私の化石組標本(その7)
My set of fossil specimens, part 7
古生代の三回目。
22 標本9-12 scale: 5cm
Specimen 9-12: Phacops, Phillipsia, Fenestera, rugosa
標本9 ファコプス アメリカ産 デボン紀 節足動物・三葉虫
23 標本9 ファコプスの頭部腹側
購入標本。ミネラルフェアで、表だけ見える状態で売られていたのを、細部まで、そして腹側面をクリーニングした。注目したいのは、腹側面の外周にそってシャープな溝が取り巻いていること。三葉虫の防御姿勢は有名で、丸くなったときに、この種類では尾部の外縁がこの溝にはまりこむ。そして、側方の溝には復部の節の外縁(この類では丸くなっていて尖っていない)がはまるから、溝の縁(とくに内側のへり)がギザギザになっている。この写真でみえるかどうか。
Phacopsの命名はEmmrich で1839年。やはり古い属名である。語源はたぶんphacoの部分がレンズ豆のこと、 opsが目であろう。
標本10 フィリプシア Phillipsia 岩手県長安寺産 石炭紀 節足動物・三葉虫
大学に入って、1965年と1967年の夏に東北地方に化石採集に出かけた。岩手県の長安寺には二度とも行ったが、これはたぶん二度目のときの標本だから、1967年8月1日の採集だろう。駅に近い山すそに用水路が走っていて。その上の斜面の小さな露頭で採集。三葉虫がしばしば出てくるので、うれしかった。種類はPhillipsiaとなっている。たぶんP. ohmoriensisという種類。
Phillipsiaは1843年、Portlockの命名。当然Phillipsという人名に由来する。J. Phillipsは1800年代前半のイギリスの古生物学者。
標本11 フェネステラ Fenestella 岩手県長安寺産 石炭紀 外肛動物(こけむし類)
標本10の三葉虫と一緒に採集したもの。フェネステラ類のコケムシは、日本の石炭・ペルム紀の地層でよく見られる。たぶん付着性ではなく、ウミウチワのように立ち上がっていたのではなかろうか。板状であるが多くの貫通した穴があいている。当然Fenestellaの語源も窓と関係あるのだろう。ここではこの標本の属名としたが、多くの属に細分されるので、あやしい。Fenestellaの命名は1839年、Lonsdaleによる。
標本12 四射サンゴ類 rugosa 山口県秋吉台産 石炭紀 腔腸動物
秋吉台への化石採集は、学生時代からごく最近まで何度も行ったから、いつの採集かわからないが、古いもので、たぶん1968年に大学の実習で行った時のもの。あまりいい標本でないし、属名も調べてない。「組標本」のリストに、秋吉台がこれしかないので、抜くわけにはいかない。
やっと採集標本が多くなってきた。その方が「私の組標本」らしくていい。
前回、Acrotheleの属名について、「属名の命名は古いらしいが、ネットでざっと調べたが出てこなかった。科名Acrothelidaeが1893年に命名されているからそれより前。」と記したが、その後判明した。Acrothele属の命名は、Linnarsonによって1876年にされた。
もうひとつ前回、バランデの著書名にブラウザーによっては表示されない文字があるらしいので、再録。「Système silurien du centre de la Bohême」のうち2文字で「Systeme …. Boheme」のそれぞれの単語のeの上に記号が付く。くわしくはネットでお調べ下さい。今後は、このような記号のついた文字のあるときには、それらを取り去ったものも併記しておこう。
採集した標本について
標本10 フィリプシア・標本11 フェネステラ
岩手県大船渡市長安寺
標本12 四射サンゴ類
山口県美祢市秋吉台
My set of fossil specimens, part 7
古生代の三回目。
22 標本9-12 scale: 5cm
Specimen 9-12: Phacops, Phillipsia, Fenestera, rugosa
標本9 ファコプス アメリカ産 デボン紀 節足動物・三葉虫
23 標本9 ファコプスの頭部腹側
購入標本。ミネラルフェアで、表だけ見える状態で売られていたのを、細部まで、そして腹側面をクリーニングした。注目したいのは、腹側面の外周にそってシャープな溝が取り巻いていること。三葉虫の防御姿勢は有名で、丸くなったときに、この種類では尾部の外縁がこの溝にはまりこむ。そして、側方の溝には復部の節の外縁(この類では丸くなっていて尖っていない)がはまるから、溝の縁(とくに内側のへり)がギザギザになっている。この写真でみえるかどうか。
Phacopsの命名はEmmrich で1839年。やはり古い属名である。語源はたぶんphacoの部分がレンズ豆のこと、 opsが目であろう。
標本10 フィリプシア Phillipsia 岩手県長安寺産 石炭紀 節足動物・三葉虫
大学に入って、1965年と1967年の夏に東北地方に化石採集に出かけた。岩手県の長安寺には二度とも行ったが、これはたぶん二度目のときの標本だから、1967年8月1日の採集だろう。駅に近い山すそに用水路が走っていて。その上の斜面の小さな露頭で採集。三葉虫がしばしば出てくるので、うれしかった。種類はPhillipsiaとなっている。たぶんP. ohmoriensisという種類。
Phillipsiaは1843年、Portlockの命名。当然Phillipsという人名に由来する。J. Phillipsは1800年代前半のイギリスの古生物学者。
標本11 フェネステラ Fenestella 岩手県長安寺産 石炭紀 外肛動物(こけむし類)
標本10の三葉虫と一緒に採集したもの。フェネステラ類のコケムシは、日本の石炭・ペルム紀の地層でよく見られる。たぶん付着性ではなく、ウミウチワのように立ち上がっていたのではなかろうか。板状であるが多くの貫通した穴があいている。当然Fenestellaの語源も窓と関係あるのだろう。ここではこの標本の属名としたが、多くの属に細分されるので、あやしい。Fenestellaの命名は1839年、Lonsdaleによる。
標本12 四射サンゴ類 rugosa 山口県秋吉台産 石炭紀 腔腸動物
秋吉台への化石採集は、学生時代からごく最近まで何度も行ったから、いつの採集かわからないが、古いもので、たぶん1968年に大学の実習で行った時のもの。あまりいい標本でないし、属名も調べてない。「組標本」のリストに、秋吉台がこれしかないので、抜くわけにはいかない。
やっと採集標本が多くなってきた。その方が「私の組標本」らしくていい。
前回、Acrotheleの属名について、「属名の命名は古いらしいが、ネットでざっと調べたが出てこなかった。科名Acrothelidaeが1893年に命名されているからそれより前。」と記したが、その後判明した。Acrothele属の命名は、Linnarsonによって1876年にされた。
もうひとつ前回、バランデの著書名にブラウザーによっては表示されない文字があるらしいので、再録。「Système silurien du centre de la Bohême」のうち2文字で「Systeme …. Boheme」のそれぞれの単語のeの上に記号が付く。くわしくはネットでお調べ下さい。今後は、このような記号のついた文字のあるときには、それらを取り去ったものも併記しておこう。
採集した標本について
標本10 フィリプシア・標本11 フェネステラ
岩手県大船渡市長安寺
標本12 四射サンゴ類
山口県美祢市秋吉台
夏に宮若市で黒ちゃんさんの化石展に絵を出させていただけるようになりました。中生代と新生代は自信作です。古生代で彷徨ってますがご覧いただけますと幸甚です。
https://springbreakartfair.com/products/anonda-bell-zoarium-of-fenestella?variant=40373047853110
たしかにそうでないと、貫通した穴の意味がありません。またアルキメデスのような螺旋形の種類への変化も想像しやすくなります。
「付着性ではなく」としましたが、言葉が不適切でした。「面的に付着するのではなく」というつもりです。