ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年4月26日。ウクライナ侵攻から62日目

2022-04-26 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年4月26日。
 チェルノブイリ原発事故から36年目。
 今年、チェルノブイリ原発にこのような形で新たな被爆の事象が起きるとは思っていませんでした。
 やはり、原発を占拠していたロシア軍兵士が多数被爆してしまったのはまちがいないようです。
 もっとも人数や被爆の度合いは明らかになっていません。
 原発内に保管してあった核燃料が、ロシア兵により持ち出されましたが、その理由を、ロシア側は、
「ウクライナ政府が原発用の核燃料を核兵器に利用して、独自の核兵器を製造しようとしていたのを、阻止するために、ロシア軍が安全な場所に移した。」
としています。つまりウクライナが核兵器を製造して、現実に利用すると核戦争が起こるのを、ロシアが事前に阻止したので、人類のためにすばらしいことをしたということです。
 

 今朝、沿ドニエストル共和国にあるテレビのアンテナ塔が爆破される事件が起きました。
 1本目のアンテナは午前6時40分、2本目のアンテナは午前7時5分に爆破され、テレビとラジオの放送ができなくなっています。
 このアンテナはロシア語番組を放送していたそうです。
 負傷者はいないとのことです。
 最近の沿ドニエストル共和国はどうしたのでしょう・・・。


 またウクライナに隣接するロシアのベルゴロド州にある村にウクライナ側から攻撃があり、二人の民間人が負傷したと、ロシアで報道されています。当然ウクライナ軍が越境攻撃してきた、ということにするでしょう。
 このような国境近くの村に軍事施設があるのかないのか、それを狙っていたのかどうなのか、詳しいことは分かりません。
 

 ロシア外相は「核戦争を起こさないことがロシアの基本的な立場だ。ウクライナでの軍事作戦が核兵器使用に結びつかないようにしなければならない。」と述べましたが、「第3次世界大戦が起きる可能性は十分にあり、過小評価すべきではない」とも発言。
 第3次世界大戦が起きる可能性はあるが、核兵器は使わないほうがいい、ということでしょうか。


 IAEAの事務局長は26日、チェルノブイリ原発を訪問しました。(この報告を待っていました。)
 4号炉を覆う「石棺」を訪れ、記者団に対し、ロシア軍占拠時は「異常な状況で、非常に、非常に危険だった」と語りました。
 またチェルノブイリ原発の放射線量が「異常」な水準にあるとの認識を示しました。
 放射線量の上昇は、ロシア軍が敷地内で重車両などを動かしたためだそうです。
 やっぱり、事故から36年の節目の日にこんな内容の記者会見になるとは思っていませんでした。
 
 例年、4月26日はベラルーシ大統領がかつての放射能汚染地域を訪問して慰霊祭をするのですが、今年は大統領は訪問しませんでした。

 
 ポーランドはロシアから輸入しているガスの支払いをロシア・ルーブル払いで行うことを拒否しました。
 そして、そのことを決めた今日のうちにロシアはポーランドへの天然ガス供給を停止しました。対応が早いですね。
 ポーランドが心配です・・・。


 チェチェン共和国のカディロフ首長は、ウクライナで義勇兵として戦闘に参加している、チェチェンのシェイク・マンスール大隊とジョハル・ドゥダエフ大隊に対し、その所在についての情報に100万ドルの懸賞金をかけました。
 首長からしたらこの大隊は裏切り者なのでしょう。


 ウクライナ政府はロシアがウクライナのヘルソン州とザポリージャ州をロシアに併合するため住民投票の準備をしていると警告しました。ヘルソン市長によると市庁舎にロシア軍が入り、強制的に外に追い出され、市庁舎が掲げていたウクライナ国旗は取り外されました。5月1日にも住民投票が行われるようで、(おそらく結果は捏造されるでしょう
。もう結果が見えています。)その後ヘルソン人民共和国が誕生し、そしてそれを独立国家として認める、とロシア政府が発表するでしょう。


 アゾフ連隊は今日、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所へのロシア軍による空爆が、この24時間で35回行われ、中に避難している市民らにけが人も出ているとSNSで主張しました。
 
 ウクライナ外務省が公式ツイッターに投稿した各国の支援に対する感謝動画に、日本が入っていなかったので、それに対して「助けてもらったのにありがとうも言えないの、ウクライナ政府は! もう支援しなくていい。」と文句を言ったり、日本政府もわざわざ趣旨を先鋒に確認すると言ったり、「いや、こういうことじゃないの? ああいうことじゃないの?」とあれこれ推察する日本人が大勢います。
 私からしたら、こんな問題は大したものではないので、そのほうばかりに注目、注意を注ぐことを日本人はしなくていいです。もっと他に気をつけて考えないといけない大事なことが世界のあちこちにあります。(日本も含めて)

 それと、外国からの支援に対して、その場で感謝の言葉を述べることはしても、改めてこんな動画まで作ってもう一度感謝する・・・ということを今まで日本側はしていますか? ベラルーシとの関係で言うと、私は見たことないです。ウクライナに文句を言う前に、対外的に日本が完璧に礼儀正しくしているかどうか日本人も考えるほうがいいですよ。
 昨日はウクライナ政府の公式とされるツイッターに、昭和天皇とナチス・ドイツの指導者だったヒトラーらの顔写真を並べた動画が投稿され、その後、批判が相次いで写真が削除され、駐日ウクライナ大使が謝罪していましたが、その中で動画製作者の歴史認識が間違っていたと説明していました。
 このウクライナ大使の言葉が真相だと私には思われますが、歴史の専門家ではないウクライナ人の歴史認識なんてそんなレベルですよ。ウクライナじゃないけどベラルーシの高校の世界史の教科書の日本の部分を読んだらびっくりしますよ。でも日本のことを何ページにも渡り載せてくれているだけでもありがたい。
 最近ニュースのおかげで日本人のウクライナやロシアに対する知識が増えたけど、これまでは無知だった、ぼんやりとしか分かっていなかった、誤解していた・・・と思っている日本人がいっぱいいるのではないですか? 
 日本人の知人からメールが来て、昨今の戦争のニュースのおかげで、今まで「ベラルーシ? どこそれ? 大統領の名前? 顔? 知らない。」と言っていた日本人にも、ベラルーシという国があるんだね、と知られるようになってきたと書いてありました。イメージは悪いけど、知名度が上がったといいうことです。
 イメージが悪くても、知名度が上がってよかったわと私は思っています。
 そうすると今度は「こんな国に住んでいるTさんはおかしい人だ。」と言ってくる日本人もいる(ベラルーシに住んでいる日本人からも言われる)のですが、私がベラルーシに住み始めたのは1995年のことで、現大統領が就任してまだ4ヶ月目のことでした・・・とここに書いておきます。

 ともかく、大部分の日本人の歴史認識もあやふやであることが多いです。
 ヒットラーの隣に昭和天皇を並べたウクライナ人の歴史認識もあやふやだと思います。
 もっとも、戦時中、天皇陛下万歳と言いながら戦死した日本人が大勢いたのですから、ウクライナ人からしたら、当時の日本のトップは昭和天皇で、ナチス・ドイツのトップはヒトラーなんだから、同等に並べて当然と思ったのではないですか。あくまで私の推測ですが。
(個人的には、戦後も天皇であり続けた昭和天皇と、死んだヒトラーや断罪されたムッソリーニを同じように並べるのは大間違いだと思いました。ウクライナの人々よ、あの動画を鵜呑みにしないで・・・と言いたくなりました。が、日本のテレビでもおもしろおかしくベラルーシ大統領のことを紹介する番組を流すので、日本の人々よ、あの番組を鵜呑みにしないで・・・と思いました。)


 モスクワを訪問し、ロシア大統領と協議をした国連事務総長は、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所からの民間人が避難するために国連と赤十字が参加することにロシア大統領が原則的に同意したと発表しました。
 一刻も早くアゾフスタリ製鉄所で避難している民間人を助けてあげてください。これが迅速に実行されたらいいのですが。
 一方で、アゾフスタリ製鉄所で抗戦しているウクライナ兵は、トルコへ避難することを希望しています。黒海を横断してトルコへ・・・ということでしょう。陸路だと、ロシア領に連行されることを危惧しているようです。

 国連の事務総長は次はウクライナを訪問します。
 ウクライナ大統領は、ロシアより先にウクライナを訪問すべきと国連を批判していましたが、これでアゾフスタリ製鉄所の民間人が安全な場所に移動できたら、ちょっとは国連も見直されるし、事務総長がロシアに1日でも早く行ってよかったね、ウクライナを後回しにして正しかったね、と評価されるでしょう。
 

この記事についてブログを書く
« ベラルーシのコロナウイルス... | トップ | ベラルーシのコロナウイルス... »

ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報」カテゴリの最新記事