のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

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2010年08月12日 | わが家の時時
対馬ツアー報告 第8弾

二日目の晩、舟志エコツアー研究会の皆さんとの交流会で
林業家のKさんと意気投合。
「鰐浦の天然記念物の『ひとつばたご』の苗木を育てているので持って帰れ」
「それではお返しに、千葉のナシを送りましょう」ということになり、
天然記念物の『ひとつばたごと』とはどんなもんじゃと思いまして、
3日目の早朝、対馬北端の集落、鰐浦へ抜け駆けしてきました。

8月6日のツアー報告第5弾でも紹介しましたが、
港に面して家財道具を納めるコヤ群が立ち並んでいる集落です。

手元に「芝浦工業大学建築工学科 畑研究室
住居・集落研究35年の記録」という冊子(2009年3月発行)があります。
知人からいただいておりました。
畑研究室では35年にわたり離島から東アジア、地中海沿岸の住居・集落を
フィールドワークしていまして、1989年に鰐浦を調査しています。

それによりますと、89年時点で74戸、244人の人口とか。
集落の当時の平面図をみても、
家の数などは20年後の現在とそれほどの変化はないようです。
家財道具や物品を収納するコヤが屋敷の外に集めて配置されるのは
東南アジアでよくみられる文化といいます。

一般的には、まとめてコヤを配置するようになったのは
火災から守るためと説明されているのですが、
この冊子には、それだけではないであろうと興味深い感想が記述されています。

つまり、季節の変わり目や来客があるたびに
家とコヤのあいだでモノを出し入れしなければならず、
その折に日常的に村の人の目にさらされることになって、
隠し事のない共同体としてのムラ生活が維持されるのではないかという仮説です。

なるほど、限られた環境・資源の中で生き抜くためには
そうでもして信頼関係を維持していたということかもしれません。
集まったコヤの意味について少し合点がいった気がしました。

             

             

集落内でこんな看板を見かけました。
20年前にも同じ看板はあったのでしょうか。

             

そして、これが「ひとつばたご」の苗木。
いくら落葉樹とはいえ、真夏の今の時期に移植ができるのか不安でしたが、
林業家のKさんが勧めるのですから大丈夫なんでしょう。
乾燥する場所が好きだが
根付くまではたっぷりと水をあげてというアドバイス。

本来、大陸系の樹木で、こんな形で異種が国内に分散するのはいかがか
という声もあろうかと思いますが、
対馬の思い出の木にしたいということでお目こぼしを。

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