音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■Bach 和声の妙味《読み替え》による転調、一瞬にして別世界へ■

2016-02-26 01:53:31 | ■私のアナリーゼ講座■

■Bach 和声の妙味《読み替え》による転調、一瞬にして別世界へ■
~第3回平均律1巻アナリーゼ講座は、3番 前奏曲とフーガ&Chopin雨だれ~
           2016.2.26   中村洋子

 

 


★名古屋で24日開催しました「平均律第1巻2番」アナリーゼ講座には、

地元だけでなく、東京から4人、京都や金沢、

さらには札幌からも空路、お越しくださいました。


★2番 Preludeで、Bachの和声について、ピアノで音を出しながら

詳しくじっくりと、お話することができました。

ご理解が深まったことと思います。


★理解が定着するよう復習を兼ねて、その一部を、

簡単に、ご説明いたします。


5小節目は、c-Moll の「Ⅵの和音」ですが、

 

 

 

これは、g-Moll の「ナポリのⅡ」と、同じ和音なのです。

 

 


“振り向けば c-Moll 「Ⅵの和音」が、g-Moll 「ナポリのⅡ」に、

なっていた・・・“

”気が付けば、一瞬にして別世界に運ばれていた・・・”

ということです。

これが、Bach和声の妙味です。


★そして、6小節目 g-Moll の「属七」、7小節目のg-Moll の「Ⅰ」

というように、c-Moll から、するすると転調していきます。

 

 

 

★この≪読み替え≫により、ナポリの和音を転調する手法

につきましては、

私の著書≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫の、

Chapter 4【平均律2巻4、5、12番はバッハ自筆譜が行方不明】の

P132~134で解説しておりますので、ご参照ください。

 

 

 

 

15小節目 Es-Dur の「ドッペルドミナント」も、

 

 

c-Moll の「ドリアのⅣ」と、読み替えることができます。

 

 


10小節目から15小節目まで続く Es-Dur が、ここで、

くるりと c-Moll に戻ってしまうのです。

 

 


★この「ドリア」につきましても、Chapter 4 

【平均律2巻12番 f-Moll を例に、Bachの和声を見てみましょう】の、

《ありふれた和音の「ドリアのⅣ」に、Bach は多彩な変化を加える》で

詳しく、説明しておりますのでご覧ください。

 

 


★次回の名古屋 KAWAI 「平均律第1巻アナリーゼ講座」は、

6月29日(水)午前10~12時半

平均律第1巻3番 Prelude & Fuga Cis-Dur &「雨だれ」です。

~Chopin Prélude 「雨だれ」 Des-Dur  Op.28  Nr.15 は、

平均律1巻3番から生まれた~

 

 

 


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