OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

2005年 韓国恐竜シンポジウム出席10  大田の科学博物館

2020年02月28日 | 昔の旅行
2005年 韓国恐竜シンポジウム出席10
大田の科学博物館

 翌20日、皆さんは恐竜化石産地の見学、私は夕方の便で福岡へという日程である。朝、化石見学バスの出発前に博物館前で記念写真を撮るというので、ちょっと早く準備してホテルの前に出て迎えを待つがなかなか来てくれない。周りの木立をカササギが飛ぶのを見ながら30分ほど待ってやっと車がやって来る。博物館でしばらく待つが、「皆さんはもう出発した。」とのこと。近くの韓国風食堂で朝食となる。今日は辛い辛いトウフチゲ。サンマの焼いたのも出てくる。こちらは日本と同じ。この食堂はこれまでで一番おいしかった。博物館に帰ってしばらく展示を見ていると、集合の声がかかる。なんと、見学組はまだ出ていなくて、これから写真を撮るという。

33 記念写真 2005.10.20

 皆さんで写真を撮って、見学バスの出発を見送る。
 私が仁川空港に行く手段については、ああでもないこうでもないと人ごとに意見が違ったが、やっと「大田からリムジンバス」ということに決まる。くどいようだがKTXでもよかったのに。ただ、KTXの場合、ソウル駅から空港までバスに乗る必要があるのでハングルしか書いてない切符売り場でなんとかなるとしても、ちょっとめんどう。
 午前中に大田市の国立科学博物館を見ることになる。事務の方とおとなしい女性との3人で車で出発。国立科学博物館は大田の中心にある広い敷地の博物館である。入口の鉄骨組みの高いアーケードが印象的である。

34 科学博物館入口 2005.10.20

 アーケードの端の一番高い所にカササギが巣を作っている。事務室で館長に挨拶の後、学芸員の方の案内で展示室に向かう。ロボットに関する特別展をやっていてそこから見始める。常設展は「日本の国立科学博物館を参考にしました。」というお話の通り、展示が国立科学博物館にちょっと似ている。中央の広い吹き抜けの周りに三層の展示室が並んでいる。古脊椎動物関連ではアロサウルスかなにかの恐竜と親子のマンモスが目に付くくらいで、あまり大きなものは無い。

35 マンモスの展示2005.10.20

現生のイワシクジラかなと思うナガスクジラ科の骨格が展示されている。面白かったのは、中新世のゴンフォテリウムの下顎骨化石で、これは私が前に研究したことのある、岐阜県の御嵩町の標本である。レプリカのようだが一部が手を加えてあって模造である。例えば、前方に伸びる牙は、上顎とすれあった面白い形の切れ込みがあるのだが、その部分は単純な円筒形になってしまっている。臼歯はたぶん正しい形をしている。どうせ作るならちゃんと全部を型取りすればいいのに。

36 岐阜県御嵩町産標本の「レプリカ」 2005.10.20

37 G. annectens 下顎は京都大学蔵 上顎(holotype)は瑞浪市化石博物館蔵

 ここの展示は、属名が Bunolophodon と、少し古い名前になっている(現在使われるのはGomphotherium)のはちょっといけないが、東アジアにおける象の進化史上重要な岐阜県標本が選ばれているのは非常に良い。韓半島から同属の G. yokotii の臼歯化石が記載されているが、その事実をふまえて展示してあるのだろうか? 

38 ヨコチゾウのホロタイプ 京都大学蔵 

 G. yokotiiは、1936年に京都大学の槇山次郎教授によって新種記載されているから、ホロタイプは京都大学にある。産出地は半島の北部分にあるから展示解説がどのくらい詳しくされているのだろうか。私の知る限り韓半島の唯一の第三紀長鼻類化石である。

私の使った切符 その92 1987年

2020年02月25日 | 鉄道
私の使った切符 その92
1987年


138 小倉駅発行 北九州市内・清水間乗車券往路 1987.1.28

139 小倉駅発行 北九州市内・清水間乗車券復路 1987.1.28

 静岡大学で開催された古生物学会出席のための旅行。往復とも切符が残っている。磁気用紙(裏面印刷なし)で、行きの切符は改札のはさみが入っていなくて、代わりに小さな穴が空いている。帰りの切符ははさみが入っている。行きの切符は静岡で途中下車して入手。帰りは小倉で定期券で改札を出たのだろうか。今の自動改札機では新幹線・在来線改札をこの切符で出ても、在来線改札を定期券で出られない。定期券に入場記録がないから。

140 小倉駅発行 鳥取・浜村周遊券B券 1987.8.30

 この年4月1日に国鉄の民営化が行われたのだが…。この切符はそれから5か月も経つのに「日本国有鉄道」と書いてあるし、自由周遊区間も「国鉄全線」となっている。一斉に切符を印刷するわけにもいかないだろうけれど、ちょっと不満もある。はさみが入っているが、その形は四角形の角から細い切れ込みが伸びるという不思議な形である。これを切る「はさみ」の構造は他と同じでいいのだろうか?

141 小倉駅発行 鳥取・浜村周遊券B券のはさみ 1987.8.30

 同じ形や、似た形のはさみは、他の券にも見当たらない。自由周遊区域内の最初の乗車駅ということになるが、どこだろう? 全国のはさみの痕(「鋏痕」というのだそうだ)は140種類ほどあったと言われる。この周遊券の鋏の形は、ネットで少し探してみたが見当たらなかった。
 旅行の目的は若桜線に乗車するためだが、若桜駅のはさみの形は四角形だけで異なる。

142 大分駅発行 大分・行橋間B特急券 「富士」1987.9.11

 この特急券も、国鉄のものを用いている。印刷した文字にはないが、地紋に「こくてつ」がデザインされている。磁気用紙で裏面の注意書きはない。この時、大分に何をしに行ったのか記録がない。日帰りのようだから、大分県の教育委員会の鑑定依頼かもしれない。帰りに駅に来たらちょうど富士号が来るところだったので話のタネに乗ってみたのだろうか。列車名が「富士」ではなく「富士号」と書いてあるのもおもしろい。なお、富士号はもちろん東京行き寝台列車だが、門司までは寝台利用でなくても乗車できた。特急利用が小倉までではなく行橋までなのは、このころ日豊線の安部山公園駅の近くに住んでいたため。

藍島の散歩 2月21日

2020年02月22日 | 今日このごろ
藍島の散歩

 急に暖かくなった。予想最高気温が18度となったから思い立って藍島にいくことにした。出発は10時半の渡船である。

1 渡船場の切符売り場 2020.2.21 以下も同日

 10時5分に切符売り場に着いたが、乗客は少ない。出発までに10人ほどが乗り込んだ。今日の目的は春を感じること。潮が良ければ、貝類採集を少々。さらに波が低ければ、岩棚の化石も見ようかな。結局ほとんど何も採集できなかったが。

2 瀬崎の岩棚

 島の船着き場に近い瀬崎に向かう。向こうに見える小さな丘の向こうに瀬崎があって、プロトプテルムの重要な標本が見つかったところ。その左の海が光って見えるところに面する砂浜が本日ねらいの貝のある(予定の)場所。潮はよく引いているし波も低い。ただ南東からの風が強く、寒く感じる。

3 浜木綿の実

 瀬崎手前の砂嘴をこえるところに、数株のハマユウが根を下ろしている。根元にたくさんの実が落ちている。この実は周りがスポンジのようになっていて、水に浮き、漂流して分布を広げる仕組みである。
 砂浜についてすぐに狙いの貝殻を見つけて順調..と思ったが後が続かず、結局一個だけの採集。コスパが悪い。風が海から吹き付ける位置なので、岩棚を見ながら撤収。

4 クロフジツボ

 大潮の時にだけ岩棚に現れるクロフジツボ。拡大してみるとなかなかに美しい。直径は最大のもので3センチ程度。岩陰の暖かいところに座り込んで昼食のおにぎりを食べる。風がないところでは汗ばむほど暖かい。一昨日ワークマンで入手した防寒・防水ジャンパーは性能を発揮したが、この日のためには行き過ぎで、内面が湿るほどだった。

5 干してあったヒトデ

 早々に風の来ない港に戻って、その先の化石を見たが、やる気が起きないので船着き場に。港の舗装の上にたくさんのヒトデがあった。漁業の妨げになるのだろうか? 全部裏返しに、重ならないように干してある。種類はイトマキヒトデで左の方にはモミジガイ類がちゃんと分けて置いてある。
 昼の船で帰途に。往復の途中で小倉駅を通り抜ける。このご時世で、雑踏に入ることは避けたかったが、他に適当なルートがない。駅内だけマスクを装着。スカレーター等の手すりは触れないようにした。小倉駅内はいつもより大分空いていたが、行きは10時頃、帰りは2時過ぎだから時刻のせいだろう。

6 小倉駅3階改札前広場

 上の写真は人がいなくなるのを見計らって撮ったものではない。しばらく見ていたがずっとこんな感じ。正面の壁にイベント宣伝が大きく掲示されている。「東アジア文化都市2020」という3月28日からの催しだが、中国と韓国から2都市のお客様が来られる…って、開催できるのだろうか???
 小倉の喫茶店に立ち寄って帰宅。成果は日向ぼっこできたこと。

2005年 韓国恐竜シンポジウム出席9  シンポジウム後

2020年02月19日 | 昔の旅行
2005年 韓国恐竜シンポジウム出席9
 シンポジウム後

 18日のシンポジウムが終了したのは、予定の5時30分を大幅に超えて6時過ぎとなった。予定表ではこのあとDinner となっていたが、実際にはそれほどフォーマルではなく、博物館3階のカフェテリアにテーブルを囲んで20人程が座る。なぜかケーキカットの後、ワインで乾杯し、魚を主体とした料理が運ばれる。料理はおいしい。ほとんどのメンバーが少なくとも二カ国語を使うので、一人がフランス語で問いかけたのに、S博士が流ちょうに答え、隣のH博士にドイツ語で伝える。こちらでは英語と韓国語、日本語が飛び交うという雰囲気でなかなかよろしい。

29 シンポジウム後のDinner 2005.10.18

 19日早朝目が覚める。窓の外をカササギが1羽飛ぶ。韓国がカササギの分布地であることは知っていたし、前に訪れた時にもよく見かけた。なぜかカラスは見ない。今回も、このあたりで二回ほど見かけたが、窓のすぐ前を飛んだので注意していたら、すぐ後にもう1羽が後を追う。そしてもう1羽。窓から首を出してみると、ホテルの裏の駐車場に10羽近くのカササギの群れがいる。コンクリートの上で何かついばんでいる。1羽がそこを見渡せる小さな木の上で見張っている。
 8時ごろに迎えが来て朝食を取るために昨日の大田のホテルに行く。バイキングの内容も同じ。ゆっくりと朝食を食べてまた戻り、10時からシンポジウム第二日が始まる。この日の内容は前に述べたようにほとんど分からずじまいである。
 午前中に鶏竜山自然史博物館の見学ツアーが計画されていたが、自由見学となる。昼食は地下の食堂でいくつかのテーブルを囲みビビンバなどを食べる。これはおいしかったが、中央に並んでいた刺し身は冷凍魚でおいしくない。梨などのくだものがおいしい。
 午後は、近くの博物館を見る「文化ツアー」だという。いくつかの博物館をまわるのかと思ったら、国立扶餘博物館だけを見るバスツアーだった。この博物館は、鶏龍山自然公園を挟んでちょうど反対側の西麓にある歴史系の博物館である。バスで約一時間、かなりの距離である。すでに手配が済んでいたらしく、すぐに入場する。パンフレットを渡されたが、ちゃんと見分けが出来たらしく日本語である。それで調べると、入場料は大人400ウォン。24才まで200ウォンと非常に安い。

30 扶餘博物館へ 2005.10.19

 歴史系の展示なので余り興味は無い。ショップを覗いてちょっとお土産を買う。展示に興味が無いだけ早く出てしまったので、出口で皆さんを待つ。別の若い男女のグループがいて日本語を話している。鶏竜山自然史博物館では、日本人旅行者を全く見なかったが、ここはさすがにツアールートに入っているようだ。来る前に書店で見た観光案内書にも短いながら扶餘博物館の解説があった。
 バスに戻ってまた1時間、出発地に帰る。まだ明るい時間で夕食には早い。新館長がちょっと近くの観光地に行こうと誘ってくれる。4人の外国人と新館長が運転する車で東鶴寺というのに向かう。5分ぐらいで谷あいに入り、両側にお土産物屋さんと食堂が並び、観光地であることがわかる。店が途切れたあたりにゲートがあって、その横に車を停め、入場券を買って谷川沿いの道をたどる。谷川は花崗岩が露出して、澄んだ水が流れている。

31 東鶴寺への渓流 2005.10.19

 紅葉が所どころに見られる。極彩色の門をくぐってさらに進む。観光客が下ってくるのとすれ違うが、人数は少ない。時間が遅いので寺の方に向かう人は我々しかいない。新館長の説明では、お寺にお参りすると女性の若さと美しさに効果があるという。M教授は100キロ以上と思われる巨体で、ちょっと大変そうである。自然にドイツ人二人と私が前に、後ろに館長とM教授という組み合わせになる。まず、文殊とか観音とかいった名前の寺があり、続いて東鶴寺の本山に向かう。道から石段をあがると寺に出る。すでに薄暗く、灯明に照らされた室内が外からきれいに見える。一人のお坊さんが夕方のお勤めをはじめている。

32 東鶴寺 2005.10.19

 靴を脱いで館長とともに足音を忍ばせて室内に入り、お坊さんの背後に正座し、手を合わせる。他にもう一人お参りの人がいて、三拝九拝の礼をとっている。外にいたS博士が入ってきて同じように黙とうする。
 寺の前には杖やお土産を売る店があるが、もう店じまいが始まっている。帰途はかなり暗くなって、やっとのことで車のところまで戻り、博物館に向かう。今日も、近くの韓式食堂である。一階で博物館の職員が食事をはじめているのを横目で見て、二階に上がる。小部屋で思い思いに座ってキムチが並ぶのを待つ。初めてビールで乾杯となる。この日おいしかったのは辛い太刀魚の料理。この日の泊まりも昨晩と同じ例のホテルである。私の部屋は昨晩と別だが作りはほとんど同じ。
 ところで、韓国のホテルや博物館のトイレでは、トイレットペーパーが逆につけてあるのに気づいた。つまり、日本では紙の取り出し口がこちら側に垂れるように付けるのだが、韓国では壁側に垂れているのだ。従って、ホルダーの蓋というのか上のカバーには切り取りのためのギザが無い。紙質は良くて、ミシン目が入っているから切るのに困難は無いのだろうが。帰ってから韓国に行ったことのある何人かの方に聞いてみると、日本人のよく行くような観光ホテルは日本風、いなかでは韓国風だろうと思われるという。

熱膨張(臨時投稿)

2020年02月18日 | 今日このごろ
 台所を覗いて驚いた。IHヒーターとシンクの間の作業スペース(ワークトップと言うのだそうだ)は、人造大理石で作られているのだが、そこにヒビが入っている。手前の縁からちょっと斜めに中央に向かって、長さ約30センチ。0.5ないし1ミリの隙間が空いていて、段差も1ミリ弱もあるのだ。ヒビの終点のあたりに、鍋が置いてあって、作った料理がかなり熱い状態で置いてある。

鍋の下までヒビが… 2020.2.10 以下も同日

これはひどい 

 置いた鍋の熱で大理石が膨張して、歪みができて割れたに違いない。さてどうするか?
 まず鍋をヒーターに移動して、大理石を冷ました。約2時間後、段差は半分ぐらい、隙間も目立たなくなってきた。そこで、上面に板を当ててクランプで締め付けて合わせてみる。完全には合わないので、薄い紙を片方に入れて調整。

クランプで締め付ける。

 ここでも10分ほど置いてから、瞬間接着剤(浸透型)を入れ込む。上面が盛り上がるまで盛り付けて、3時間ほど放置。

接着

 固まったところで、ナイフを使って盛り上がった接着剤を除去。傷がつかないようにカッターナイフの刃ではなく折り取った断面を使って作業すること30分ほど。指で触って出っ張りが感じられなくなるまで。
 後でまた割れるかとも思ったが、1週間以上経った現在も変化がないから上手く行ったみたい。