音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ Inventionの、心に刻み込む ≪ 暗譜方法 ≫ ■

2013-09-04 18:05:35 | ■私のアナリーゼ講座■

 

■ Inventionの、心に刻み込む ≪ 暗譜方法 ≫ ■
     Bach インヴェンション・アナリーゼ講座

  第 12回  「 Invention & Sinfonia 12番 A-Dur イ長調 」 
                
                  2013.9.4  中村洋子

   

 


★深い憂愁に閉じ込められたような 「 11番 ト短調 g-Moll 」 。

それに続く 「 12番 Invention A-Dur 」 は、

Invention & Sinfonia も、真夏の太陽のように、

明るく、力に漲った曲です。

Sinfonia  12番の、9~12小節目、20~23小節目バスは、

あたかも、次の時代の様式を先取りしたような、音型です。


★しかし、その音型の源泉は、イタリアの Alessandro Marcello

アレッサンドロ・マルチェッロ (1669~1747) や、

Antonio Vivaldi 
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678~1741) の、

協奏曲まで、
辿ることができます。

それについて、具体的にご説明し、

どのような楽器をイメージし、どんな音色で演奏すべきか、

お話いたします。

 

 


★類似した音型の曲は、Telemann テーレマン (1681~1767) の

「 Leichte Fugen mit kleinen Stücken 簡単なフーガと小品 」

にも、見られます。

これを、 Invention と併用しますと、Bachをより深く理解できます。

比較することで、Bach の素晴らしさが、

一層良く、分かるのです。

レッスンに直ぐ、応用できます。


この 12番 を基に、もう一度、 「 暗譜の方法 」 を、

おさらいいたします。

漫然と、反復練習して ≪ 曖昧に指先で覚える ≫ のではなく、

≪ 心と頭に、インヴェンションをゆるぎなく定着させる暗譜 ≫ が、

必要です。

そのような ≪ 暗譜 ≫ ができますと、 「 本物 」  の音楽と、

「 そうではない音楽 」 とを、判断する能力が、

自然に、身に付きます。


★ Bach の最高の演奏家であった Albert Schweitzer 

アルベルト・シュヴァイツァー (1875 - 1965) は、

著書で、次のように書いています。

 

 

≪ 平均的な音楽家が、もし、本物の芸術と偽物を、

厳しく、見分ける能力をもっているとすると、それは、 

まさに Bach の Invention のお陰である、といえる。

 Invention を練習したことのある子供は、それがたとえ、

ピアノ習得のための、機械的な練習だったとしても、

多声部の作曲法を、既に身につけたといえる。

それは生涯、消えない。≫


★インヴェンションを、生涯にわたって忘れないためにも、

「 本当の暗譜 」 が必要なのです

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■ 日 時 : 2013年 10月 30日(水) 午前 10時 ~ 12時 30分

■ 会 場 : KAWAI 名古屋  2F コンサートサロン・ブーレ

                           ( 要予約 )   Tel.-052-962-3939

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・第 13回  2014年 2月26日(水)   午前 10時 ~ 12時 30分 





 ■ 講師 :   作曲家  中村 洋子 Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello 
        無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
        Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
     CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN 
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』
 を発表。

08年:CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
    CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

08~09年: 「 Open lecture on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」

                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        「 Suite Nr.2 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 2番 」
              が
W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイ ム
             
で、初演される。

10~12年: 「 Open lecture on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」

                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。


10年: 
CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello 
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang
Boettcher 演奏を発表 。

     「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
            
ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。


11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」
を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
     チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」 を、
      Musikverlag 
Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

     スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

★上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」   http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「アカデミア・ミュージック 」 
https://www.academia-music.com/ で、販売中。
  

 


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