私の化石組標本(その23)
My set of fossil specimens, part 23 (Last)
標本が全部そろったので、「鉱物組標本」にならってリストを作った。標本数が多いので、番号、属名、省略した産地、分類群だけの記載にとどめた。ついでに英語版を作製して裏面に印刷した。さらに表紙に「化石標本」と記した紙片を貼り付けて完成。なお、本ブログに掲載した後で一部に訂正があったので、標本の番号を変更した。具体的にはデボン紀のマクロスピリファー(旧15番)を石炭紀と誤解していたので、これを移動した。10番アメリカ産マクロスピリファー、11番長安寺産フィリプシア、12番同フェネステラ、13番秋吉台産四射サンゴ、14番青海産プロダクタス、15番雪沢産シフォノデンドロン となった。
標本数は古生代・中生代・新生代 各24点の計72点。各地質時代のうち、オルドビス紀・シルル紀・暁新世・鮮新世が欠けている。また、始新世・完新世はそれぞれ一点のみだが、まあしかたがないかな。採集したものが三分の二を占めて48点、購入14点、残り10点がいただき物。脊椎動物が13点、無脊椎動物が一番多くて52点、残り7点が植物・原生動物・他である。古生代に脊椎動物がない。一方全体に植物は少ない。いずれも、もとのコレクションの傾向を反映している。
地域別では、国内が49、外国が23。国内では岐阜県が最も多くて11点、次いで岩手・宮城・福岡各県がなかよく7点ずつ。地図で見るとずいぶんかたよっている。化石の好きな人なら私の住んだ場所(高校まで名古屋、学生時代京都、そして北九州で学芸員)を考慮すれば納得できる傾向だろう。高知県は2点、山口県も3点というのは意外に少ない。私見では、日本の化石産出のベスト3地方は、南部北上・岐阜・高知と思っている。日本以外ではアメリカが最も多くて10点、次いで中国の7点。次いでモロッコの3点。これらは化石商が扱う化石の種類が多いからだろう。ロシアの商品も多いが高価なものが多くてあまり購入できない。
71-1 国内産の化石産地。私の収集したところはかなりかたよっている。
青は古生代、緑が中生代、橙が新生代。
Fossil localities in Japan: Blue; Paleozoic, Green; Mesozoic, Orange; Cenozoic.
71-2 外国産の化石産地。さらにかたよっている。
青は古生代、緑が中生代、橙が新生代。
Fossil localities out of Japan:
前にも記したが、使用した化石の属名は包括的なものを主にしたので、古い時代に命名されたものがほとんど。一番古いのは1768年のCrocodylus で、一番新しいのは1992年のCleviceras 。平均するとちょうど明治維新頃になる。命名者の生年で一番古いのはGlycymeris を命名した1717年のDa Costa 、一番最近の人はKunmingella の命名者Huo の1949年生れ・・・なんだけれども、ここで矛盾がみつかってしまった。「化石組標本 その5」で「Kunmingellaの命名はHuo(雲南大学の侯先光博士だと思う。)1956年」と記したが、そうするとHuoさんが7歳の時命名、となってしまう。何か間違っていて、たぶんHuoさんが二人いる。ネットではとうとう分らなかった。この疑問のあるHuoとClevicerasのHowarthの一人か二人だけがたぶん存命中。全体的に命名者は古いから、さすがにヨーロッパ国籍が多い。出てくる命名者48人(多くの属を命名した人も一人とする。逆に一つの属が複数の研究者の命名のときは両方とも数えた。)のうち、34人がヨーロッパ人(途中で移住した人は両方の国に0.5人とカウント)で、中でもフランス人が最も多い(10人)。次いでドイツ(8.5人)イギリス(7.5人)その他ヨーロッパ人8人。ヨーロッパ以外は、アメリカ(9人)、日本・中国(各2人)、オーストラリア(1人)。命名した時の年齢は、正確に計算していないが、平均50歳ぐらい。若い方で24歳の人もいる。一方79歳で命名した計算になる人もいる。ただしこの人Brongniartの命名出版は、没後のことで、二年ほど前に本人は亡くなっている。ほかに命名と没が同じ年の場合が二件あるが、出版と亡くなられたのとどちらが先かは調べていない。
72 完成した組標本(最後の写真の番号が標本数と同じになるように、前の産地地図を枝番号にした。)
化石組標本のシリーズはこれでおしまい。このシリーズの最初の部分は「古い鉱物標本」というものだったが、化石に移ってカテゴリー名を改訂した。鉱物標本の記事の中で、唯一輝安鉱標本が失われていたのが気になっているので、代替標本をさがしていたところ、関西在住のSさんから予備標本中にあったものをいただいたので、これを入れることにした。Sさんありがとうございました。
このシリーズの終了後は、代って別のものを開始する。2000年に訪れた中国の旅行記。
My set of fossil specimens, part 23 (Last)
標本が全部そろったので、「鉱物組標本」にならってリストを作った。標本数が多いので、番号、属名、省略した産地、分類群だけの記載にとどめた。ついでに英語版を作製して裏面に印刷した。さらに表紙に「化石標本」と記した紙片を貼り付けて完成。なお、本ブログに掲載した後で一部に訂正があったので、標本の番号を変更した。具体的にはデボン紀のマクロスピリファー(旧15番)を石炭紀と誤解していたので、これを移動した。10番アメリカ産マクロスピリファー、11番長安寺産フィリプシア、12番同フェネステラ、13番秋吉台産四射サンゴ、14番青海産プロダクタス、15番雪沢産シフォノデンドロン となった。
標本数は古生代・中生代・新生代 各24点の計72点。各地質時代のうち、オルドビス紀・シルル紀・暁新世・鮮新世が欠けている。また、始新世・完新世はそれぞれ一点のみだが、まあしかたがないかな。採集したものが三分の二を占めて48点、購入14点、残り10点がいただき物。脊椎動物が13点、無脊椎動物が一番多くて52点、残り7点が植物・原生動物・他である。古生代に脊椎動物がない。一方全体に植物は少ない。いずれも、もとのコレクションの傾向を反映している。
地域別では、国内が49、外国が23。国内では岐阜県が最も多くて11点、次いで岩手・宮城・福岡各県がなかよく7点ずつ。地図で見るとずいぶんかたよっている。化石の好きな人なら私の住んだ場所(高校まで名古屋、学生時代京都、そして北九州で学芸員)を考慮すれば納得できる傾向だろう。高知県は2点、山口県も3点というのは意外に少ない。私見では、日本の化石産出のベスト3地方は、南部北上・岐阜・高知と思っている。日本以外ではアメリカが最も多くて10点、次いで中国の7点。次いでモロッコの3点。これらは化石商が扱う化石の種類が多いからだろう。ロシアの商品も多いが高価なものが多くてあまり購入できない。
71-1 国内産の化石産地。私の収集したところはかなりかたよっている。
青は古生代、緑が中生代、橙が新生代。
Fossil localities in Japan: Blue; Paleozoic, Green; Mesozoic, Orange; Cenozoic.
71-2 外国産の化石産地。さらにかたよっている。
青は古生代、緑が中生代、橙が新生代。
Fossil localities out of Japan:
前にも記したが、使用した化石の属名は包括的なものを主にしたので、古い時代に命名されたものがほとんど。一番古いのは1768年のCrocodylus で、一番新しいのは1992年のCleviceras 。平均するとちょうど明治維新頃になる。命名者の生年で一番古いのはGlycymeris を命名した1717年のDa Costa 、一番最近の人はKunmingella の命名者Huo の1949年生れ・・・なんだけれども、ここで矛盾がみつかってしまった。「化石組標本 その5」で「Kunmingellaの命名はHuo(雲南大学の侯先光博士だと思う。)1956年」と記したが、そうするとHuoさんが7歳の時命名、となってしまう。何か間違っていて、たぶんHuoさんが二人いる。ネットではとうとう分らなかった。この疑問のあるHuoとClevicerasのHowarthの一人か二人だけがたぶん存命中。全体的に命名者は古いから、さすがにヨーロッパ国籍が多い。出てくる命名者48人(多くの属を命名した人も一人とする。逆に一つの属が複数の研究者の命名のときは両方とも数えた。)のうち、34人がヨーロッパ人(途中で移住した人は両方の国に0.5人とカウント)で、中でもフランス人が最も多い(10人)。次いでドイツ(8.5人)イギリス(7.5人)その他ヨーロッパ人8人。ヨーロッパ以外は、アメリカ(9人)、日本・中国(各2人)、オーストラリア(1人)。命名した時の年齢は、正確に計算していないが、平均50歳ぐらい。若い方で24歳の人もいる。一方79歳で命名した計算になる人もいる。ただしこの人Brongniartの命名出版は、没後のことで、二年ほど前に本人は亡くなっている。ほかに命名と没が同じ年の場合が二件あるが、出版と亡くなられたのとどちらが先かは調べていない。
72 完成した組標本(最後の写真の番号が標本数と同じになるように、前の産地地図を枝番号にした。)
化石組標本のシリーズはこれでおしまい。このシリーズの最初の部分は「古い鉱物標本」というものだったが、化石に移ってカテゴリー名を改訂した。鉱物標本の記事の中で、唯一輝安鉱標本が失われていたのが気になっているので、代替標本をさがしていたところ、関西在住のSさんから予備標本中にあったものをいただいたので、これを入れることにした。Sさんありがとうございました。
このシリーズの終了後は、代って別のものを開始する。2000年に訪れた中国の旅行記。