ベラルーシの部屋ブログ

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2022年4月24日。ウクライナ侵攻から60日目

2022-04-24 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年4月24日。今日は正教の復活祭です。
 
 正教復活祭の日は晴れると言われています。正教徒は神に祝福されているから。しかし、ミンスクは今、大雨です。
 天気予報を見たけれどモスクワも曇りで午後から雨。ロシア正教徒、祝福されていませんね・・・
 キエフは晴れ。ウクライナ正教は祝福されているようです。
 
 今日ぐらいロシアもウクライナも戦闘をやめてほしいです。人道回廊もちゃんと機能させられないものでしょうか。

 ちなみにベラルーシにはベラルーシ正教はないです。ロシア正教です。
 なのでロシア正教のトップである総主教がベラルーシの正教徒の中でのトップであるわけです。
 今の総主教キリル総主教が、日本でも報道されましたが、今のロシア大統領と同じ元KGB出身で、今回のウクライナ侵攻について支持しており、NATOを批判したりと、宗教家なのに政治や戦争に首を突っ込みすぎています。
 正教徒である私は、こんな総主教には反対なのですが、そう言うと、こんなトップを選んだ正教徒にも責任があるから、他の聖職者に交代するよう働きかけろとか言い出す日本人が出てくると思います。
 しかし、ロシアもベラルーシもウクライナも宗教が政治と深く関係していて、政治に利用されている側面があるのです。もちろん宗教と政治は離れているべきだと主張する正教徒が大部分です。けれど、ロシアでは大統領のお気に入りが総主教になり、ベラルーシではベラルーシ領内での正教トップも2020年の大統領選挙後、「人事異動」が政府によって行われ、今のトップはベラルーシ大統領支持者です。
 正教徒の中で話し合って、トップを選ぶのではないのです。

 ちなみにロシア正教では、新しく正規に軍人になった人たちの就任式には、神父が招かれて、武運を祈り、聖水をふりかけてもらう儀式をしています。これで戦死することはないというお守り、願掛けのようなものです。
 復活祭やクリスマスのようなお祝いの儀式には大統領が参列し、そのようすがテレビで中継されます。大統領自身が正教徒なので、教会に行くのは別に悪いことではありません。しかし、国民に私は正教徒ですよ、信心深いのですよ、というアピールをしていると思います。
 2020年のベラルーシ大統領選挙後、政権に反対を表明した聖職者は、みんな逮捕されて有罪判決を受けました。


 ウクライナ正教は2018年にロシア正教から正式に分離独立。当然ロシア正教側からしたら気に入りません。それで、ロシアがウクライナに侵攻するのも、容認できるのです。
 ウクライナ議会は国内でのロシア正教を禁止しています。(教義も全く同じ宗教なのですが。)
 また、ウクライナ正教の聖職者は、2014年から続くロシアとの問題について、ウクライナ政府を支持しており、わざわざ神父が、ウクライナを支持します(言い換えればロシアは敵と言っている)といった内容の紙を手にして自撮り画像をネット上に上げたりしています。
 こういうのを見ても、宗教と政治の間に距離を置くという考えが聖職者の中にないのでは?と疑ってしまいます。

 今回のウクライナ侵攻で正教徒であるはずのロシア人兵士が、ウクライナにある正教教会を砲撃したり、教会の敷地内にウクライナ民間人の死体を埋めまくるのも、すでに異教徒に対する迫害にも似た精神状態なのかもしれません。
 同じ正教徒同士なのに、政治が関わりすぎて、(あるいは政治と関わりすぎて)こんなことになっています。

 一方で、日本も第二次世界大戦中は神道も仏教も政治に深く関係しており、お国のために死にましょうと諭していたし、お寺の住職にも赤紙が来て、戦地で戦っていた場合もあります。
 政治と宗教はなかなか切り離せないものだと思います。
 
 
 昨日は聖土曜日で、エルサレム旧市街にあるキリスト教の聖地、聖墳墓教会で聖火の奇跡の儀式が行われました。
 ギリシャ正教の総主教が聖墳墓教会の中でキリストが埋葬されている神殿に入って、天から送られた聖火がつくのを待ちます。
 どのように聖火がつけられるのかは見られません。周りにはその火を自分の持っているろうそくに移してもらおうと、信者が殺到します。(ただし前もって許可をもらっていないと教会の中に入れません。)
 この聖火が無事点火する(神から送られる)と、次の正教復活祭の日まで、「世界は滅びない。この世の終末は来ない」ことを神が保証していることなので、毎年テレビの中継を見てドキドキするのですが、今年は特に冷や冷やしていました。正教の国同士が戦争中ですから。
 幸い、聖火は無事点火され、移された火が各地に運ばれていきました。
 早く戦争が終わってほしいです。


 正教復活祭の儀式のため、ベラルーシ大統領はビテプスク州にある村の教会に三男といっしょに参列しました。
 (以前はミンスクにある大きな教会に行くことが多かった大統領ですが、近年は地方の小さい教会へ行くことが多いです。そのほうが人が少ないし、警備がしやすいからです。)
 そこで大統領は、挨拶の言葉として、
「平和を大事にしましょう。まず隣国に言いたいです。仲良く暮らしましょう。」
と述べました。この隣国というのはロシアとウクライナのことです。


 リトアニア外務大臣はEUに対して、ロシアのキリル総主教をEUの制裁リストに加えるよう要請しました。


 オーストリアの外務大臣は、ウクライナのEU加盟に反対しました。 ウクライナがEUに完全に加盟を与えるのではなく、別の協力モデルを模索すべきと主張しています。 


 アメリカ政府が国内にあるロシア大使館の活動をブロックしたとロシア大使が訴えました。
 大使館の出入り口も封鎖されたとしていますが、一時的だったようです。そして大使館の銀行口座も凍結されたそうです。


 ウクライナ大統領はロシア軍がマリウポリのアゾフスタリ製鉄所に残るウクライナ部隊や民間人を全滅させたり、ロシアが占拠したヘルソン州などで、親露派の「人民共和国」樹立を一方的に宣言するための「住民投票」を実施した場合も、停戦協議を中止すると警告しました。


 今日は正教復活祭であるにも関わらず、ロシア軍は、国連などの戦闘停止の呼びかけを無視し、アゾフスタリ製鉄所を「絶え間なく攻撃している」とウクライナ大統領はSNSで訴えました。またドネツク州ではロシア軍の砲撃で5歳と14歳の子どもが死亡しました。

 ウクライナに隣接するベルゴロド州にあるオトラドノエ村に、ウクライナ側から攻撃があったとロシアメディアは伝えています。負傷者やインフラ設備への被害はありませんでした。

  

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