■ロギールさんの和紙
08・1・11
高知の山里から、素晴らしい手漉きの和紙が届きました。
「檮原(梼原)」という町からです。
梼原は「ゆすはら」と読みます。
あまりおなじみのない名前かもしれません。
檮は、辞書によりますと「切り株」の意です。
しかし、町名は「ゆすのき」という樹木に由来しています。
かつてはこの「ゆすのき」がたくさんあり、町のシンボルでした。
材質が硬く、色も美しいので、箸や耳掻き用に使われ、人気があります。
★高知市から西、宿毛の方へ約30キロ、須崎という漁港に着きます。
ここから、バスで1時間半ほど、山道を北上してやっと到着します。
四万十川源流域で、昔は、高知のチベットともいわれた奥地です。
その先はカルスト台地が広がります。
最近は、「千枚田」という棚田や、風車などで、
観光的に有名になりつつあります。
★谷あいには清流が走り、緑濃い山の中腹に
黒光りする100年以上たった農家があります。
その主が、この和紙を漉いています。
名前はロギールさん、姓はアウテンボーガルト。
日本人ではなく、オランダ出身で、30年ほど前に来日しました。
月明かりで、薪の五右衛門風呂に入るのが大好きな人です。
奥様は千賀子さん。
★ヘラルド・トリビューン紙に包まれた障子紙を取り出します。
その色合い、奥深さに感動します。
白い色では決してありません。
淡い淡い土の色、仄かな仄かな枯葉色。
木、水、太陽、山の恵みが一枚の紙に、凝縮しています。
表面をそっと撫でてみます。
微細な羽毛のような感触。
太陽にかざしますと、柔らかい陽光に体がくるまれるようです。
★この障子紙のお部屋は、世の中の雑音を、
黙って吸収してくれるかのようです。
心が和み、癒され、落ち着いてきます。
和室、障子の真の価値は、
このような素晴らしい和紙を貼って、
初めて分かるのかもしれません。
★紙の原料作りから、最終仕上げまで、すべて
ロギールさんやご家族による、愚直なまでの手作業です。
楮や三椏は、川沿いで有機無農薬栽培します。
皮を剥ぎ、釜の中で石灰を加えて煮上げる工程も、
大昔からの方法そのまま。
手で丹念に叩いて叩いて、皮の繊維を分解する力仕事、
漉き上げた紙の、天日による板干しなど、一切手抜き無し。
紙に粘りを出すために加えるトロロアオイも、有機無農薬栽培です。
これほど伝統的な本物の和紙は、
多分あまり他では、お目にかかれないかもしれません。
★一般的に、手漉き和紙といっても、
電熱器で暖めたステンレス板に、漉いた紙を貼り付け、
簡単に乾かすのが多いようです。
ロギールさんの乾燥は、松の木の一枚板に、漉いた紙を
一枚一枚、丁寧に貼り付け、太陽の光で乾かします。
紙の耐久力がぐんと増します。
大きい松の板は、畳ほどあろうかという大きさ。
いまでは、こうした大きな一枚板は、ほとんど入手できず、
とても貴重だそうです。
★ロギールさんとは、ひょんなことからお知り合いになり、
かれこれ15年以上のお付き合いです。
私の「無伴奏チェロ組曲」などを聴きながら、彼は紙を漉きます。
★今回は、障子用の和紙をお願いしましたが、
私の家には、彼の作品がたくさんあります。
壁と天井の一部は、彼の和紙を貼ってあります。
「袋貼り」という古い技法です。
下地に2回も紙を貼り、
最後に、大きな和紙の端にのみ糊を付け、ふんわりと貼ります。
そのため、糊の付いていないところが、
ふっくらとした風合いを醸し、典雅です。
★彼は、また「行灯」や「灯り」作りの名人です。
山で自生する藤蔓(かずら)を組み合わせ、
それに和紙を貼り合わせます。
和紙から漏れる明かりは、この上なく暖かで、
幻想的ですらあります。
我が家では、この「行灯」がずっと玄関の主役です。
★檮原和紙 かみこや アウテンボーガルト・ロギール&ちかこ
TEL/FAX 0889-68-0355(紙漉き体験民宿かみこや)
かみこやブログ http://kamikoyat.exblog.jp/
かみこやのホームページ http://www4.ocn.ne.jp/~kamikoya/
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
08・1・11
高知の山里から、素晴らしい手漉きの和紙が届きました。
「檮原(梼原)」という町からです。
梼原は「ゆすはら」と読みます。
あまりおなじみのない名前かもしれません。
檮は、辞書によりますと「切り株」の意です。
しかし、町名は「ゆすのき」という樹木に由来しています。
かつてはこの「ゆすのき」がたくさんあり、町のシンボルでした。
材質が硬く、色も美しいので、箸や耳掻き用に使われ、人気があります。
★高知市から西、宿毛の方へ約30キロ、須崎という漁港に着きます。
ここから、バスで1時間半ほど、山道を北上してやっと到着します。
四万十川源流域で、昔は、高知のチベットともいわれた奥地です。
その先はカルスト台地が広がります。
最近は、「千枚田」という棚田や、風車などで、
観光的に有名になりつつあります。
★谷あいには清流が走り、緑濃い山の中腹に
黒光りする100年以上たった農家があります。
その主が、この和紙を漉いています。
名前はロギールさん、姓はアウテンボーガルト。
日本人ではなく、オランダ出身で、30年ほど前に来日しました。
月明かりで、薪の五右衛門風呂に入るのが大好きな人です。
奥様は千賀子さん。
★ヘラルド・トリビューン紙に包まれた障子紙を取り出します。
その色合い、奥深さに感動します。
白い色では決してありません。
淡い淡い土の色、仄かな仄かな枯葉色。
木、水、太陽、山の恵みが一枚の紙に、凝縮しています。
表面をそっと撫でてみます。
微細な羽毛のような感触。
太陽にかざしますと、柔らかい陽光に体がくるまれるようです。
★この障子紙のお部屋は、世の中の雑音を、
黙って吸収してくれるかのようです。
心が和み、癒され、落ち着いてきます。
和室、障子の真の価値は、
このような素晴らしい和紙を貼って、
初めて分かるのかもしれません。
★紙の原料作りから、最終仕上げまで、すべて
ロギールさんやご家族による、愚直なまでの手作業です。
楮や三椏は、川沿いで有機無農薬栽培します。
皮を剥ぎ、釜の中で石灰を加えて煮上げる工程も、
大昔からの方法そのまま。
手で丹念に叩いて叩いて、皮の繊維を分解する力仕事、
漉き上げた紙の、天日による板干しなど、一切手抜き無し。
紙に粘りを出すために加えるトロロアオイも、有機無農薬栽培です。
これほど伝統的な本物の和紙は、
多分あまり他では、お目にかかれないかもしれません。
★一般的に、手漉き和紙といっても、
電熱器で暖めたステンレス板に、漉いた紙を貼り付け、
簡単に乾かすのが多いようです。
ロギールさんの乾燥は、松の木の一枚板に、漉いた紙を
一枚一枚、丁寧に貼り付け、太陽の光で乾かします。
紙の耐久力がぐんと増します。
大きい松の板は、畳ほどあろうかという大きさ。
いまでは、こうした大きな一枚板は、ほとんど入手できず、
とても貴重だそうです。
★ロギールさんとは、ひょんなことからお知り合いになり、
かれこれ15年以上のお付き合いです。
私の「無伴奏チェロ組曲」などを聴きながら、彼は紙を漉きます。
★今回は、障子用の和紙をお願いしましたが、
私の家には、彼の作品がたくさんあります。
壁と天井の一部は、彼の和紙を貼ってあります。
「袋貼り」という古い技法です。
下地に2回も紙を貼り、
最後に、大きな和紙の端にのみ糊を付け、ふんわりと貼ります。
そのため、糊の付いていないところが、
ふっくらとした風合いを醸し、典雅です。
★彼は、また「行灯」や「灯り」作りの名人です。
山で自生する藤蔓(かずら)を組み合わせ、
それに和紙を貼り合わせます。
和紙から漏れる明かりは、この上なく暖かで、
幻想的ですらあります。
我が家では、この「行灯」がずっと玄関の主役です。
★檮原和紙 かみこや アウテンボーガルト・ロギール&ちかこ
TEL/FAX 0889-68-0355(紙漉き体験民宿かみこや)
かみこやブログ http://kamikoyat.exblog.jp/
かみこやのホームページ http://www4.ocn.ne.jp/~kamikoya/
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