ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

日本文化情報センターの活動 講演会「東日本大震災から2年・私が見た福島」 2

2013-03-11 | 日本文化情報センター
 平日の午後5時に講演会が始まる、ということ、また楽しいテーマでもないということで、入場無料とはいえあまり人が来ないのではないかと心配していたのですが、実際には予想以上の人が会場となった閲覧室を訪れました。
 しかしほとんどが女性・・・。男性は関心が薄いのかな? と感じました。でも意外と若い世代の人が多く来てくれたので驚きました。ちなみに画像には来てくれた全員が写っているわけではありません。

 あくまで講演会という形を取り、あえて追悼式にはしていません。どういう会にしようか、悩んでいたのですが、黙祷をするのは個人の希望によるものであって、日本人でもない外国人に強制するべきでないと考え、あくまで情報を伝える場にすることにしました。
  
 地震や津波については、DVDの映像がありましたので、それも上映しました。
 一方で目に見えない放射能汚染の問題については、来日中にいただいた汚染地図を使って説明しました。ベラルーシ人には日本語の地名は分かりづらいのですが、何とか言いたいことが伝わってほしいと思いました。
 スクリーンに投影した写真ですが、私が現地で撮影したもののほか、写真家のトム・宮川・コールトンさんが提供してくれたものも使いました。トムさん、ありがとうございます!(プロが写した写真はやっぱりきれいで鮮明ですね。)

 講演の間は会場は静まり返って聞いていました。
 質疑応答では「状況がによく分かりました。質問はありません。」という人や「チェルノブイリの事故のときのことを思い出した。」「印象深い講演でした。」という感想をいただきました。
 「知らなかったことをたくさん聞いた。」という学生さんや「ベラルーシと日本の学者がもっと密に協力し合って、被曝問題にともに取り組むべきではないか。」という意見を述べる人もいました。

 会場に来てくださった方々には記念品、というほどのものではないですが、折り紙でつくったふくろう(ミミズクのほうが正しいかも。)と鶴を寄贈しました。
 折鶴は私が作ったものですが、折り紙のふくろうは日本人の方が作って寄贈してくれたものです。
 ふくろうは知識のシンボル、鶴は長寿のシンボルなので、「知恵を持って被曝を防ぎ、健康を手に入れましょう!」というメッセージを込めました。来場してくださった方だけではなく、日本人へのメッセージでもあります。

 この講演は19日にも同会場で他のベラルーシ人(ミンスクの児童図書館関連)対象に再び行う予定です。
 また21日はSOS子ども村でそこで働く職員さんを対象に講演を行います。
 他にも希望があれば、各地で3月11日に話したことを伝えていきたいと思っています。

 最後になりましたがDVDや放射能汚染地図など、さまざまな資料を提供してくださった日本の方々にお礼申し上げます。 
 

日本文化情報センターの活動 講演会「東日本大震災から2年・私が見た福島」 1

2013-03-11 | 日本文化情報センター
 東日本大震災発生から2年となった2013年3月11日、日本文化情報センターの活動として、講演会「私が見た福島」を行いました。
 2011年と2012年の10月に日本を訪れることができました。そのとき私が出会った人々から聞いた情報や、撮影した写真、いただいた地図などを使い、集まってくれたベラルーシの人たちに、自分なりに伝えたいことをお話しました。

 画像はセンター内に開設した展示コーナーです。震災や福島第一原発事故関連の書籍、雑誌などを展示しました。

2013年3月11日

2013-03-11 | 放射能関連情報
 東日本大震災発生から2年になりました。
 もう2年・・・という気持ちとまだ2年という気持ち、これから日本はどうなるのだろうという気持ちが混ざったまま、また3月11日を迎えました。
 来年の3月11日、5年後の3月11日、10年後の3月11日の日本は・・・いや、日本人はどうしているでしょうか。

 ベラルーシでは日本の震災や福島第一原発事故のニュースなども減り、関心を持っているベラルーシ人もいるのですが、現状はどうなっているのか、知らない、という人が多くなっています。
 日本文化情報センターは2年目に当たる3月11日、講演会を行いました。詳しくは改めてご報告しますが、私が話したことは、やはり地震や津波の被害は日本人先祖代々、経験していることであって、必ず復興することができると思っていますが、日本を多い尽くすかのような放射能汚染は経験がないので、どうしたらいいのか分からないというのが実情。しかし念のためということを考えて、対策を打っておいたほうがいいので、そのためにはチェルノブイリの経験も必要、ということです。
 
 実際最近の日本のニュースを聞いていて、対策をちゃんとしておかないといけない、と思います。  

 福島県の県民健康管理調査の検討委員会では2013年2月に18歳以下(震災当時)の2人が新たに甲状腺がんと確定したと報告されたそうですね。
 2012年9月に判明の1人と合わせ、これで3人となったことになります。さらに7人に腫瘍の疑いありということです。

 子どもに甲状腺がんができる可能性は、通常では「100万人に1人」だというのが通説です。しかし4万人検査してすでに3人が発症した、という結果は通常ではない事態だということです。

 しかし検討委の鈴木真一・福島県立医大教授は
「チェルノブイリでは事故から4~5年たってから甲状腺がんが発生しているので、総合的に判断すると被曝の影響は考えにくい」
と述べています。だから、この3人の患者さんは、事故が起きる前にすでに発症しており、それが今回の検査で偶然見つかった。だからカウントされた、ということになります。

 確かに、ベラルーシやウクライナではチェルノブイリ事故後4~5年たってかた子どもの甲状腺がんが急増しています。
 厳密に言うと、鈴木教授が言っているような「発生」ではなく「急増」です。
 事故1年目でも「発生」はすでにありました。
 
 ベラルーシ人にこの話をすると
「今の日本の高い医療技術や検査方法をタイムマシンに乗せて、1987年頃のベラルーシに持って行って、子どもを検査したら、とても多くの子どもの甲状腺に異常が見つかったに決まっている。当時のベラルーシには精密な検査ができる技術がなかったから、異常が起きていても気づかなかっただけ。気づかないから数としてカウントされてないだけで、実際には事故発生直後から異常はあったはず。」
と言う答えが返ってきます。

 たまたまカウントされたものがデータになり、記録になり、グラフになって「チェルノブイリのときはこうでした。」ということになっています。
 実際にはグラフの空白部分にも意味が隠されていることもあるのです。
 ベラルーシから日本に向けて、情報発信している私のような人間がこう言うのもなんですが、「チェルノブイリのときはこうだったから」福島の事例にそっくりそのまま当てはまるとは限りません。参考にならないことや、逆に参考にしてはいけないこともあるのです。

 放射能が人体に与える影響の詳細など、科学的に解明されているのはまだわずかです。
 人類の長い歴史の中で見ると、研究はごく最近始まったばかりです。
 何が起きるか分からない・・・だから「何もしない」「ただ不安がる」・・・のではなく、知恵を使って前もって対策をとっておくようにしてください。