OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

2018年の旅行データ

2018年12月31日 | 旅行
2018年の旅行データ

 今年も最後の日となった。今年の旅行をまとめておこう。
 今年は次の旅行をした。1月山口(化石関連)2回・7月名古屋(高校同窓会)・9月福地温泉(化石採集)・12月東京(池袋ショー・上越線)。やや少ない。

2018年の旅行コース

 これらの旅行などで、年間JR乗車距離は 6,519.5km、私鉄乗車距離は98.6km。昨年よりは多い。この数字は、生活的に乗車したものをふくまない。JR乗車距離は積算41万3000kmを超えた。写真のデジタル化および整理に基づいて記録のなかった旅行を書き足した。デジタル化は終了し、見直しはほぼ終わった。積算距離には、退職前の通勤(少なくとも12万km)が含まれていないし、古いところに記録の無い期間が相当ある。なお、空路の積算距離は21万kmほどである。空路の距離は空港間の大円距離である。船の航路は計算方法がないので計算していない。
 年初めに全線乗車には残り2線 18.9km(福井鉄道の福井駅乗り入れ 0.1km・常磐線の震災復旧付け替え 18.8km)となった。昨年新しく乗車したところはない。上越線の乗車済みのところの乗り直しについてはあとで掲載する。
 そんなわけで、JR線の未乗車率は0.1%、私鉄は0.001%ほどで変わりない。

2018年の訪問県(ピンク)と2013年〜2017年訪問県(黄色)

 旅行で県境を越えた回数は73回、積算で4,538回。訪問17県。昔の記録が不完全。長い間行っていない県は1位山形県で、2005年1月以来。2位・3位は山陰2県、次いで愛媛県・山梨県・和歌山県・秋田県・沖縄県・と続き、これも昨年と変わりない。
 市町村の訪問は、2018年の更新なし。
 これまでに奈良県を除くすべての都道府県に宿泊したことがある。
 未訪問の市は意外にも関東から西南日本に分布している。最北の未訪問市は佐渡市、島を除くと行方市。

 うざったいデータの羅列に2018年もおつきあい頂きありがとうございました。来年もめげずに掲載を続けます。日ごろ起った出来事を記して行きますが、何ごともない日々にそなえて、昔のことを記した原稿が約半年分書いてあります。来訪の方の「コメント」をお寄せ頂ければ幸いです。皆様に読んでいただいていることを信じていますが、コメントを戴くと確認できます。
 なお、投稿日は1日 4日 7日... と[3の倍数+1]日の計画で進めます。事情によっては間隔を変更します。
 2019年が皆様にとって、また私にもよい年になることを願っております。

2018池袋ショーに行ってきました その3

2018年12月28日 | 旅行
2018池袋ショーに行ってきました その3

 日曜日の宿泊は、ショー会場と同じビルにあるSPホテル。土曜日よりも数千円安いからこちらに移動した。部屋は32階と高層階。一年前も宿泊したが、部屋のキーがカードキーになっていて便利である。内装も現代風に変わっていた。

11 小雨模様の朝 2018.12.17.

 今年の池袋ショーで見た化石を紹介する。写真の撮影はお店の方に了解を取った。

12 ブラジル産翼竜アンハングエラ 上顎 白亜紀 2018.12.17.

 すばらしい化石である。ブラジルの白亜紀層から多種類の翼竜化石が産出するが、そのうちの一種類。

13 アメリカ産鯨類 バシロサウルス 犬歯 始新世 2018.12.17.

 頬歯はよく見るが、これは犬歯。たぶん下顎。

14 アンモライト 白亜紀  2018.12.17.

 カナダ産(一部はアメリカ)のアンモナイトで、虹色の遊色のあるものをアンモライトと呼ぶ。別のブランド名で売られることもある。この標本は見事な大型アンモナイトである。撮影をしようとしたら一旦止められた。業者でないことを説明すると許可してくれた。

15 会場のようす。 2018.12.17.

 16日(日)は混んでいたが、月曜になると写真を撮影できる状態となる。お昼に会場を出て、池袋駅の近くで昼食をとり、次のスケジュールに移る。

喫茶店一周年(臨時投稿)

2018年12月26日 | 今日このごろ
 昨年12月22日に自宅近くに喫茶店KMDができて、一年が経った。ちょうどウォーキングにいい距離(往復3キロ弱)だし、名古屋出身の私としては、コーヒーチケットで安く通える喫茶店の出現で、足繁く通った。おそらく最多数訪問の客。

喫茶店一年 2018.12.22

 一年と1日目の12月22日に訪問。お店の方にお祝いを言って入った。「看板がないね」と言ったら、出るときには上のように挨拶看板が立てられていた。失礼ながら残念な誤字があったが、まもなく訂正された。

訂正後 2018.12.24

 12月21日までの1年間に179回の入店。日数の49%にあたる。ほかに名古屋のKMDの2店に計3回行ったから合計すればちょうど半分である。この店ではほぼ全部がコーヒーチケットで、そのチケットも特売のときに買い込んだものだから、単価は定価の70%ぐらい。売り上げにはあまり貢献していない。午後コーヒーを飲みながら、今年は家で取るのをやめたA新聞を読み、さらに週刊誌を二種類拾い読みするのが常。

旧象100年 その2

2018年12月25日 | 化石
旧象100年 その2
Fossil Elephants of one hundred years ago

 前回、日本の象化石が「西欧科学に最初に報告されたのはおそらく1868年の アダムスLeith A. Adams のもの…」と記した。この論文は、アダムスが医師のダッガン(R. N. Duggan)がイギリス領事ホグソン氏と共に1859年に関東地方で発見したというインド象の上顎臼歯である。論文の最初の部分はアダムス(医学士・地質学会会員)による発見の経緯などの部分で、その後にブスク(G. Busk:王立学会会員・地質学会会員)による動物学的な比較が述べられている。結論としてブスクはこの象をインド象の中の一つの型と位置付けた。後に松本彦七郎はインド象の亜種ブスクゾウとし(ホロタイプは別の標本)た。現在は標本の年代測定などからブスクゾウの独立性を否定する意見が述べられている。
 アダムスの論文の発行は1868年で、明治元年にあたる。今からちょうど150年前の論文である。ロンドンで発行されたのは1868年6月17日で、明治改元が1968年秋であるから江戸時代に発行されたことになる。正確に言うと、慶応4年9月8日に改元されて明治になった時には、旧暦が使用されていて、その日を明治元年9月8日(新暦10月23日)とした。旧暦は明治5年末まで用いられた。さらに、改元は明治元年の年始まで遡って適用されるそうだから、論文発行を「明治元年」としても、誤りとも言い切れない。文中に出てくる人名にはオールコック(Sir Rutherford Alcock :初代駐日総領事)も見られる。アダムスの文中には、オールコックの日本に関する著作に化石に関する記述があるという。それにあたる著作といえば「大君の都」が思い当たる。そこで岩波文庫の文庫本(上中下の3部:山口光朔・訳)をちょっと読んだが、随分長い著作で、生麦事件など興味深い記述があったりして気を取られたためか、化石に関する所をまだ見つけていない。

オールコック著・山口光朔訳 岩波文庫

 いずれにしても、アダムスの記述した標本の経緯やその後の討論は、江戸時代の出来事である。
 2003年に、日本古生物学会では「20世紀に記載された種の模式標本のデータベース」という特別号を出版した。全部で1,400ページほどのもので、時代や分類で分けた分野ごとに、2000年までに記録された種を列記してある。そのうち、脊椎動物に関する章の作成に協力させていただいたが、時間に追われて不備があるのが心残りである。脊椎動物に関しては、提唱された学名、命名者と年、雑誌名、地層、年代が示されているが、タイトルにある「模式標本」についてはデータ化されていない。
 それによると、日本で最も早く記載された古脊椎動物は、1914年のTokunaga, S. and C. IwasakiによるDesmostylus japonicusデスモスチルス・ジャポニクスである。論文はたった1ページであって、これを読むためには、1902年の同著者による「Notes on a New Fossil Mammal」を見る必要がある(1902年には徳永氏は吉原姓)。1902年論文では分類不明としていたものを1914年論文でアメリカで1888年に報告されたDesmostylus属のものとして記載した。

Desmostylus japonicus ホロタイプ

 上の写真は、クリーニングされる前のホロタイプで、私が修士論文で引用した時のフィルム。
 古生物学会のデータベースは、(1)日本産の化石(2)日本人の記載した化石種 を集めたものだから、外国人が記載した日本産の種類が含まれる。その上で、1920年までに記載された国内の古脊椎動物種は8種類ある。年代順に挙げる。
1914 Desmostylus japonicus Tokunaga, S. and C. Iwasaki Miocene 束柱目
1915 Desmostylus watasei Hay Miocene 束柱目
1915 Sus japonicus Tokunaga Holocene 偶蹄目
1915 Sus nipponicus Matsumoto Holocene 偶蹄目
1916 Amphitragulus minoensis Matsumoto Miocene 偶蹄目
1918 Trionyx desmostytli Matsumoto Miocene スッポン類
1918 Elephas aurorae Matsumoto Pleistocene 長鼻目
1919 Iquius nipponicus Jordan Miocene 硬骨魚類
(他に中国産化石種が4種:いずれも松本彦七郎, 1915の記載)
 この8種類中、私が論文や解説で触れたことのある種類が3種類ある。
 このように、日本の古脊椎動物の分類学はおおよそ100年の歴史しかないことになる。この後、1930年までに国外を含めて72種(積算)が、また1950年までにおおよそ160種が記載された(亜種などを含む)。
 脊椎動物以外はどうだろうか? ざっと見たところでは最初に記載されたのはおそらく1874年の岐阜県金生山産のフズリナFusulina japonica だろう。記載したのはGümber 。二番目もフズリナ類で、1884年のSchwagerina craticulifera であろう。1890年から日本人研究者による記載が見られ、それらを含めて1900年までに70種以上が記載されている。一番多いのは横山又次郎の新生代貝類のようだ。