音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ 「平日のアナリーゼ講座」 Bach を始めます ■

2008-05-28 14:33:02 | ■私のアナリーゼ講座■

■ 「平日のアナリーゼ講座」
  ~ Bach:Inventionen Sinfonien ~を始めます ■

                08.5.28 中村洋子


★6月8日(日)開催の「第2回・カワイアナリーゼ講座」

≪バッハ イタリア協奏曲について≫は、

雑誌「ぶらあぼ」でも紹介され、

おかげさまで、たくさんのご予約をいただいております。


★日曜日の出席が困難な皆さまから、平日開催のご要望が多いため、

「バッハのインヴェンションとシンフォニア」のアナリーゼ講座を、

平日、定期的に「カワイ表参道」で、開催することになりました。

第一回目は、6月24日(火)午前10時~12時15分です。

シリーズとして、継続的に開催する予定です。


★バッハは、「インヴェンションとシンフォニア」の序文で、

次のように、この曲集の意図を説明しています

(以下は、私が意訳して、分かりやすく書きました)


★≪クラヴィーアのamateur(愛好家、素人)、

特に、それを真剣に学びたいと思っている方にとって、

この曲集は「Honest method (誠実に筋道を教える手引)」です。


★まず、①二声部を、はっきりと演奏することを学びます。

そのうえ、さらなる上達を目指して、

②記譜されている三声部を、すべて正確に、かつ、上手に

演奏できるようにします。

同時に、優れた着想(インヴェンション)を得るだけでなく、

それを巧みに展開し、

特に、カンタービレ(よく歌わせる)奏法を身につける、


★そのうえ、将来、作曲をする際に味わうであろう、

(その苦楽を)事前に、十分に積極的に体験する≫と、

出版の目的を書いています。


★今回の私のシリーズでは、

二声のインヴェンションを全部終わってから、

三声のシンフォニアに入るのではなく、

二声と三声の同じ調の曲を同時に、

学んでいく、という方法をとります。


★このため、第一回目は、インヴェンション1番と

シンフォニアの第1番のハ長調です。


★バッハは、曲集を壮大な意図をもって、構成、作曲しました。

余談ですが、イタリア協奏曲が「クラヴィーア練習曲集全4集」の

第2集に置かれているのは、上記のような、理由です。


★「平均律クラヴィーア曲集」第一巻、第二巻も

同じ考え方によるものです。


★インヴェンションに、戻りますと、

二声と三声は、ハ長調の音階を基に、テーマが作曲されています。

二声が「ドレミファソ」を、テーマの主要部分とするのに対し、

三声のテーマが、「ソラシド」から始まります。

この2つを合わせますと、

ハ長調の音階「ドレミファソラシド」になります。


★ご存知のように、平均律クラヴィーア曲集第一巻の

第一番ハ長調の前奏曲は、ハ長調の主和音の分散和音

「ドミソドミ」で始まり、全曲が分散和音によって、

形作られています。

そのフーガは、「ドレミファソ」の音階により、

テーマが始められています。

この3曲を比較しただけでも、

バッハの意図がどこにあったかが、お分かりになるはずです。


★そのようなお話もしながら、バッハが望んでいたように、

正確に演奏するだけではなく、

創意に溢れた、美しい演奏をするためのアナリーゼを、

皆様とご一緒に楽しんでまいりたいと思います。


▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
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