音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ インヴェンション・アナリーゼ講座の目指すもの ■

2008-06-21 23:59:12 | ■私のアナリーゼ講座■
■ インヴェンション・アナリーゼ講座の目指すもの ■
                08.6.21 中村洋子


★6月24日に、カワイ表参道「コンサートサロン・パウゼ」で、

第1回「バッハ、インヴェンションとシンフォニア」

のアナリーゼ講座を開催します。

たくさんの皆さまが、ご予約され、身の引き締まる思いです。


★「インヴェンションとシンフォニア」は、

バッハが、ケーテン時代に作曲しました。

現存する自筆の序文には、「1723年」と書かれています。


★インヴェンションは、一般に言われますように、

単なる入門のための曲では、もちろんありません。

「平均律クラヴィーア曲集」への、導入曲でもありません。

バッハ(1685~1750)の作曲技法が、ここまで極度に切り詰められ、

結晶化した作品は、他にはないでしょう。


★インヴェンション15曲と、シンフォニア15曲の計、

全30曲を「一つの曲」として、捉える見方が求められます。


★例えば、今回のインヴェンション1番のテーマと、

シンフォニア1番のテーマは、お互いにお互いを

照らし合わせており、双方を理解することにより、

両方が、分かるといえます。


★そして、この1番を完全に理解することで、

バッハが、全30曲を、どのように構成して作曲したか、

その意図を、知ることができます。


★そのためには、いわゆる「対位法」の楽曲分析という

手法だけでは不足である、と思われます。

テーマを構成している「モティーフ(要素)の展開」、

という切り口を、使う必要があります。


★後に、ライプツィヒ・聖トーマス教会の

カントルに就任したバッハが、満を持して、

発表した傑作「イタリア協奏曲」(1735年発表)で、

この「モティーフの展開」という方法を、

縦横に、駆使しています。


★これについては、08年6月8日に開催いたしました

「イタリア協奏曲」アナリーゼ講座で、

既に、お話いたしました。

“いままで、全く気が付かなかった。これから

弾き方や聴き方が、変わるでしょう”

という感想も、たくさん寄せられました。


★実は、ベートーヴェンもブラームスも、

この技法を学び、血肉化することにより、

彼らの傑作群を、創造していったのです。


★このテーマの作り方を、24日の講座では、

詳しく説明し、さらに、

演奏にどう生かすか、をお話いたします。


★「どうやって演奏したらいいか」、あるいは、

生徒さんに、「どう教えていいのか」、

いろいろな本を読んでも、分からず、

迷っていらっしゃる方も多い、と思われます。


★それ故、バッハから遠ざかることがなく、

さらに、自信と喜びをもって、

バッハを弾いていただけるよう、願っています。

どうぞ、ご期待ください。


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