OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

1993年のニュージーランド研究旅行 その36 カンタベリー博物館

2017年02月28日 | 昔の旅行
1993年のニュージーランド研究旅行 その36 カンタベリー博物館
Research trip to NZ, 1993: No. 36 The Canterbury Museum

 2月11日昼前にカンタベリー博物館(Canterbury Museum)の正面から見始める。街の中心であるカテドラル(2011倒壊)からまっすぐ西にワーセスター通り(Worcester Blvd.)を1キロ弱進むと、ちょうど博物館の入口に来るようになっている。1993年にはこの間は歩くしかなかったが、次に訪れた時には以前あった路面電車が復活していて、カテドラルからここまでまっすぐ来て、博物館の前で右折、もう一度角を曲って北側の道路を東にもどり、一周する時計回り(単線、一方通行)の運行を始めていて、観光客に好評であった。なお、博物館の建物にも2011年の地震で被害があったが、すでに修復されているようだ。
 建物は白と黒の石を使った伝統的な美しいもの。左端が入口で、道路側から見ると右に長く続き、実は奥行もかなりある。

36-1 カンタベリー博物館入口 1993.2.11

36-2 同博物館の外観 1993.2.11
The Canterbury Museum

 展示はどちらかといえば旧式で、展示室は暗いからムードはあるが分かりやすくはない。ジオラマもあるが規模は小さい。

36-3 サギのジオラマ 1993.2.11

36-4 恐竜の展示
Exhibition of the Museum

 恐竜の骨格は古いタイプであるが、この時代を考えるとやむを得ない。私のいた博物館も1993年ころはこういったポーズだった。
 大きな地球儀が回っているのはなかなかいい展示。日本でこれをやろうとすると、地球儀を見下したい(日本は北半球にあるから)ので、レイアウトに工夫を要する。

36-5 大きな地球儀 1993.2.11

36-6 昆虫の展示 1993.2.11
Exhibition of the Museum

 館内にレストランがあって、そこで簡単な昼食をとる。マフィンと紅茶の「デボンシャー・ティー」が安くておいしい。


父の遺した写真 35 無蓋車

2017年02月25日 | 鉄道
父の遺した写真 35 無蓋車

 父が撮影したのは社会科教材だったから、鉄道車両の写真は多くない。それでもいろいろな種類の車両が写っている。貨車から見ていこう。

35-1 無蓋車 東海道本線根府川駅 1956.11.2

 根府川石は箱根火山の溶岩で、板状の節理が発達していて薄板のような石材が出荷される。写真はホームから北を向いて撮ったものだろう。貨車は屋根のない無蓋車(車両記号ト)で、この様子だとあまり梱包もしないで内部に積んだのだろうか。ボギー車(回転する台車のある車両)ではなくて固定軸の短い貨車である。構造が簡単だが、高速運転やカーブの通過速度に制限があるので、後にはあまり使われなくなった。

35-2 無蓋車二両 東海道本線清水駅 1960.3.22

 左の無蓋車は、車両記号「トム」右のは「トキ」と表示されている。前の文字「ト」は無蓋車の意味でtruckに由来する。後の文字は荷重を区別するものでム・ラ・サ・キの順で大きくなる。「ム」は14トンから16トン、「ラ」は17から19トンの積載量を示す。後にはタンク車「タ」や有蓋車「ワ」も見える。撮影場所は清水駅で、清水港で船便とのやりとりをする貨車であろう。後の工場は東亜燃料である。清水駅から東に向かって撮影したもの。

35-3 鋳物砂の運搬 武豊線武豊駅 日時不明

 知多半島の野間と河和の間の丘陵地に産する砂を、鋳物に用いるため搬出しているところ。「野間砂」とか「知多珪砂」として売られていた。後には海砂も使われたという。この搬出風景を見ると、砂を貨車に直接入れていたのだろうか。

35-4 近江鉄道の無蓋車 東海道線彦根駅 1958.8.27

 近江鉄道の貨物運送は1988年に終了した。この貨車の車両記号は単に「ト」と記してある。国鉄の記号では、重量のランクを示す記号がないのは、荷重13トン以下ということになるが、この無蓋車は所属が近江鉄道なので、別のルールがあるかも知れない。いずれにしてもずいぶん小さい貨車である。近江鉄道の無蓋車に関連する輸送として、野沢セメント(現・住友セメント)の石灰石原石の輸送が考えられる。後の山にあるがけが、野沢石綿セメントの彦根工場であるが、1996年に閉鎖し、現在その場所は住宅街になっている。
 写真の転載はご遠慮いただきたい。


古希

2017年02月22日 | 今日このごろ
古希

 先日、私の古希(70歳)を皆さんに祝っていただいきました。深く感謝いたします。参加いただいたのは、昔からの化石の好きな友人の方々ほか。私が昨年癌をわずらって、現在経過観察中なので、皆さんに御心配をかけたのが一段落したこともふくめての会でした。
 カフェを借りきって昼食をとりながら楽しく談笑していただきました。来てくださった方々に御礼申し上げます。

 その時の写真を掲載しますが、顔部分の解像度を落してあります。


古脊椎動物学の活用

2017年02月19日 | 化石
古脊椎動物学の活用

 ちょっと古い話。県内の某警察署から自宅に電話がかかってきた。「骨の鑑定をお願いできるか?」とのこと。メールで写真を送ってもらったが、今一つ分らないので、出向くことにした。「お迎えに行きましょうか?」とのことだったが、パトカーで自宅に来られても世間の眼が、と断って向かった。
 骨は、ある方が最近購入した中古車のトランクルームに落ちていたという。事件になっても困るので、警察に連絡してきたとのこと。警察では、当初お医者さんに、次いでペットショップに依頼したがいずれも分らないとのことだったそうだ。それはそうだろう。骨になった動物(や人間)を扱うことはなさそうだ。そこで、博物館に聞いて私のところに聞いてこられた。
 駅まで迎えに来てもらって(パトカーではありませんでした)庁舎に行くと、骨が用意してあって、大勢が寄ってきている。6センチほどの四肢骨の断片で、結合組織が干からびて付いている。一見して偶蹄類、とくにシカの大腿骨の近位端(骨盤との関節の付近)と考えて、そのように伝えた。さらに、「骨を割っていて、焼き痕が無いから、狩猟をする人が解体して運搬したのではないか。」と推理しておいた。解体するなら、大腿の付け根は切る所であろう。


骨 外側(上)と内側(下) 2012年6月

 翌日警察署から電話があって、「中古車のもとの持主が分りました。猟友会の会員だそうです。」とのこと。推理は完全に当っていた。部分的な骨の鑑定ができる古脊椎動物学の勝利?であろう。いずれにしてもヒトの骨でなくて良かった。新旧の車の持主も中古車屋さんも、そして警察もほっとしたことだろう。古脊椎動物学も直接に社会の役に立つことがあるのだ。
 後にその警察署から、数回骨の鑑定依頼が来た。牛の歯だったり犬の埋葬骨だったり…。さいわい警察からの依頼では人骨に当ったことはない。


1993年のニュージーランド研究旅行 その35 南半球の植物

2017年02月16日 | 昔の旅行
1993年のニュージーランド研究旅行 その35 南半球の植物
Research trip to NZ, 1993: No. 35 Plants of Southern Hemisphere

 この植物園でぜひ見ておきたいものがあった。まずアラウカリア(南洋杉)。大きな木が入口の正面からちょっと進んだ所にある。

35-1 アラウカリア 1993.2.11

35-2 アラウカリアのラベル 1993.2.11
Araucaria

 アラウカリアは南米の針葉樹で、化石が日本で報告されているので、その展示をする場合に備えて撮影しておきたかった。杉の葉を拡大したような、枝の周りにトゲのある小葉がびっしり囲んだもので、猿がつかめないだろうかと心配してか、モンキー・パズルという俗名が付いている。
 他に見たかったのがノトファグス。

35-3 ノトファグス 1993.2.11
Notophagus

 これも南半球特有の植物。ユーカリも見ておきたい。

35-4 ユーカリの巨木の前で 1993.2.11
Eucalyptus

 植物園の中でおもしろいものを見つけた。それは日時計。

35-5 日時計 1993.2.11
Counterclockwise sundial

 この時計の数字を見ていただきたい。右端がXIIつまり12時であるが、その上が1時、逆に下が11時である。南半球では日時計は時計回りではない!いちおう解説しておくと、南半球でももちろん太陽は東から出て西に行くのだが、北の空を回る。だから太陽は右から左に動く、というわけ。
 植物園の裏口(西口)の近くに、小さな建物があって、ガイドブックや自然に関係するグッズを売っている。

35-6 植物園のショップ 1993.2.11
Shop in the botanical garden

 だいぶん時間をかけてしまった。次は博物館の見学。