの。ブジなの」
「いまのところ、わからない。GOGOGO」
突入の指令は英語。ここはトウキョウなのに。なにかヘンなの。
死体の悪臭をかいでいるうちに、翔子の感覚は異常になった。

わたしは、純粋培養で育てられてきた。
世の中の悪意、悪友、悪趣味、には触れたことがない。
でも、ダカラと言うべきか、正義感は強い。

確かに異形のモノ、吸血鬼は斬り捨ててきた。
吸血鬼は斬れば、粘ばつく塊とる。
溶ける。
あるいは、灰となる。
キレイナモノだ。
あとになにも残らない。
人間の死体のムゴサ。
生きようとする執念。
死の恐怖と戦い。
かれらは死に、あるいは致命傷をうけながら……のたうっている。

「翔子はここにのこって」
父が去ってから数分。
まだ銃声が時折している。
「ヘルプ」 
ノタウッテいた男が翔子に手をのばした。
それで、おしまい。ばたっと手が倒れた。

翔子はやりきれない。
せっない。どうしてテロなんて起こすの。

ふと見上げる。
父たちが踏み込んだ日本家屋の裏にビルがある。
平屋の日本家屋のすぐそばにビルがある。
都会の建造物のアンバランス。異常だ。
銃声はそのビルのほうでしている。

あっだれかいる。

はつきりとはわからない。
制服だ。わたしの学校の制服だということはみてとれる。
まさか日名子。跳び下りる気らしい。
背筋が震える。
もうどうしょうもない。
「やめて」
翔子は叫ぶ。
「死なないで」
翔子は泣き声で叫ぶ。
「やめて。だれかとめて」
だが跳んだ。
落下する。
ああもうだめだ。
その時だ。
ばさっと羽ばたきの音がした。
とてつもなくおおきな白い翼。
天使の羽だ。
飛翔してきたものは中空で落下する女子学生を捉えた。
バサッと羽の音がして、翔子のそばに舞いおりた。
日名子だった。日名子に翔子かけよる。
「センパイ。日名子さん、どうして。どうして」
「わたしが生きていると父がおもうように政治家てして動けないの。いつもわたしのことで脅迫されているの。愛する日本のために命をかけている父の行動が鈍るの。わたしもこの日本が大好き。だからわたしを死なせて」
それだけいうと、失心してしまった。
「落下するときのショックが強すぎたのかしら」
ミイマだった。
ミイマたち神代寺MV族は、天国の花園の園丁だった。
ルシファーの悪だくみで神の園から追われた。
堕天使だ。
羽根があって空が飛べても、あたりまえだ。

「あうりがとう、ミイマ。日名子を救ってくれて。ありがとう」

「ああ、しばらくぶりで封印していた飛翔能力を使ったので、息切れがしたわ」

ミイマにとっての「しばらくぶり」とは。
その歳月を考えると翔子は頭がくらくらした。
悪臭の悪酔いからまだぬけきつていないのかしら。
「ミイマ、ありがとう」
翔子はミイマにだきついた。
こんどこそ大声で泣きだした。

銃声もやんでいた。

APECのテロは未然に防げたらしい。



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ウラネタばらしのプログです/麻屋与志夫

2010-11-15 06:19:43 | Weblog
11月15日 月曜日

ブログです。

●ネタばらしになりますが、ブログを書くときは小説「さすらいの塾講師」のアイデアが浮かばない時です。浮かんだとしても、納得がいかないケースの時です。なんだか、これはどこかで読んだな。これは古いな。まだまだよく考え直してから書いた方がいい。そんな時です。

●APECの警備のものものしさは、すこし異常でしたよね。昨日は息子の車で深川のお不動さんへでかけました。随所に警官を見受けました。

●息子はカミサンに似て、整理整頓をモットーとしています。車の中は清潔でした。すこしタバコの匂いはしましたが。このところ、カミサンは家の中の不要なものを捨てるのに必死です。市役所で大きいゴミを出せるステッカーを買ってきては、せっせとゴミ捨てにはげんでいます。

●あなたに任せておいたら「ウチはごみ屋敷」になってしまうわ。

●「断捨離」なんて本も出ているらしく、このところ整理に勢いが付いています。

●恐怖です。そのうち、わたしもステッカーを張られて粗大ごみとして処理されてしまうのではないか……と。荷造り紐でくくられて、門前に打ち捨てられ、ゴミ収集車に積みこまれ、行きつく先は……。怖いイメージです。

●息子の嫡子、わたしからすれば、嫡孫、の「お宮参り」、カミサンはいそいそとひさしぶりの和服姿。おりから、七五三詣でとあって八幡さんのほうもすごい賑わい。不況だ、といっても日本はケッコウ平和なのだなと思いました。それとも、平和ボケでさしせまってそこにある経済不安から目をそむけてなすすべもなく、チッポケナ日常の平和にしがみついているのでしょうか。後者でないことを、望みます。

     深川不動尊
      

●カミサンは孫が可愛くて、嫁と交互にダッコシテいました。こうなると男にはやることがありません。わたしの好きなダキニ天が祭ってあったので白狐様にはやくカムバックできますようにと祈ったりしました。

●ダキニ天はインド、中国、日本と三国を渡り、那須野が原で滅ぼされた、九尾の狐、玉藻の前になったといわれています。「さすらいの塾講師」のミイマこと美魔はこの玉藻様を警護する武闘派ということにわたしの小説では、なっています。拙作「奥様はバンパイア」をお読みいただければ書いてあります。

●境内では紅葉する樹木をたのしみました。
  
    八幡神社
     

●さて……これからじっくりと小説のほう書きだしますね。


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