■2019年は、≪「平均律1巻を源泉とする名曲」のアナリーゼ講座≫■
~第1回:Inventionen und Sinfonien 全30曲は、
平均律1巻大宇宙の凝縮~
2019.1.1 中村洋子
★≪我に許せ 元日なれば 朝寝坊≫1899年(明治32年)
夏目漱石(1867-1916)
新年おめでとうございます。
漱石はこの句を詠んだ翌年1900(明治33)年9月、ヨーロッパに
渡りました。
明治のお正月はどんな様子だったのでしょう。
元旦の朝寝坊は、120年たった今も、変わりありませんね。
災害のない、穏やかな一年となるように願っております。
★本年のアナリーゼ講座は、新シリーズが4月20日(土)スタートです。
2016~17年の二年間全10回シリーズで、
「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」アナリーゼ講座を、
開催しました。
ゴルトベルク変奏曲は、主題である「Aria」と30の変奏曲から成っています。
1回につき、3曲ずつ変奏曲を、取り上げました。
1曲はほぼ32小節前後の短い変奏曲ですが、その中に、
クラシック音楽の、ほとんどすべての要素が網羅されているのではないか、
と思うほど、密度の濃い作品です。
★10回の講座を終えた後、Bachを学ぶうえでの視点が、
さらに、ピンポイントで、焦点が合ってきたと感じております。
2018年は、6回シリーズで「平均律第1巻1~6番」の
アナリーゼ講座を、開催しました。
「平均律第1巻」のBach≪ 序文≫の日付は、1722年です。
「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」は、1741~42年の出版。
★平均律第1巻でBachが試みたこと、それが人類の宝として結実したこと。
そのほぼ20年後、その「平均律第1巻」をどう発展させたか、
「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」で、明確に分かります。
★平均律第1巻でBachが試みたことにつきましては、
私が書きました≪「Bärenreiterベーレンライター版
平均律第1巻楽譜」添付の解説≫を、お読み下さい。
https://www.academia-music.com/products/detail/159893
★2019年のアナリーゼ講座は
■バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻」と、
この「1巻を源泉とする名曲」のアナリーゼ講座(全4回)です。
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第1回: Inventio & Sinfonia インヴェンション & シンフォニア
1番 C-Dur
・インヴェンション & シンフォニア は、平均律1巻の真髄を抽出
・平均律1巻「序文」を読み解くカギはインヴェンションにあり
≪インヴェンションとシンフォニア全30曲は、平均律1巻大宇宙の凝縮≫
■日時:2019年4月20日(土) 14:00~18:00
■会場:エッサム本社ビル4階 こだまホール(地図)
住所 東京都千代田区神田須田町1-26-3
TEL 03-3254-8787
東京メトロ神田駅 5番出口 徒歩1分
JR神田駅 北口 徒歩3分 ※エッサム1、2号館ではありません
https://www.academia-music.com/user_data/analyzation_lecture
https://www.academia-music.com/
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■「平均律第1巻」序文の日付は1722年。意外に思われるかもしれませんが、
「インヴェンションとシンフォニア」は翌年の1723年。つまり、インヴェンションのほうが後です。
バッハはインヴェンション≪序文≫で、 この曲集は「音楽愛好家や学習者の
ための手引きの曲集」としています。しかし、バッハの溢れる創造力は、
インヴェンションを単なる「愛好家の手引き」にとどめず、平均律1巻の真髄
すべてを抽出し尽しました。
逆に、この曲集を学んでこそ、平均律1巻が理解できるともいえます。
■インヴェンション1番の冒頭「c¹-d¹-e¹」の長三度は、平均律1巻1番
プレリュード冒頭「c¹-e¹」の長三度音程と重なります。
この「c¹-d¹-e¹」に続く「f¹-d¹」の短三度は、
バッハの平均律1巻「序文」を示唆し、
平均律1巻6番 d-Moll のモティーフを暗示します。
シンフォニア1番冒頭上声の「g¹」から始まる音階の後半
「c²-d²-e²-f²」を、1オクターブ下げますと、
平均律1巻1番フーガの冒頭で提示される主題と、同じになります。
このように、インヴェンション&シンフォニア1番には、
平均律1巻1番が絶えず顔を出してきます。
決して偶然ではありません。
バッハはそれにより、何を訴えたかったのでしょうか?
■豪壮な大伽藍のような平均律第1巻「7番 Es-Dur」と 、
平均律第1巻の中で屈指の前衛的な作品でありながら、
底知れぬ嘆きに満ちた「8番( Prelude :es-Moll、Fuga:dis-Moll)」
の講座は、少しお待ちいただきますが、
このシリーズの後の方で勉強いたします。
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★ Inventio インヴェンション 1番 C-Dur
この短く愛らしい、わずか22小節の Inventio 1のどこに、
平均律の頂点に屹立する凄さが、あるのでしょうか。
≪ベーレンライター版「平均律第1巻」楽譜の添付解説
(中村洋子著)≫をお読み下さい。
きっと、はたと膝を打たれることでしょう。
この曲を和声、対位法の観点からも詳しくお話いたします。
いままで何気なく弾いたり、聴いたりしていた 「Inventio 1」 を、
より深く理解することがバッハの音楽に、
また一歩近づくことなのです。
★ Sinfonia シンフォニア 1番 C-Dur
何という清明な曲でしょうか。
上声8小節目後半から9小節目にかけての「a²-g²-fis²」は、
清々しい大気に響きわたる、トランペットを彷彿とさせます。
色彩に満ちた全21小節、
その華やかな音のパレットの根源を、
詳しく探ります。平均律1巻が厳かに大地から、
浮かび上がってくることでしょう。
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★アカデミアミュージックのホームページに、
私のアナリーゼ講座のページが、新設されました。
https://www.academia-music.com/user_data/analyzation_lecture
https://www.academia-music.com/
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