田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

彩音と司/吸血鬼ハンター美少女彩音 麻屋与志夫

2008-08-21 04:59:41 | Weblog
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 校庭は暴徒。
 いや仮性吸血鬼となった街の人たちで埋められていた。

 阿鼻叫喚の庭の上空は。
 昼を暗くするコウモリが。
 重層的に群れていた。
 キュユと鳴きながら女生徒をおそっていた。

「源一郎、あれを」
「おう、先刻承知」

 源一郎が閃光弾を拳銃に装填した。
 上空のコウモリめがけてうちこんだ。

 あたりが眩い光でおおわれた。

 司と彩音をのせてきた。
 あの黄金色の九尾の狐が。
 閃光弾の光に誘われて。
 またも出現する。

 さらに光の輝度をましている。

「おのれ犬飼のものども。人狼め。いつの世も、男は獣。女をむさぼることしかできぬのか」

 狐に乗って玉藻が降臨した。

 玉藻と狐が一体となる。
 
 玉藻のものである九条の光が狐から校庭にとびちった。
 
 玉藻のものである光が闇の男達の体につきささった。
 光る体毛が針となってとび散ったのだ。
 光のなかでとびちった針のような黄金の毛がきらめいている。
 女生徒にのしかかっていた仮性吸血鬼がジューと音をたてて、溶けていく。
 玉藻には怨敵犬飼一族の狼男にみえるらしいが、むべなるかな。
 玉藻の時代には吸血鬼という概念はなかったのだ。
 コウモリがばたばたおちてくる。
 玉藻の光と閃光弾の効果だろう!!

 太陽の光が校庭にさす。
 ジュジュと煙をあげて吸血鬼になりたてのモノたちが溶けていく。
 
 闇が消え光がさす。
 
 やっと閃光弾でとりもどした光のなかを、稲本が悠然と近寄ってくる。
 光を浴びても平気でいる。
 両手を前につきだす。
 
 爪がは鋼の光をはなっている。

 彩音が剣を構える。
 司も剣を構える。
 
 稲本はふたりの若い剣士をにやにや眺めている。
 侮蔑をこめてみつめている。
 すぐにはおそってこない。

 どう料理するか。
 どうたべるか。
 たのしんでいるのだ。
 
 光がすこし薄らぐ。
 その瞬間黒いシルエットがふたりのまえで跳躍した。
 上から襲う気だ。
 害意に満ちみちた稲本の顔が頭上に迫る。
 ふたりは同時に同じ動作をした。
 仰向けに体を倒すと剣を垂直にたてた。

 司と彩音。

 ふたりの呼吸がぴったりとひとつになっている。それがうれしい彩音だ。
 牙をむきだした稲本がふたりの上で反転した。

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コメント
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