■「Chopin の見た平均律・アナリーゼ講座」3番 Bartók版との比較■
2012.6.17 中村洋子
★6月15日の「 平均律クラヴィーア曲集第 1巻・アナリーゼ講座 」
最終回は、いつもに増して、たくさんの方がご参加くださり、
無事、終了いたしました。
感動的なアンケートも多数いただき、これにつきましては、
全 24回を終えての、私の感想とともに、後日、ご報告いたします。
★昨日 16日は、雨の中、神奈川県・中央林間にあります
Victor mastering studio に、出かけました。
昨年 12月、石川県・津幡町のシグナスホールで、
Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生に、
録音して頂きました、私の作品
「 Suite für Violoncello solo Nr.4、5、6 ,
無伴奏チェロ組曲第 4、5、6番 」 の、最終の編集作業です。
日本で、並ぶ方のいない素晴らしい技術の持ち主である、
杉本一家さんが、精魂傾けてマスタリングをして下さいました。
★Boettcher先生の素晴らしい演奏が、より輝きを増しました。
完成まで、あと一歩です。
Boettcher先生は、1st edited CD-R をお聴きになり、
「 Sugimoto-san Bravo! 」 と、お手紙をくださいました。
★明 17日は、 「 Kawai横浜みなとみらい 」 での、
「Chopin の見た平均律・アナリーゼ講座」です。
今日は、平均律 3番の Chopin の書き込みと、
Bartók Edition とを比較して、勉強し、
心地よい興奮を、味わっています。
★一例を挙げますと、
3番前奏曲の 33小節は、Chopin と Bartók とが、
同じ fingering を、記入しています。
Chopin の fingering は、心覚えのように、
ごくわずかしか、書き込まれていません。
★33小節目の下声冒頭の音 eis1 に対し、
何故、二人の大作曲家は、ごく当たり前にしか見えない、
fingering 「 2 」 を、書き込んだのか?
★それに対し、3番フーガは、28小節 3拍目ソプラノ声部の、
eis1 を、Chopin は、 「 2 」 指を、そして、続く gis1 を、
「 3 」 にしたのに対し、Bartok は、 eis1 を 「 3 」 、
gis1 を 「 1 」 と、しています。
★これには、深い理由が考えられます。
明日の講座で、詳しくご説明いたします。
★また、講座では、Chopin の 「 24 Préludes 」 Op.28 の、
15番 「 雨だれ 」 についても、平均律との関係を、
お話する予定です。
★この 24Préludes は、Debussy の素晴らしい校訂版があり、
Chopin の自筆譜を、Debussy のedition と比べ、
Debussy の深い洞察力についても、ご説明いたします。
★天才を知るのは、天才だけなのかもしれません。
いわゆる音楽学者の入り込む隙は、どうも、
あまり、なさそうです。
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