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馬島の化石の剖出 その1

2015年05月24日 | 化石
馬島の化石の剖出 その1

5月17日に採集した馬島の化石は5点。

1 17日の馬島で採集した化石(再録)
○左上 ウニのチクゼンカシパンEchinodiscus chikuzenensis
○上中央 鯨類の骨 部位不明。裏まで続いていないから、小さな骨。
○右下 何かの骨片。正体を知りたくて持ち帰ったがたぶん捨てるだろう。
○下中央の数個の砂岩 骨片。たぶんプロトプテルムで、採集時に中央部分を厚さ3ミリほど飛ばしてしまったから、良いものにはならない。
○右 ネコザメの歯

 チクゼンカシパンは、面倒なので、もっと暇な時にクリーニングしようと、保留。右下の骨片は、少し出してみたが鯨類らしい骨で特徴がなく、放棄。ここでは三つに割れた黄色の砂岩中の骨のその後を報告する。最初に結論を言っておくが、完全にはわからなかったので、期待しないでお読みいただきたい。
 標本は崖の表面に、U字型の断面が見えていたもの。深さが分らないから、周りを掘らずにいいかげんに表面にタガネを打ち込んだから、三つに割れ、しかも途中が飛んでしまったから、望み薄。採集の仕方が荒いから、友の会員の方に「(そんな取り方で)復元できるのか?」と聞かれたので、あきらめずにしなくては。
 まず3つの砂岩片をできるだけ元の位置に接着。瞬間接着剤を使用。

2 採集岩片を接着

 上に書いたように、間に欠損があるから、そこにティッシュを詰め込んで埋め、瞬間接着剤をしみ込ませて固化を待つ。

3 すき間を埋める。

 固まったところで、分かっている表面を追跡するように、ケガキ針で露出させて行く。馬島裏側の砂岩は適度に柔らかいので、タガネは不要。ニッパーで出っ張った要らない所を割り取って進める。

4 ケガキ針で表面を追う。実際には左手をストッパーとして添える。この写真では左手がカメラを持っているので…。バックは古いジーパン。

5 ニッパーで砂岩をトリミング

 ティッシュは、化石よりも余分に積んであるから、表面が出っ張ってくる。これはカッターナイフで削り落していく。クリーニングを進めると、最初の詰め込みでは埋まらなかった穴が出てくるから、その度にティッシュを詰め込んで固める。

6 穴が出てきた!

7 ピンセットを使ってティッシュを詰める。そこに瞬間接着剤をしみ込ませる。

 この方法は、化石が溶けたりして、岩石に雌型だけ残っている時にも有効である。その場合、表面に薄く化石が残っていれば、外見も実物と変らない。
 結局U字型というよりV字型の断面を持った、長さ3センチ、高さ1.2センチ、幅1.2センチほどの骨が出てきた。
(つづく)

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