■6月の平均律アナリーゼ講座は、Beethoven「テレ-ゼ」との密接な関係■
2011.5・28 中村洋子
★「東日本大震災」 余震が依然続き、なかなか安眠できない毎日です。
昨日の「平均律アナリーゼ講座 」は、開催決定が、一週間前と、
急であったにもかかわらず、本当にたくさんの皆様が、
お出でくださいました。
★今だからこそ、学びたい、知りたい、という気持ちを共有し、
私自身も、納得のいく講座となりました。
★講座では、ショパンと同様に、十代のラフマニノフが、
≪ バッハから、何を学んで、彼の出発点となる曲を書いたか ≫、
詳しく、ご説明致しました。
★ラフマニノフも、Bach バッハという巨大な樹木の、
滋養を存分に吸い取って、美しい大輪の花を咲かせた作曲家でした。
また、バッハの 「 増二度 」 を、アルヴォ・ペルトが、
ごく単純に利用して、作曲している事も、お話ししました。
★次回の 「 第 13回 講座 」 は、
Beethoven ベートーヴェンのピアノソナタと、
バッハとの関係についても、お話し致します。
★「 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 13番 嬰へ長調 」 は、
全 24曲の後半 最初の曲です。
★「 嬰へ長調 」 は、調号にシャープを 6個もつ、
大変に、珍しい調号です。
「 シ 」以外の音階音すべてに、シャープが付きます。
飛び立とうとする小鳥の羽音にも似た、軽やかな前奏曲は、
「 1番 前奏曲 」 に戻ったかのような印象です。
演奏上の難しさとは裏腹に、その軽やかさに驚かれることでしょう。
★この 13番が、全体を束ねる 「 1番前奏曲 」 の分散和音と、
どう呼応し、どのように異なっているのか、
それを、詳しくお話いたします。
★前奏曲と同じような、朗らかさをもつ
「 13番 フーガ 」 も、実は 3番 & 12番 フーガと同様、
二つの対主題(カウンターサブジェクト)をもっています。
この点も、ご説明いたします。
★この珍しい嬰へ長調で作曲されているのが、
Beethoven ベートーヴェン(1770~1827)のピアノソナタ 24番
「 テレーゼ 」Op.78 (1809) です。
その作曲技法は、まさに 「 バッハ 」そのものです。
★講座では、ベートーヴェンが、バッハから学んだものを、
分かりやすく、解説いたします。
ベートーヴェン・ピアノソナタを理解するのに必要なことは、
彼の恋人が誰であったかうんぬんを、詮索することでは、
ありません。
まず、バッハを一生懸命、勉強することに尽きます。
■第 13回 平均律アナリーゼ講座 第1巻 第13番
嬰ヘ長調 前奏曲 と フーガ
~平均律第1巻13番と、Beethoven ピアノソナタ 「テレーゼ」
との密接な関係~
■ 2011年 6月21日(火) 午前 10時 ~ 12時 30分
■ カワイ表参道 2F コンサートサロン [ パウゼ ]
( 要予約 ) Tel.03-3409-1958
● 中村 洋子
東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。
2003年~ 05年:アリオン音楽財団《東京の夏音楽祭》で新作を発表。
07年:自作品「無伴奏チェロ組曲第 1番」などをチェロの巨匠W.ベッチャー氏が演奏したCD『W.ベッチャー日本を弾く』を発表。
08年:CD「龍笛&ピアノのためのデュオ」、CD ソプラノとギターの「星の林に月の船」を発表。
08~09年:「バッハのインヴェンション・アナリーゼ講座」全15回を開催。
09年10月:「無伴奏チェロ組曲第 2番」が、W.ベッチャー氏によりドイツ・マンハイムで初演される。
10年:「 無伴奏チェロ組曲第 1番 」が、ベルリンのリース&エルラー社 Ries &Erler Berlin から出版される。
CD『 無伴奏チェロ組曲第3番、2番 』 W.ベッチャー演奏を発表。
「レーゲンボーゲン・チェロトリオス ( 虹のチェロ三重奏曲集 )」が、ドイツ・ドルトムントのハウケハック社 Musikverlag Hauke Hack 社から出版される。スイス、ドイツ、トルコの音楽祭で、自作品が演奏される。
11年4月:「10 Duette fur 2 Violoncelli チェロ二重奏のための10の曲集 」が、 ドイツの「 Ries & Erler Berlin 、リース&エアラー社 」から出版される。
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