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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

馬島5月25日の化石

2018年07月10日 | 化石
馬島5月25日の化石

 馬島で採集した化石の剖出を試みた。採集した時のようすは5月26日に本ブログで掲載した。

1 発見時のようす 馬島東部 2018.5.25 (再録)

2 採集した標本 馬島東部 2018.5.25 (再録)

 かなり割れたから接着して掘ったが、表面の分離が悪く、また砂岩が意に硬くて苦戦した。一応完成して撮ったのが次の写真。

3 剖出後の標本 2018.7.9

 写真の中央の縦長の断面が発見したところ。ただし上下が逆になっている。写真の手前の部品とその向こうの横長の部品は接触しているが表面が全く連続しないから、互いに動いている。向こう側のものを主体にして撮影したのが次の写真。さて、これはなんだ?

4 剖出後の標本 2018.7.9

 採集時に「クジラ類脊椎か?」と思っていたが、脊椎にはあまり該当する場所がない。4の写真の左側を腹面、右側を背面と仮定して述べる。腹面は滑らかな「とい(樋)状」に窪んでいるが、写真右方向の部分は滑らかでなくて、前後方向に伸びる突起を作っている。こういう部分、とくに滑らかで「とい」状に凹んだ形は、脊髄の周りによく見られる。例えば第2頸椎の棘突起の内側とか、頭蓋の腹側の内鼻孔の後ろ側がある。それ以外は前後長がこんなに長くないか、正中線が骨の縫合になっていて線がある。背側では右の写真でその裏側にあたるが、どちらも合わない。背側は中央部が台状に膨らんで平面的であり、左後方の側方に左右に伸びる溝がある。第2頸椎であればそこには棘突起があるから正中部で稜を作る屋根型であり、内鼻孔付近であればそこは脳函の内側であるから凹んでいないといけない。それでも、内鼻孔後ろ側が最も近い形態で、左側面が窪んでいるのは耳胞骨の入る部分にだいたい合う。脳の腹側が凹んでいるのだろうか?
 次に、離れている部品がそれでいいかを考えると右側の突起と考えたが、左側と対称的にならない。決め手は内側面の凹みの方向性と外側面(わずかに凹んでいるが平面的)の凹みと表面装飾。いまのところぴったりと合う位置は見つかっていない。
 以上の方向用語は、内鼻孔後ろ側と考えた場合の方向によったが、第2頸椎と考えても用語としては同じ。また、クジラ類以外もいろいろ考えたがかなり違う。かなり大型の哺乳類であり、多孔性があって海生だろうから、クジラ以外といっても海牛ぐらいで、可能性は低い。
 結論は出なかった。離れた部品を切り離して位置関係を決める必要がある。

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