ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2023年3月11日。ウクライナ侵攻から381日目

2023-03-11 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年3月11日。
 東日本大震災から12年目ですね。今日は日本語教室の授業があったので、3月11日という日付が持つ意味を生徒に話しました。
 ベラルーシには地震も津波もないので、やはり実感が伴わないというのが本音ですが、逆に福島第一原発事故のほうがすぐに頭の中に浮かぶようで、今はあの原発はどうなっているんですか? という質問が出ました。福島第一原発で事故が起きたのは3月11日ではなく、12日ですよと念の為話すと、驚いているベラルーシ人が多かったです。

 
 ポーランドはベラルーシからの不法入国を防ぐため、国境沿いにフェンスを設置し続けているのですが、これについてベラルーシ外務省は、ヨーロッパバイソンの自由な移動が妨げられ、遺伝子プールが脅かされると主張しています。
 ポーランド外務省はベラルーシ側の主張を否定。環境保護問題を欧州への攻撃材料に利用していると指摘しています。
 ヨーロッパバイソンは1920年代までに激減し、ベラルーシ国内では最も個多数が減ったときが300頭。その後、繁殖が進められて、世界遺産のビャウォヴィエジャの森の昨年の生息数について、ベラルーシは約1万4000頭としています。
 国際自然保護連合(IUCN)は、もはや絶滅の脅威はないとしています。よかった。
 国境沿いには以前からフェンスが設けられていて、ヨーロッパバイソンの自由な移動はできなかったはずです。
 保護に関する姿勢も、ベラルーシ側は動物園などの飼育場所で餌付けもして繁殖を促し、絶滅危惧種からの脱却を目指していて、結局「人工的」に管理しています。
 逆にポーランドはできるだけ自然に任せるという方法で、野生に戻しています。ポーランドで森に放っているヨーロッパバイソンが、ベラルーシ領内に移動しないと絶対いけないものでもないし、そもそもそういう状態ではなかったはずです。
 バイソンのためにならない、というのは名目上で、本来の理由が別になるのでしょう。


 次は非常に残念なニュースです。
 モスクワの全ロシア国立外国文献図書館内で2009年から活動してきた日本の国際交流基金文化事業部が、退去することを決定しました。
 この図書館には、チロ基金がミンスクで翻訳・出版した新美南吉ロシア語訳童話集「ごんぎつね」も寄贈したのですが・・・。
 日本の書籍や日本語学習用の教材がある図書閲覧室の一般利用は今日をもって停止したそうです。ロシア最大の日本語書籍が集まっている貴重な場所だったのに。
 ただ、蔵書は今後も在ロシア日本大使館で閲覧できるよう準備を進めるそうで、ああ、よかったと思いましたが、蔵書数が16000点ですよ。
 これを全部、日本大使館内で収蔵、管理していくのは大変だと思います。

 文化事業部自体は維持し、日本語講座などの活動も継続する見通しだそうです。(今日は公式サイトで、借りている本を今月末までに返却するよう呼びかけています。)
 こちらも大変だと思います。こんな状況で、日本語能力試験をモスクワで実施してくれるのでしょうか? この試験の主催は国際交流基金ですよ。一応、モスクワでは実施する予定だと国際交流基金のサイトには掲載されています。しかし、今日、私が生徒に聞いた情報では、サンクトペテルブルグの日本語能力試験実施は、公式サイトでは予定されている、と表示されているものの、現地の実行委員会は中止をすでに決めており、近日中に公表する予定で、現地で日本語を勉強しているロシア人は周知の事実なのだそうです。

 ちなみに今年のミンスクでの試験実施は、中止どころか、予定すら立てられていませんでした。そのため、弊教室の生徒のうち、5人ほどがモスクワへ越境受験しようと、列車のチケットの値段を調べたりしていたのですが、モスクワの試験実行委員会の公式サイトは、1月は閲覧できて「受験申し込みの詳細は3月に公開します」と表示されていたのに、先月突然このサイトは全く閲覧できなくなってしまいました。
 もう3月の3分の1が過ぎたのに、モスクワ会場の申込の詳細が公表されていません。
 今日も授業では生徒の間であきらめモードになってしまいました。
 まあ、日本人の中には、「侵攻されているウクライナの日本語学習者のほうがよっぽど大変な状況なのに、ロシア人やベラルーシ人には受験機会を与えるのはどうよ? 平和になるまで受験しなくていいでしょ。」と思う人もいるでしょう。
 本当に全て戦争のせいです。前述のモスクワの図書館からの撤退も、サイトで理由ははっきり示されていませんが、結局戦争の影響でしょう。

 ちなみにベラルーシ国内では日本の国際交流基金は図書館事業などはそもそも行っていません。
 勘違いする日本人が出てくるかもしれませんので、念の為に書いておきます。日本文化情報センターは1999年にミンスク市立児童図書館内に開設されましたが、日本の国際交流基金が実施している事業ではなく、ミンスク市立児童図書館(ミンスク市役所さらにその上にはベラルーシ文化省)が管理している一施設です。活動にかかる経費は市役所の予算、そしてチロ基金からの寄付で成り立っています。
 モスクワになる外国語図書館での事業を国際交流基金が縮小する方針ですが、ベラルーシのミンスク市立児童図書館の日本文化情報センターとは全く無関係です。
 とにかく私としては、弊センターの活動(主に、人が通学している日本語教室の授業)を自分なりに続ける他ありません。

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