田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

元彼Fとミイマの死闘/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-11-05 05:06:41 | Weblog
9

唯の人。そうは思ってはいない。
敵は吸血鬼と知って戦っている。
だが――them(ゼム)――ヤッラのふいの変わり身。
翔子たちはついていけい。

まずFが変身した。
牙の鉤爪をひからせて、鋭く攻めこんでだ。
だが、鉤爪だけの武器では純と翔子の夢道流の剣士に斬りこまれる。
勝ち目はないと判断したのか。

変身した姿は怪異なものだった。
頭の両サイドからめきめきと角が生えてきた。
山羊の角とも見える。
目は黄金色の碗をはめこんだようだ。
月の光のように皓こうと光り放つ。

「うぬら、とって喰うぞ」
グローブのような手が伸びてくる。
だがおおきく変形しただけに動きは鈍い。

「あらまぁ!!! タクアンみたいな指だこと」
まさに翔子をワシヅカミにしょうとした。
Fの指を、古風に表現した。
が、百子の剣は居合ぎりのすばやさ。
輪切りにした。

「うう。痛い」
Fはわざとらしく呻く。
おおきくうでをふった?!
指は元どおりだ。
再生している。
いや、斬り落としたのは幻の指だったように錯覚してしまう。
まぼろしであるわけがない。
瞬時に再生してしまうのでそう思えるのだ。

「これでは、たたかいようがないよ」
「大江山の酒吞童子を倒した剣さばきどこにいった」
耳まで裂けた口がわらつている。
笑った方が凄みのある口元だ。

「さぁさぁさぁ」
翔子と百子がたじたじとなる。
純がふたりをかばって前に出る。

そのさらに前に人影が。

「おう。美魔か。この時を……千年以上も待ったぞ」
「それなのに、そのお姿は……あさましい信行さま……と、争わなければならない……悲しゅうございます」



 今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。

にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へにほんブログ村 -->
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする