田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ミイマ昔を想う/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-11-01 14:57:11 | Weblog
5

「消耗がはげしすぎたのね。念の力をフルパワーにして戦ったのはひさしぶりなのよ」
「オバサマのひさしぶりというのは、ナンネンブリカシラ……?」
やはり消耗がはげしすぎたのだ。
と納得した表情で玲加はミイマのそばに膝まづく。
すこし体を休めれば回復するだろう。
「10世紀ぶりかしら……」
少女のようなあどけない顔で、ミイマがきついジョークをとばす。
「あら、そんなにお古い話ですか」
と、玲加が真面目な顔で応えている。
「それより、わたしとんでもないこと感じた。あいつらブラックバンパイアのねらいは、わたしたちなのかもしれない。ひとをそそのかして、ひとを刺殺させる。あれはほんの前哨戦。BVの真の狙いは、わたしたち神代寺フアミリよ。たぶん、この推測には狂いはないはずよ」
ガラス壁にへばりついたあの「かはほり」。
――は、と……ミイマは古語でかんがえていた。
加波保利たちの憎しみに満ちたあの目。
殺意がこめられていた。
小さな尖った爪。
ネズミに似た顔。
きらいだ。
あいつらは人間に混じって生きることの出来るわたしたちを嫉妬している。
人間と結婚して、子どもの産めるわたしたちを憎んでいる。
「父に知らせといて。くれぐれも、注意するように」
念をこめただけでコウモリをしりぞけた。
口を突いて出たのは、消災陀羅尼だった。
あんなパワーがあったことなんか、わすれていた。
使う必要もなかったからだ。
Fに遭遇したためか。
なにかと昔のことばかりかんがえている。
いい思い出なんかあったのだろうか。


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98歳進藤兼人先生おめでとう/麻屋与志夫

2010-11-01 11:50:32 | Weblog
11月1日 月曜日

●98歳新藤兼人監督に特別賞。
遅い朝の食卓に朝日新聞が置いてあった。
懐かしい顔写真。
まだまだお若い。
わたしはシナリオ研究所の四期生のときに先生の謦咳に接した。

●一昨日は竹書房の名誉会長野口恭一郎氏の逝ったことを知った。
彼とは研究所で机を並べて新藤先生の講義を聞いた仲だった。

●「諸君は若い。研究所を卒業したからといってすぐモノになるとは思わないほうがいい。20年たっても、30年たってもだめかもしれない。あきらめないでほしい。シナリオを書く仕事、物書きとしての仕事は、男が一生かけて貫き通しても悔いの残らない仕事です。がんばってください」

●52年前に先生がわたしたちに贈ってくれた言葉だ。

●親の病気の看病のため田舎にひきこもってしまったわたしを、絶えず励ましつづけてくれた言葉だ。
何万人もいる先生の教え子の中の一人としてがんばりつづけてこられた。
この言葉があったからだ。
いまさらながら言葉とか映画の力を感じる。
先生おめでとうございます。
そしてながいことごくろうさまでした。

●まだまだ書きたいことはたくさんある。
だが目頭が熱くなった。
わがPCハルちゃんの画面がくもってしまった。  (木村正一)




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