田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ミイマ特製バラ手裏剣受けてみよ!!/さすらいの塾講師  麻屋与志夫

2010-11-12 10:29:16 | Weblog
5

「アイツラをこのまま見過ごすのか」
GGの声はひんやりとたものだった。
冷たい棺に横たわっているイメージにまだ支配されている。

「だったら、駅前通りの方にさそいこもう」
麻衣が低い声で応えた。
西武新宿駅前通りのほうで戦おうということだ。
花道通りを脱兎のごとく走る。
吸血鬼は血のしたたる口をあけて「おらぁ、おらぁ」と追いかけてくる。

麻衣たちはなれたもので、キャァ!!!!! こわい。
と黄色い声をあげて逃げていく。
GGは息を切らせながら追いかける。
そのGGを吸血鬼が調子にのって追いたてる。
めざすは、駅前通りの先の暗がりだ。
大久保方面に数分走った。
クノイチ48ガールズが走りこんだのは……。

麻衣はガールズが増えたのでGGの護衛についている。
GGと伴走している。
「けがさせるとミイマにしかられるから」といって、
舌をぺろりとだした。

解体中の雑居ビル。その駐車場。
「あんたたちは、おれたちをここにさそいこんだと勘違いしているよな。ここに追い立てられてきたのは、あんたらんなんだよ。わかるかな」
霊園でたたかったテツとトオルのコンビだった。
「おれたちの軍師、信行さまを滅ぼしたではないか。なにが共存共栄だ。ミイマにうまくだまされるところだった」

雑司ヶ谷霊園の前で、戦ったときよりふたりとも逞しくなっいいる。
この新宿の頭上に君臨する魔王の巨大な力が、権威が、彼らを強靭な吸血鬼に変えたのか。
テツのナイフのように長大な鉤爪がおそってきた。
「あまり、爪を長くするとろくなことはないぞ」
GG鬼切丸を抜き放った。
あらくれた悪鬼がいっせいに襲ってきた。
ガールズが苦戦している。
神代寺バラ園で戦ったときには。
翔子と純がいた。
ミイマがいた。
神代寺MV族の始祖とその一族がいた。
ボスの百子もいたではないか。
ガールズだけではかなりヤバイ。
得意の敵陣かく乱戦法もうまくいかない。

突然大地に伏せる。姿が消えたようだ。
中空に跳ぶ。うえから敵を襲う。
走る。その素早さ。分身の術、敵を幻惑する。
伏せる。
跳ぶ。
走る。
斬る。
斬る。
跳ぶ。
伏せる。
走る。
その技が効果が上がらない。
手の内を吸血鬼に読まれている。

GGは剣を地面に立てた。
 
麻衣だけはしっていた。
非常事態なのだ。
GGはわたしたちを救うために決断した。
あれを使う気だ。
麻衣にはわかっていた。GGがいつも腰にさげているサイドバック。
詰め込んであるものの正体が。
それは、ミイマがもしものときの、GGの防御にと心血をそそいで作ったものだ。

ミイマ手製のバラ手裏剣。
吸血鬼必殺のバラ手裏剣。

それがいまGGの手からガールズに迫る吸血鬼にむかって投げられた。
バラ手裏剣は吸血鬼の体に食いこむと、棘が成長する。
吸血鬼の血をすったバラの棘はのびるのだ。
だからいちど刺さると、ぬくことができない。

「なんだこれは」
吸血鬼が絶叫する。

ジイッと溶解音をたてて吸血鬼が消えていく。
ジイッと妖怪が音をたてて溶けていく。
あたりは悪臭が立ちこめ、息苦しい。
GGはバラ手裏剣にミイマが心血を注いだという理由を理解した。
手裏剣には、ミイマの血が塗られていたのだ。
ミイマはじぶんが不在でもGGを守る手段を施しておいたのだ。
同族の血を吸収した吸血鬼は溶けてしまう。


悪臭の満ちる廃ビルの広がりの中でGGは感動していた。

あらくれてた悪鬼がたじたじとしている。

ガールズが戦機をとらえて反撃に出た。





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鹿沼にイノシシが出た。クマが出た/麻屋与志夫

2010-11-12 07:59:17 | Weblog
11月12日 金曜日

●「イノシシがでたよ」
第一報は小学生のクラスでツルちゃんからもたらされた。
イノシシがでたよ! イノシシがでたよ!! それからがたいへんだった。そのあとのクラスでも、イノシシの話題でもちきり。

●ホントかな?
鹿沼市として考えたら、クマが出ようが、イノシシがでようが、鹿がでようが、おどろかない。驚かない。

●鹿沼にもどってくるのは、塾の講義があるからだ。
もどってきても外にはでない。
食料を買いだしに小柄なカミサンのおともをしてベニマルまでいくくらいだ。
そのついでに、黒川の清流を眺めながら川べりを散歩する。たのしい。

●その鹿沼の郡部ならともかく街にでたというのだ。
ええ、ほんとかよ。そうだ、困ったときにはパソコンだぁ。

●ヒット。ヒットしました。ヤッパわが愛しのPC、ハルちゃんはすごい。

●上田町にイノシシが出た。出た。出た。
わが家から200メートルと離れていない。
原さんが。9日9時半頃、自宅近くの空き地で花の手入れをしていたところ、約2メートルはなれたところにイノシシが突然出没……

●これはたいへんなことだ。
のちのちまで語り継がれるような鹿沼の都市伝説になるぞ。
コレで死人でもでたら、さらにさらに、たいへんだ。
でも街のどまんなかにイノシシがでるまで。
ほかには目撃者はいなかったのだろうか。ね。

●こんどはクマがでたという。クマだ。サルだ。
もう、こうなったら街中、動物園になったような大騒動となっています。

●外には出ない。
これでは、出られないわたしの耳にもきけてきます。
消防で乾燥注意を車で呼びかけている。
イノシシがでたから注意してください。
とも言っているようにきこえてくる。
この問題どう決着がつきます事やら――。

●おバカな小説家は、これで吸血鬼がでたら!!……
ホラーな話でなく。ホラ話しですよね。

●「玄関を開けたら吸血鬼がいた」
短編の出だしとしては面白そうだ。
みなさんの騒ぎをよそに、世間知らずのおバカ作家は考えたものだ。
ほんとバカですよね。なんでもかんでも、小説のネタにしてしまいます。


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