後になってOwenはイギリスの爬虫類化石標本をまとめた。亀類・トカゲ類・ヘビ類・ワニ類それに恐竜類と海生爬虫類などに分けて4冊の長いレビューを行った。4冊それぞれの発行年は表紙に記してないので、ここでは「1849-1884」と扱う。第1巻と3巻がテキスト、2巻と4巻が図版で、その順序は地層=時代別になっているから、目的のものがどこにあるか探すのは容易ではない。ここでは思い切って関係部分(恐竜・翼竜・首長竜・魚竜)だけの所在表を作っておこう。
1. 恐竜 vol.1:[259-271, 275-378, 503-536, 551-630] vol. 2[pls. 1-49, 59, 61-85] vol. 3:[89-125, 166-175] vol. 4[pls. 46-58, 87, 88]
2. 翼竜 vol.1:[234-258, 379-397, 436-454, 463-536, 537-550] vol. 4:[pls. 1-19]
3. 首長竜 vol.1:[213-221, 455-460] vol. 3[1-40, 152-165, 177-178] vol. 4:[pls. 14, Tab. 1-16, Pls. 17, 15, 26-32, 18, 20]
4. 魚竜 vol.1:[222-220,] vol. 3[41-88, 176] vol. 4:[pls. 1-7, Tab. 17-30]
5. モササウルス類 vol. 1:[460-462] vol. 2: [pls. 1, 2, 10] vol. 3:[126-128]
今年のカレンダーで扱っているのはIguanodonとMegalosaurus で、それらの記述・図版は次の場所にある。
Iguanodon vol.1:[259-271, 275-328, 503-530] vol.2: [Pls. 1-23, 43-49, 59]
Megalosaurus vol.1:[329-354] vol.2: [Pls. 24-34] vol. 3:[166-171] vol. 4[pl. 87]
そして、今月のカレンダーにはvol. 2, pl. 16の下顎骨を選んだ。これについてのテキストは、294ページから298ページにある。(・・・ということを探すのはけっこう大変。)この部分で、Owenは非常に詳しい記載を行っている。本文では4個の下顎の標本を扱っているが、この図の標本はそのうちのHolmes博物館にあるStammerham標本で、Wealden層からの産出。若いイグアノドンの右下顎である。やはり反転像なのだ。この図だけでは内外の2方向しかわからないから、かみ合わせ側からの図を紹介しておく。こちらも反転像。珍しく陰が描いてあるのは、標本が立ててあるからだろうか。
6-2 Owen, 1849-1884, plate 17.
他の動物との比較は、大型の装飾爬虫類の下顎などというものは現生では存在しないから、その比較は広範囲になってしまう。トカゲ類やワニ類、イグアナだけではなく、メガテリウムとミロドン(どちらも化石ナマケモノ類)まで登場する。こういった比較は、収斂進化であろうから、分岐分類学的にはあまり意味がない。
6月の文献
⚪︎ Mantell, Gideon, 1825. Notice on the Iguanodon, a newly discovered fossil reptile, from the sandstone of Tilgate forest, in Sussex. Philosophical Transactions of the Royal Society of London , Vol. 115: 179-186, Plate 14. (Sussex州Tilgate forestの砂岩から新たに発見された爬虫類の化石イグアノドンに関する通知)
⚪︎ Owen, Richard, Sir, 1849-1884. A History of British Fossil Reptiles. Volumes 1 and 2. Cassel & Company Limited, London, vol. 1: pp. 1-657, vol. 2: Plates Chelonia 1-48, Lacertilia 1-10, Ophidia 1-5, Crocodylia 1-45, Dinosauria 1-85. (イギリスの化石爬虫類の歴史)