田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

悪臭/吸血鬼ハンター美少女彩音  麻屋与志夫  

2008-08-07 22:29:33 | Weblog
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57

 教師仲間は外聞をはばかった。
 ひたかくしに隠してきたのだ。
 それをいいことに校長室でご乱行におよんでいた。
 神田が悪意にみちた顔で一歩前にふみだす。
 顔がそばに寄ってきた。
 息が臭い。
 ドブ泥のようだ。
 腐敗の臭いだ。
 そばにいるものを腐らせてしまうような臭いだ。
 乱杭歯をむきだした。
 さらに近づいてくる。
「その生徒をこちらにわたせ」
 吸血鬼の鉤爪がぐっとのびる。
 せまってくる。
 楔が効かないのか??
 彩音はとびのく。
 慶子は背が高いうえにバスケの選手だ。
 習性おそるべし。
 ジャンプしたが上にしてしまった。
 頭を天井にうちつけた。
 痛みではいつくばる。
 その上を麻屋がとびこす。
 神田にまわしげりをかます。
 神田がふっとび壁に激突する。
「オッチャン。ヤルジャン」
「ドウダ。ゲンキガデタカ、彩音」
 これでもくらえ。
 彩音が慶子をかばいながら楔を吸血鬼のふとももにつきたてる。
 ジュっと緑の血がわきでる。
 鱗がケロイドとなって溶けだした。
 にわかづくりの楔が効果ありとみてとると、慶子は元気に起き上がる。
「こんどは、とびはねるなよ」
「わかってるわ」
 慶子が神田に楔をうちこむ。
 神田はぜんぜん怯まない。
 溶けた傷跡もふさがっている。
 いままで相手にしてきた吸血鬼とはパワーが違う。
 能力がはるかに上のランクだ。
 たった一人の神田に三人が圧倒された。
「だめだ、吸血鬼呪縛の呪文がきかない」
 麻屋の朗唱がとぎれる。
「そんなたわごとが、おれに通じると思っていたのか。あまくみられたものだな。

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霊験/吸血鬼ハンター美少女彩音 麻屋与志夫

2008-08-07 18:27:31 | Weblog
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56

 壁がびんびん震えている。
 すごい力だ。
 まさに人のものではない。
「招かれなければ入ってこられない。真正吸血鬼かもしれないな」
 空気がもたない。
 狭い空間だ。
 このまま閉じこもっているわけにはいかない。
 三人は意を決した。
 ソレっとかけ声かけて扉をおした。
 全身青い鱗におおわれた異形のものがいた。
 大きい。
 吸血鬼のボスか?
 大中寺の魔除けの札をからだにつけている。
 岩船山高勝寺の板札をこまかく裂いてつくったにわか楔をもっている。
 彩音が吸血鬼と向かいあった。
 健気だ。 
 いままでたおしてきた吸血鬼よりはるかにランクが上だ。
 目が赤くぎらぎら光っている。
 威嚇するように乱杭歯のあいだからシュシュっと息をはく。
 牙がさらにのびる。
 彩音は吸血鬼捕縛を高々と朗詠する。
 慶子も唱和する。
 彩音は吸血鬼の鉤爪をさけて、体をねじった。
 その姿勢から楔をとばす。優雅な舞いの姿だ。
「鹿沼流一段『風花』の舞い」
 と彩音が叫ぶ。
 みよ、楔は2本とも吸血鬼の胸につき刺さった。
 一体は倒した。
 皐の楔より霊験あらたかだ。
 それはそうだろう、岩船山は高勝寺の板札を裂いてつくつた楔だ。
 にわかづくりといえども、効果テキメンなのは、あたりまえだ。
「あんたのような不細工なヤツはナンニンいるのよ」
 風花が舞うように楔が吸血鬼みがけてとんでいく。
「ほざけ。小娘め。塾のジジイもシシャリでるな」
「これは、これは元教育長の神田先生。帰り咲きでもねらってるんですか」
「黙れ、もう鹿沼の教育界はわれわれのものだ」
 確かに、吸血鬼に神田の顔がオオバラップしている。
 もともと、犬歯が異常にながく吸血鬼面だったので気づかなかったのだ。
 麻屋の古い記憶の中でも、すでにこの神田は吸血鬼行為にふけっていた。
 校長時代に周り女教師にワイセツなふるまいをしていると評判が立っていた。
 元祖セクハラ校長だ。

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岩船山/吸血鬼ハンター美少女彩音 麻屋与志夫

2008-08-07 07:19:12 | Weblog
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55    

「わたしたちの祖先の仕打ちを許してくれ。やすらかな冥福を祈ります」
 壁に大平山大中寺の札がびっしりとはってある。
 セピア色に色褪せている。
 それが新鮮な色にもどった。
 いま刷り上げられたような色だ。
 死霊の怨念で汚されていたのに。
 麻屋の祈祷で、その御利益が回復したのだ。
 太平山に隣接した岩船山高勝寺の板札がうちつけてある。
 麻屋は祈りつづけた。
 足音がかれらが通りぬけてきた洞窟にひびく。
 近寄ってくる。
 複数のものだ。
 せまいのでエコーとなって聞こえる。
「気づかれたな」と麻屋。
 彩音が壁に耳を寄せた。
 いちど通りすぎた足音がもどってきた。
 有蹄類のようにどすどすと固い音がする。
 三人は袋のネズミだ。
 この部屋にはどこも出口がない。
 いま進んできたのが抜け道だ。
 延長された部分もある。
 閉鎖され、埋められてしまっている箇所もある。
 ともかくむかし掘られた穴だ。
 息苦しくなってきた。
 狭い部屋だ。
 換気がわるい。
 よどんでいた空気がさらによどむ。
「おっちやんセンセイ、なにやってるの」
 わざと慶子がおどけてきく。
 麻屋は板札をナイフで割っていた。
「紙札をからだにまきつけるんだ。これが楔がわりだ」
「わたしが皐の楔を忘れたから……。ゴメンナサイ」
 壁が外からどんどんたたかれた。
「はいってはこられないみたい」
 慶子も壁に耳をあてた。

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