のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ヤマネコの山はイノシシに蹴散らされ

2010年08月03日 | わが家の時時
対馬ツアー報告第三段。

対馬は昔大陸とつながっていたことを示す
貴重な動植物が生息・生育していたり、
渡り鳥の中継基地として珍しい野鳥を観察できるようです。
中でも、ツシマヤマネコは種の保存法に基づく
「国内希少野生動植物種」として指定され、
環境省・長崎県がその保護・普及啓発活動を行っています。

ツシマヤマネコは現在、100頭前後の生息数と推定され、
南部の下島で生息する痕跡は確認されなくなっているといいます。
今回のツアーの中では、
野生のヤマネコが見られるかもという夜間探索イベントも企画されましたが、
残念ながら実現しませんでした。

              

胴長短足、尾が太くて長い、耳の先が丸い、額に縦じまがある
という特徴があるといいますが、イエネコとの見分けが難しく、
耳の後ろに白い斑点があるというのが最大の特徴のようです。
対馬北部にある対馬野生生物保護センターでは
繁殖保護対象の生きたヤマネコをガラス越しから見ることができました。

             

これはたまたま見つけたツシマテンの死がい。
すわ!ヤマネコとドキドキしたのですが、
こちらは珍しくはないのだそうです。

             

現在の対馬でもっとも頭を痛めているのは、このイノシシ。
これもたまたま早朝、里に近い山の中の道路際で見つけました。
人の姿をみても逃げるわけでもなく、
一度は向かってくるようなしぐさも見られました。
車中でしたので安心してカメラを向けましたが、
歩いていて出くわしたなら怖かったかもしれません。

資格を得てイノシシを狩猟すると
一匹いくらという形で買い取ってもらえるのですが、
イノシシの繁殖力にはとてもかなわないようです。
イノシシの肉を現地で食べさせてもらい、
美味しいものでしたのでお土産にしました。

              

そしてこれがむらの畑。
最北端、鰐浦集落周辺の自家用菜園のようでした。
四方も上空も網で覆われています。
野生生物と人間の関係が常識と真逆です。
自然の最前線で暮らす苦労が思い知らされます。

離島であることから
島内にはタヌキ・キツネ・ウサギなどは見られないのですが、
実はイノシシもほんの20年ぐらい前まではいなかったといいます。
それは藩政時代に全ての島民が参加して
島の端から囲いを作りながらイノシシを駆除し、
ついには絶滅させたという歴史があったようです。

それが、誰かが狩猟用にでも持ち込んだのではといわれ、
天敵もいないためか一気に繁殖し、このありさま。
昔の人の適切な判断・行動と現代人の自分勝手な行動の違いを
まざまざと見せつけられたようです。