古い鉱物標本(その14)
An old set of mineral specimens: part 14
Fig. 38 標本61-65 scale: 5cm
Specimen 61-65: limonite, pyrite, gold ore, argentite, cassiterite sand.
61 褐鉄鉱 美作國勝南郡柵原 (岡山県美咲町柵原)
柵原鉱山は、1991年に閉山するまで、硫化鉄の採掘をしていた。採集鉱物は、地表近くでは褐鉄鉱、地下では磁硫鉄鉱や磁鉄鉱であった。柵原鉱山の鉱産物を輸送するためにあったのが片上鉄道。残念ながら、これには乗ったことが無い。片上鉄道の廃止も同じ1991年。現在も車両や線路の一部が保存されている。
62 黄鉄鉱 越後國北蒲原郡赤谷 (新潟県加茂市赤谷)
赤谷鉱山は、スカルンの銅や鉄の採掘を行った。現在も石灰石を小規模に採掘しているという。この鉱山の輸送のために1984年まで国鉄赤谷線が存在していたが、乗る機会を逃した。標本は結晶面が少しだけ残っている黄鉄鉱の破片。ほかに、結晶面のはっきりしたもっと小さいものがあるが、誰かが追加したもの。最近は、スペイン産の非常にきれいな結晶が安価に入手できる。
Fig. 39 スペイン産黄鉄鉱 scale: 2cm.
Pyrite from Spain.
63 金鉱 佐渡國佐渡郡相川 (新潟県佐渡市相川)
初めてこの標本を見た時には、金があるとは思えない姿に驚いた。もっと重いとか美しいとかツヤがあるとかを予想してしまう。もちろん自然金なら金らしい姿がみられる。写真は私が大学院生だったころ、某標本が廃棄された時に見つけて、お願いしていただいたもので、ラベルがなかったがたぶん兵庫県の中瀬鉱山のもの。判る方ご教示いただければ幸である。
Fig. 40 自然金。おそらく中瀬鉱山。scale: 5cm
Native gold.
Fig. 41 自然金。おそらく中瀬鉱山(上の写真の拡大)。
Native gold (enlaeged).
64 輝銀鉱 佐渡國佐渡郡相川 (新潟県佐渡市相川)
輝銀鉱は、正確には常温では別の鉱物(針銀鉱)に変化しているが、これも輝銀鉱と呼ぶことが多い。微細な結晶が黒い縞状になっていることが多く、「銀黒」(ぎんぐろ)と呼ぶ。63番の金鉱と64輝銀鉱は佐渡島の相川産。相川を含む佐渡金銀山は、世界遺産登録を目指している。すでに一部が国の史跡に登録されている。
輝銀鉱を含む金銀鉱は、串木野鉱山で1968年8月に見学した。お願いしたら切り羽まで案内された。坑内はきれいな水が流れて涼しかった。直前に訪れた高島炭坑の環境との大きな違いが印象的だった。高島では、出火を恐れてタバコを持っていないか入坑前に検査があった。対照的に串木野では休憩室でタバコを吸っていた。
Fig. 42 串木野鉱山の銀黒。上端に濃紅銀鉱。頂き物。scale: 5cm
Silver ore from Kushikino Mine
Fig. 43 串木野鉱山の濃紅銀鉱。上の標本の拡大
Pyrargyrite from Kushikino Mine
65 砂錫 美濃國恵那郡苗木 (岐阜県中津川市苗木)
砂錫(さすず)は、砂粒となった錫石が集まったもの。苗木では1907年頃に最も盛んに砂錫の採掘が行われたという。
錫石は京都府亀岡市の行者山で1967年頃に採集した記憶があるが、標本は残っていない。
(つづく)
An old set of mineral specimens: part 14
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/fe/b9339a61440de09034f83ea4c4a8ffe6.jpg)
Fig. 38 標本61-65 scale: 5cm
Specimen 61-65: limonite, pyrite, gold ore, argentite, cassiterite sand.
61 褐鉄鉱 美作國勝南郡柵原 (岡山県美咲町柵原)
柵原鉱山は、1991年に閉山するまで、硫化鉄の採掘をしていた。採集鉱物は、地表近くでは褐鉄鉱、地下では磁硫鉄鉱や磁鉄鉱であった。柵原鉱山の鉱産物を輸送するためにあったのが片上鉄道。残念ながら、これには乗ったことが無い。片上鉄道の廃止も同じ1991年。現在も車両や線路の一部が保存されている。
62 黄鉄鉱 越後國北蒲原郡赤谷 (新潟県加茂市赤谷)
赤谷鉱山は、スカルンの銅や鉄の採掘を行った。現在も石灰石を小規模に採掘しているという。この鉱山の輸送のために1984年まで国鉄赤谷線が存在していたが、乗る機会を逃した。標本は結晶面が少しだけ残っている黄鉄鉱の破片。ほかに、結晶面のはっきりしたもっと小さいものがあるが、誰かが追加したもの。最近は、スペイン産の非常にきれいな結晶が安価に入手できる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/f0/2be16143911baa344be48fc0578873f2.jpg)
Fig. 39 スペイン産黄鉄鉱 scale: 2cm.
Pyrite from Spain.
63 金鉱 佐渡國佐渡郡相川 (新潟県佐渡市相川)
初めてこの標本を見た時には、金があるとは思えない姿に驚いた。もっと重いとか美しいとかツヤがあるとかを予想してしまう。もちろん自然金なら金らしい姿がみられる。写真は私が大学院生だったころ、某標本が廃棄された時に見つけて、お願いしていただいたもので、ラベルがなかったがたぶん兵庫県の中瀬鉱山のもの。判る方ご教示いただければ幸である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/d4/e0aaa2fff882e19d7d31c0fde29eb570.jpg)
Fig. 40 自然金。おそらく中瀬鉱山。scale: 5cm
Native gold.
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/4c/7a73b54beb11b148f987d42247440b06.jpg)
Fig. 41 自然金。おそらく中瀬鉱山(上の写真の拡大)。
Native gold (enlaeged).
64 輝銀鉱 佐渡國佐渡郡相川 (新潟県佐渡市相川)
輝銀鉱は、正確には常温では別の鉱物(針銀鉱)に変化しているが、これも輝銀鉱と呼ぶことが多い。微細な結晶が黒い縞状になっていることが多く、「銀黒」(ぎんぐろ)と呼ぶ。63番の金鉱と64輝銀鉱は佐渡島の相川産。相川を含む佐渡金銀山は、世界遺産登録を目指している。すでに一部が国の史跡に登録されている。
輝銀鉱を含む金銀鉱は、串木野鉱山で1968年8月に見学した。お願いしたら切り羽まで案内された。坑内はきれいな水が流れて涼しかった。直前に訪れた高島炭坑の環境との大きな違いが印象的だった。高島では、出火を恐れてタバコを持っていないか入坑前に検査があった。対照的に串木野では休憩室でタバコを吸っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/6b/b394a48ddf98da4d56baffa8a65f3f3c.jpg)
Fig. 42 串木野鉱山の銀黒。上端に濃紅銀鉱。頂き物。scale: 5cm
Silver ore from Kushikino Mine
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/db/920fbd7e1b87abda6af69bc732b453f3.jpg)
Fig. 43 串木野鉱山の濃紅銀鉱。上の標本の拡大
Pyrargyrite from Kushikino Mine
65 砂錫 美濃國恵那郡苗木 (岐阜県中津川市苗木)
砂錫(さすず)は、砂粒となった錫石が集まったもの。苗木では1907年頃に最も盛んに砂錫の採掘が行われたという。
錫石は京都府亀岡市の行者山で1967年頃に採集した記憶があるが、標本は残っていない。
(つづく)