OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

馬島 4月28日 その二

2011年04月30日 | 化石
馬島で骨化石を取って少し満足。

さらに探すと小さなサメの歯。あまり珍しくないがせっかく見つけたからこれも採集。その周りにあと二つのサメを見つけて、こちらの方はかなり良いものなのでていねいに採集。




昼食を食べながら探したが、風が強くてだんだん寒く感じる。「もう少し風の当たらないところへ。」と移動を始めたところで、アオイガイの小さいのをみつけた。少し壊れているが、季節外なのでこれも持ち帰ろう。そのままでは壊れるので、漂着ゴミの中のペットボトルの中から適当なのを見つけて、上下半分にカットし、下半分の中に新聞紙で軽く固定してリュックへ。



これで、骨化石2点とサメ化石3点、アオイガイも取れて満足してしまったし、寒いので昼の船で帰宅する。少々根性が足りないかな。
帰宅してさっそく鳥化石の剖出。といっても馬島のこのあたりの化石は大変に剖出しやすく、1時間ほどで完了。その写真がこれ。



プロトプテルムの左上腕骨の半分ぐらいで、藍島から報告されているCopepteryx hexeris よりもずっと小さいので別種。サメと頭骨?は後日剖出しよう。

4月の投稿はこれでおしまい。3日に1回以上の投稿だった。

馬島 4月28日 その一

2011年04月29日 | 化石
今日は馬島に行った。汐がよく(下関干潮12:35)風があるが天気も良さそうだったし、連休に入ってしまうと混み合いそうだから。さらに連休後は「小倉丸」がドック入りで定員の少ない「シーガル」で代行するので。
例によって10時半の渡船に乗る。白波が立っていて、船首が高い波しぶきを上げる。馬島までと比べて馬島から藍島までは波が高いだろう。



11時ちょっと前に馬島に着く。下船したのは数人で、私以外は島の方ばかり。藍島と違って釣り客がいない。今日の目的地は島の北岸のサメの歯が多産したところ。先日のブログで、藍島の鳥の骨がいまいちだったので、形の良い鳥の骨が見つかれば、さらにサメの歯も一つぐらい、と思ってそれに適した場所を選んだつもり。北岸の入り江に出ると風もなく気持ちよい。すぐに転石の多いところで骨化石を採集。大後頭孔から頭蓋底のあたりで、たぶんヒゲクジラ類。



北に面する岩場に来ると、風が強く、体感温度が低い。下位の生痕を含む砂岩層の上に、クロスラミナの発達した砂岩層があって、その中の粒子の粗いところが狙い目である。



しばらく探していると黒い丸い塊を見つけてはずしてみる。「しまった!これは骨だ。」丸いのは上腕骨の骨頭で、平たいシャフトがつながっている。プロトプテルム類のもので、ひじ関節部は残っていない。


黒い礫と思って外したら...

鳥の上腕骨が出てきた。

前回藍島の採集記で、鳥化石を書いたが、保存が悪くて良い写真を出せなかった。これで良い写真を出せそう。(続く)

3つの「いずみ中央」

2011年04月29日 | 鉄道
29日に仙台市交通局(地下鉄)南北線の台原から泉中央間が運行を再開した。次第に日常が戻ってくる様子が伺える。
写真は全国にある「いずみ中央」駅で3つもある。







それぞれのお近くの方にはなじみ深い駅であろうが、全部知っている方は少ないだろう。
最初の写真は今回運行を再開した仙台の「泉中央」駅で、南北線の北の終点にあり、ベガルタ仙台のホームであるユアテックスタジアム仙台のすぐそばにある。仙台市泉区役所も近い。
二番目は神奈川県の相模鉄道いずみ野線の「いずみ中央」駅で、湘南台の二つ手前。横浜市泉区役所が近い。
3番目は大阪府の泉北高速鉄道の終点「和泉中央」駅。和泉市役所は別の場所。開業時期は近くて、順に1992年・1990年・1995年である。それぞれ「いずみ」の表記が異なる。「ちゅうおう」部分のローマ字表記が微妙に異なるところがおもしろい。共通点は大都市近郊の新興ベッドタウンにあること。全線乗り潰しでもしないと、普通は一つぐらいしか利用しない。
私が行ったのは、仙台の泉中央駅が2008年7月、神奈川のいずみ中央駅と、大阪の和泉中央駅が2007年6月。夏休みを利用して私鉄の乗り潰しをしていたころだ。


都市鉱山

2011年04月27日 | 変なもの
健康のため、気温がだいたい13度以上になった晴れの日には家の近くを散歩するようにしている。ちょっと長く歩いた日の時間だけを記録している。冬の間中断していたが2月末に気温が上がってきたので再開。そこで見た風景。



空き地に不要の電化製品を引き取って積み上げてある。地デジ化のせいか、テレビを棄てる人が多い。ほとんどがまだ写るものと思われるが、日本ではもうすぐ使いようがなくなる。引き取っていたのは外国人で、たぶん近い大きな国で儲ける人が出るのであろう。地デジ化によって家電業界は潤うのであろうが、こうまでして、一部業界の世話をする必要があるのだろうか。せめて棄てるにしても、レアメタルを「採掘」してからにすれば、その産出国に返すという矛盾が少ないと思うのだが。

化石の剖出

2011年04月24日 | 化石
4月14日に藍島で採集した化石を剖出した(本ブログ4月16日付「4月の藍島」)。いずれも芦屋層群(漸新世後期)のもの。


鳥の骨の化石だが、掘り出す前はこんな感じ(再録)。


まず表面の余分な砂を取り除く、が…鉄分が多くて分離が悪い。道具はケガキ針だが、北九州の友人が勧めてくれた特殊な合金の針で、非常に調子が良い。この一年間研いだこともないが、十分に尖っている。この針を、何かの折りにもらった集英社の記念万年筆の軸に固定して使っている。


次に周りを掘り下げて骨を取り上げる。ちょっと割れたが室内の作業なので破片をなくすこともなく接着。接着剤は瞬間接着剤。
下側も砂を除くが、こちらも分離が悪い。その上一部に変形があってそこでは表面も荒れている。途中の様子はこんな感じ。砂も残っているし、骨を削り込んだところもあるのでちょっと恥。



結局完成したのが次の写真。標本はプロトプテルムの左烏口骨で、同じ藍島から報告されているCopepteryx hexeris よりもかなり小さく、別種。



あまり良い標本ではない。中央の写真で分かるように、 S字に変形している。ほんとうはほぼ直線的な骨。採集場所は藍島北端の「千畳敷」で、ここの化石は、剖出がいつも難しい。次回は馬島あたりでもう少しやりやすいのを採集してお見せしよう。

ついでに貝の化石も剖出。こちらで使った道具は小さなタガネ。これも特殊な(別の)合金で、名古屋の友人から頂いたもの。長く使っているがほとんど傷まない。剖出の前後の写真がこれ。



種類はPitar matsumotoi と思う。P. ashiyaensis との違いは、頂部の位置が前者ではちょうど真ん中付近だが、後者では偏る。採集場所は港に近い藍島西岸の転石で、ときおり非常にいい貝化石を産する場所。ただ、人頭大の岩を割って採集するのでかなり力仕事である。他に採集できるのは、Glycymeris, Euspira, Dentalium など。前回写真を出したVenericardia は、千畳敷の近くで、そこでは他に Acila, Yoldia, Solen などの良い標本が採集できる。