田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吸血鬼浜辺の少女外伝/魔闘学園 麻屋与志夫

2008-08-28 17:59:14 | Weblog
 あの時、武と稲垣は不審尋問をした男をとり逃がしていた。
 本田にどなられた。

「しらない男よ。ここ歩いていて声かけられたの。2まんだすからって、ネダられたのよ。しかたないじゃん」
「カネ出せば、だれとでもつきあうのか」
「そうだよ。武なら、ただで、あげちゃう」
「そうゆう、もんだいかよ」

 タカコと話していると、頭がおかしくなる、と武は思う。
 思いながらも、タカコの豊かな胸を眺め……なにか聞き出そう焦っていた。
 だが、武はタカコからは男にかんする情報はなにもえられなかった。
 いまどきの中学生の考えていることはわからない。
 わかったところで彼女たちの行為をとめることはできない。

 これは教育の問題です。

 親と学校の先生に責任があります。
 親の自分の子どもにたいする教育がなってない。
 なにか問題がおきれば、すべて学校の責任にする。
 教師の監督不行き届きだとわめきちらす。
 モンスターマザがいる。
 すべてを行政側の責任にする。
 子どものことを理解していないのは。
 その両親だ。

 本田の口癖をおもいうかべる。
 気がらくになった。

 あのとき、男は三段跳びを逆転写したような動きをみせた。
 稲垣の尋問をこばんだ。
 なんの予備運動もなかった。
 正面をみたまま背後に跳んだのだ。
 あっけにとられた。
 ふいをつかれてばか面をしていたろう。
 武と稲垣。
 ふりの顔をみたまま男は不気味な哄笑をあげた。
 さらに跳び、そしてもう1回。
 3回の後ろ跳びで視界から消えてしまった。

 タカコのことなどほうっておけばよかった。
 稲垣と二人で消えた男の残像をもとめて河川敷を見渡した。

 太古から変わらぬ黒川の流れがあるだけだった。
 河原には枯れすすきが春の夜風にそよいでいた。
 男の消えかたに、武は不自然なものを感じた。
 
 なにか、〈非現実〉的なことが……起きている……。

 採集した指紋からは犯罪に該当するような人物はうかびあがらなかった。

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吸血鬼浜辺の少女外伝/魔闘学園  麻屋与志夫

2008-08-28 05:22:30 | Weblog
「なんだぁ。三津夫の妹じゃないか」
「スケベデカ。あまりみつめないでよ」
 女子中学生にしては熟れきった豊乳をおしげもなく、月光にさらしタカコが武をにらんでいる。
 夜風がそよいでいる。
 タカコに背をむけた。
 武の目の前で稲垣が男を尋問している。
 なにがスケベデカダ。
 ガキのくせに、発情しやがって。
 兄貴にコロサレルゾ。



「だれも、信じてくれないんスよ」
 
 三津夫は武にすがるようにいった。
「あたりまえだ。いそがしんだ。そんなゲームの世界みたいなことがあるかよ。もう、いいかげんにしろ。鹿陵総番の名がすたるぞ」

 三津夫と番場が御殿山公園についたときには、暴走族の一団の影もかたちもなかった。

 だれにも見えていないらしい。

 あの時、新鹿沼駅にいた学生たちにきいてまわった。
 なにも目撃していなかった。
 あれから数週間がすぎていた。       
 この鹿沼の里は春。          
 ……やつらには見えないのか。     
 みんなに聞いてまわった。

 だれもあの連中を見たというものがいない。

 三津夫の頭はヒートしてした。
 武のところに相談にきたのだ。

 見えていても怖くてなにもいえないのか。
 
 駅員からもなにもききだすことはできなかった。

「それより、三津夫、タカコ、なんかかわったことないか」
「なんスか、センパイ。うちのタカコがなにかやらかしたんですか」
「いやそういうことじゃない。きゅうにエロッポクなったとおもってな」

「ああ、あいつ、センパイのこと好きですから」
「よせ。デカとスケ番では、さまになららない」

「それって、差別。さべつですよ……だけど、そういえば……」
「どうした? なにかかわったことあるか」

「タカコのやつ夜出歩いている」
 武はガクッとなった。

「夜……ゲーセンにたむろしているから非行少女なんだろうが。夜の街を徘徊しなくなったらおかしい……からな。夜出歩いてなんの不思議がある‼」
「男ができたみたいなんス。武さんにはわるいが、男がいるみたいんス」
「ダカラ、おれは関係ないの。おれに遠慮することないの」
「ホントスか。武さんのタカコ見る目、あれほれてる目とおれ見たんスよ」
「ばかバカ馬鹿。刑事をからかうと、逮捕しちゃうぞ」

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