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ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

新美南吉ベラルーシ語訳童話集をプルジャヌィ地区の図書館に寄贈

2018-09-02 |   新美南吉
 茶の湯の紹介をするためにわざわざプルジャヌィに行って来たので、新美南吉ベラルーシ語訳童話集「手袋を買いに」を30冊寄贈してきました。
 プルジャヌィ市には図書館が3ヵ所にありますが、その周辺にも図書館が点在しています。
 中央図書館のご協力のおかげで、合計29箇所の図書館に1冊ずつ、本訳書を寄贈することになりました。
 (1冊は中央図書館の予備です。)
 また後ほど寄贈先の図書館についてはご報告します。

 画像の中でいっしょに写っている絵本「おりづるの旅」についてはこちらです。

 また図書館に折り紙で作った花瓶とお花、日本について紹介する雑誌なども寄贈しました。

新美南吉ベラルーシ語訳童話集「手袋を買いに」が出版されました

2018-08-25 |   新美南吉
 ご報告が大変遅くなってしまいました。
 この度ようやく新美南吉ベラルーシ語童話集「手袋を買いに」が完成しました。

 今年は新美南吉生誕から数えて105年目。
 生誕100年を記念して始まった翻訳と出版の作業でした。
 前回のロシア語訳版童話集「ごん狐」より、上手にできたと思います。(自画自賛)
 二回目の出版で少し作業に慣れてきましたね。
 
 出版に当たり、多くの日本人、そしてベラルーシ人の方々からのご支援をいただきました。
またベラルーシ語訳童話集出版にかかった費用のうち、一部にロシア語訳童話集の日本国内向け販売分の売り上げを使いました。

 感謝の気持ちでいっぱいです。
 また支援者の皆様とのお約束が果たせてほっとしております。

 出版部数は300部で、これから少しずつベラルーシ各地の図書館に寄贈していく予定です。
 寄贈先図書館についてはまた後ほどご報告いたします。

 収録作品についてですが、ロシア語訳童話集と全く同じではありません。

 童話としては16作品が収録されています。(収録順)
「手袋を買いに」
「ごん狐」
「去年の木」
「たけのこ」
「でんでんむしのかなしみ」
「かんざし」
「赤いろうそく」
「一年生たちとひよめ」
「小さい太郎の悲しみ」
「二ひきの蛙」
「かげ」
「飴だま」
「おじいさんのランプ」
「狐」
「牛をつないだ椿の木」
「疣」

 新美南吉が発表した論文として「童話における物語性の喪失」

 それから俳句一句と日記の抜粋も収録されています。
 俳句は新美南吉が小学校の卒業式のときに詠んだ一句。
「たんぽぽの いく日 ふまれてけふの花」

 日記は1942年7月10日に書かれたものからの抜粋です。
「よのつねの喜びかなしみのかなたに、ひとしれぬ美しいもののあるを知っているかなしみ。そのかなしみを生涯うたいつづけた。」
 
 収録作品に「かげ」と「疣」の2作品を新たに追加できたこと、そして、新美南吉の童話に対する考え方がよく表れている貴重な論文をベラルーシ語に翻訳できてよかったです。 
 「かげ」を追加することにしたのは、新美南吉記念館が行った「好きな新美南吉作品アンケート」で日本人の子どもの間で人気がある作品で、前回ロシア語に翻訳しなかった作品だったからです。
 「疣」を追加したのは、出版費用の多くを支援してくださったA様のお気に入りの作品だとうかがったので、ベラルーシ語に訳すことにしました。
 
 新美南吉の論文「童話にあける物語性の喪失」の内容は子どもには難しいと思いますが、本書を蔵書にするベラルーシの図書館で働く司書にとっては、非常に貴重なものだと判断したので翻訳することにしました。

 日本語からベラルーシ語に翻訳したのは、私の娘のY子です。ベラルーシ語がすらすらできるのっていいですね。私は日本語からベラルーシ語への翻訳はできません。

 また新美南吉の文学世界がベラルーシで広く紹介できる機会ができました。
 関係者の皆様には厚くお礼申し上げます。

(画像は表紙と裏表紙です。)

世界で一冊の手作り本コンテストで優勝した新美南吉童話集 3

2018-05-16 |   新美南吉
 この画像は「去年の木」の挿絵です。
 シシロさんは「広重の浮世絵を参考にした。」と話していましたが、やはりベラルーシ人の中にある日本の美しいイメージが表現されているように感じます。

 世界で1冊しかない手作り絵本なので、多くの読者に読んでもらえる本ではありませんが、一人のベラルーシ人の心が新美南吉の文学によって動かされ、こんな作品が生まれたこと、とてもうれしく思います。
 新美南吉童話をロシア語に翻訳して本当によかったです。

世界で一冊の手作り本コンテストで優勝した新美南吉童話集 2

2018-05-16 |   新美南吉
 せっかくなので世界で1冊しかない手作り本、新美南吉童話集「かんざし」の中身もご覧ください。
 このページには新美南吉の紹介がロシア語で書かれています。
 一文字一文字が手書きです。
 一回失敗すると最初から全て書き直ししなくてはいけません。
 シシロさんは、全く失敗しなかったそうですが・・・。私にはまねできないです。

世界で一冊の手作り本コンテストで優勝した新美南吉童話集 1

2018-05-16 |   新美南吉
 5月16日ベラルーシの地方都市ビテプスクへ出張に行ってきました。
 いくつか用事をこなさないといけなかったのですが、そのうちの一つが「世界で一冊の手作り本コンテストで優勝した新美南吉童話集が見たい。」でした。

 昨年ベラルーシは、ベラルーシ語の聖書が初めて印刷されてちょうど500年ということで、各地でさまざまなイベントが開催されていたのですが、その一つ「世界で一冊の手作りの本コンテスト」がビテプスクで開かれました。

 優勝したのはビテプスク市立図書館勤務のデザイナー、オリガ・シシロさんです。
 シシロさんが題材に選んだのが新美南吉の童話集だったのです。ビテプスクには16の市立図書館があるのですが、その中で使われるお知らせのポスター、コーナーのインテリアなどをコーディネートする担当者です。
 だから器用なんですね。
 チロ基金は2016年にビテプスクの図書館に新美南吉ロシア語訳童話集「ごん狐」を寄贈しましたが、シシロさんは司書から勧められてそれを読んだところ、大変感動したそうです。

 昨年手作りの本コンテストの募集が始まったとき、シシロさんは「でんでんむしのかなしみ」「去年の木」「カンザシ」の三話を選んで、自ら挿絵を描き、文章も全て手書きで、製本ももちろん全て一人で作って、応募したそうです。

 全部で10ページですが絵も文章も手書きの一点ものなので、大量生産された本とは全くちがって、美術作品に見えます。

 この作品は一点ものなので、ミンスクに住んでいる私はこれまで目にする機会がなかったのですが、今回ビテプスク市立中央図書館で保管されているのをようやく見ることができました。感激です。

 シシロさんにもお話をうかがいましたが、この3作品を選んだのは、 手書きの本のため、短い話の中から好きなものを選んだそうです。この中でも特に「でんでんむしのかなしみ」が好きな話だそうで、
「この話を読んだとき感動しました。今までの自分の人生を振り返るきっかけとなった作品です。」
とシシロさんは私に話してくれました。

 画像は自分の作品を手にしたシシロさんです。

 

本の紹介「新美南吉と花木たち」

2018-03-20 |   新美南吉
 新美南吉研究に関する本のご紹介です。

新美南吉と花木たち風媒社刊行
著者: 編著者: 安城南吉倶楽部

 新美南吉がロシアをテーマにした詩を書いていたことがきっかけで、ほんの少しだけですが、この本の執筆者のお一人のお手伝いができました。

 新美南吉はロシア文学が好きで、よく読んでいたことが日記に書かれているのですが、ロシアをモチーフにした詩も書いてるのです。
 それは「苔人形」という詩なのですが、青空文庫で読めますので、興味のある方はこちらをどうぞ

 そしてこの作品の中に出てくる「白樺」について、「新美南吉と花木たち」の中で詳しく取り上げられています。
 この「白樺」の項の担当執筆者の方から、この苔人形とは何なのでしょうか? というご質問を受けたのです。

 現代ベラルーシで作られている現代版苔人形(伝統的な苔人形が進化したもので、さらにベラルーシ風アレンジが加わっているもの)についてはこちらをご覧ください。
(名称も苔人形ではなくなっています。)

 私が知っていることは執筆者様にお答えしましたが、そのうちの一部が本書「白樺」の項で紹介されたので、ご案内いたします。
 (私のことを「南吉研究家・在ベラルーシ」と紹介されていて、びっくりです。本書の編著者である安城南吉倶楽部のメンバーの方々と比べると、私など足元にも及びません。)

 しかし、ベラルーシからの情報提供が新美南吉作品の理解を深める一助になってうれしいです。

 本書は新美南吉の作品(手紙なども含む)に登場する植物を網羅していて、「花が好きだった。」植物の名前に詳しかった」という新美南吉が作品の中で、どれほど効果的に植物を登場させて描写したかが大変よく分かる研究書です。

 巻末の「新美南吉の作品に登場する植物一覧」は実に詳細です。例えば、バラ一つとっても「薔薇」「ばら」「バラ」と表記の仕方によって、細かく分類されています。

 それにしても本書を読むと、まだまだ読んだことのない新美南吉作品がたくさんあるんだなあと感じました。
 今までに読んだことのある作品も植物に着目して改めて読み返したいとも思いました。
 
 
 

スベトラゴルスク中央児童図書館で新美南吉の紹介イベント(4)追加情報あります

2017-12-22 |   新美南吉
 スベトラゴルスクの子どもたちが演じてくれた「二匹の蛙」の一コマです。
 緑のかえると黄色のかえるはすぐに分かりますが、右端の子どもはナレーターで、水色のドレスの子どもは「季節の妖精」だそうです。雪を降らしてくれます。(他にも『池』の係の子どもが2人いますがここには映っていません。)
 一生懸命努力した跡が見られました。ありがとう、みんな!
 
 これからも日本のお話を読んでください。スベトラゴルスク中央児童図書館に行けば、日本のことは何でも分かりますよ。(^^)
 今後もスベトラゴルスクの図書館とは協力関係を続けていきたいと改めて思いました。

 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 追加情報です。
 新美南吉記念館のごん吉くんフェイスブックで、今回のイベントのようすが紹介されました。
 リンク先はこちらです。
 こちらのほうが画像の画質がいいです。(^^)
 ごん吉くんからはほめられるし、ベラルーシの子どももうれしいですよ。
 
 

 
 

スベトラゴルスク中央児童図書館で新美南吉の紹介イベント(3)

2017-12-22 |   新美南吉
 画像は記念撮影した様子です。首からメダル(ちゃんとごん狐のイラストが印刷されています。)をぶら下げているのは、絵のコンクールで1位から3位に入った子どもたちです。
 他にも「二匹の蛙」の劇に出た子どもたちが写っていますね。


新美南吉ロシア語訳童話集「ごんぎつね」を出版、そしてスベトラゴルスクの図書館に寄贈して本当によかったです。

 この図書館には新しく日本に関する書籍、展示品など寄贈しました。
 「おりづるの旅」ロシア語版も寄贈しましたが、きっと活用してくれるでしょう。
 

スベトラゴルスク中央児童図書館で新美南吉の紹介イベント(2)

2017-12-22 |   新美南吉
 この画像が「ごんぎつね」と「二匹の蛙」を読んで子どもたちが描いた感想文代わりの絵です。
 コンクール形式で、「ごんぎつね」部門と「二匹の蛙」部門で、それぞれ1位から3位までを決定。審査員はスベトラゴルスク中央児童図書館の館員さんたち。
 見ていて本当に楽しくなってくる作品ばかりでした。
 お願いして順位に関係なく、私の独断で数枚選び、イベント終了後持って帰りました。
 これも新美南吉記念館に寄贈する予定です。

スベトラゴルスク中央児童図書館で新美南吉の紹介イベント(1)

2017-12-22 |   新美南吉
 スベトラゴルスク中央児童図書館内の日本コーナー開設10周年記念と同じく、日本の児童文学作家、新美南吉の紹介も行われました。
 ふつう日本人である私が、「新美南吉とはどんな作家なのか。どんな作品を書いたのか。ベラルーシのみんなも読んでね。」と紹介する立場にあるのに、私は何もしませんでした。
 図書館員さんがちゃんと全てしてくれました。

 新美南吉を紹介するスライド、前もって小学生に読んでもらって感想を絵に描いてもらい、コンテストまでして、今日はその結果発表そして賞品の授与。私は賞品を渡す役。さらには「二匹の蛙」を子どもたちが劇にまでしてくれました。(ビデオに撮ったので、新美南吉記念館に送ります。)

 ありがとう、図書館員さん! ありがとう、スベトラゴルスクの子どもたち! ありがとう、小学校の先生!(感涙)
 本当に感動しました。
 
 

キルギス日本人材開発センターのライブラリーニュースで「ごんぎつね」が紹介されました

2016-12-28 |   新美南吉
 新美南吉ロシア語訳童話集「ごんぎつね」を先日キルギス日本人材開発センターに寄贈したのですが、ライブラリーニュース83号(2016年12月21日)で、紹介されました。
 こちらをクリックしてみてください。

 キルギスと言えば、ベラルーシには全くない高い山々がそびえているイメージですが、そんなところにも「ごんぎつね」をお渡しすることができて、本当によかったです。

 キルギス人材開発センターは国際協力機構(JICA)がキルギス国立総合大学をパートナーとして実施する技術協力プロジェクトとして運営する一方で、公益法人も設立しております・・・とご説明でした。
 立派な図書室もあるうえに、大学をパートナーとして国際協力機構が・・・と聞くと、成人のビジネスマンや技術職の人を対象としたセンターに思え、日本の童話を寄贈してもいいのかどうか心配でしたが、ジュニア世代にもセンターの門戸を開いているそうで、児童文学の寄贈も大変喜ばれました。
 寄贈して本当によかったです。
 またこのように日本の児童文学を紹介する貴重な場所がキルギスにあること自体が喜ばしいです。
 
 キルギスの子どもたちが、新美南吉の童話を読んでどんな感想を持つのでしょうか。日本人やベラルーシ人とはまたちがった新鮮な視点で読んでもらえるかもしれません。

 

 
 

ごん吉くんフェイスブックで紹介されました「世界に広がる新美南吉文学」

2016-12-06 |   新美南吉
 ベラルーシで新美南吉ロシア語訳童話集「ごんぎつね」を広める取り組みを続けています。
 それがごん吉くんフェイスブックで紹介されました。

★世界に広がる南吉文学★

 ごん吉くんにほめられてうれしいです! 
 南吉さんの童話がもっと世界に広まってほしいと思うと同時に、やはりこの作品の持つ力に寄るところが大きいとも感じています。

 15歳のとき日記に南吉さんは、アンデルセンのような有名な童話作家になる! と書いていたそうですが、だんだん実現に近づいてきたような気がしますね。
 (今こんなセリフを日本人中学生が言ったら、「ちゅうに病」とか「ルフィーの物真似?」とか笑われるだけかもしれないけど。いやいや、笑ってはいけないですよ。)

プルジャヌィ児童図書館で「ごんぎつね」が紹介されました

2016-12-02 |   新美南吉
 先日新美南吉ロシア語童話集「ごんぎつね」を寄贈したプルジャヌィ児童図書館から、地元の子どもたちに南吉童話について紹介してほしいと依頼されました。
 正直言って寄贈するまで「プルジャンヌィってどこにあるの? ルジャンヌィなら知っているんだけど。」という低レベルの知識だった私ですが、電車を乗り継ぎ行ってきました。

 プルジャンヌィはブレスト州にあり、意外と歴史のある町でした。1487年には街として機能しており、16世紀にはイタリアの王族の血を引き、ポーランド国王と結婚したボナ・スフォルツァの統治下にありました。
 その娘アンナはポーランド・リトアニア共和国の女王になりますが、プルジャヌィの町の紋章として、母方の実家であるスホルツァ家の紋章に少し手を加えたものを与えました。
 要するに今はベラルーシにある町、プルジャヌィですが、中世にはイタリア貴族の流れを汲む紋章をもらっていたということです。

 これがその紋章なのですが、最初見たとき「どうしてこういうデザインなの?」と思う紋章ナンバーワンです。(私の中で。)
 イタリア王族、そしてポーランド・リトアニア共和国の女王ゆかりの紋章なので、蛇の頭の上に王冠が載ってるのは理解できるのですが、この飲み込まれている人は・・・「赤ちゃん」だそうです。

 難しすぎる、スフォルツァ家の人々・・・。
 
 気になったのでごんぎつねそっちのけで、今調べたのですが、もともとこの蛇の紋章はイタリアのヴィスコンティ家の紋章に使われており、親戚の関係であるスフォルツァ家も少々デザインを変えて使うようになりました。
(日本でも分家が本家の家紋の陰紋を使うことがあったのと同じような感覚ですね。)

 このヴィスコンティ家の紋章に描かれているのは大蛇あるいは竜だそうですが、は、昔ヴィスコンティ家の人が竜に襲われそうになっている子供を助けたという話に由来しているという説があるそうです。
 やっぱり子どもなんですね。そして助かっていたんだ。よかった。

 もう一つの説は、また飲み込まれているのは子どもではなく回教徒であるサセラン人で、竜はヴィスコンティ家の祖先の化身であるとする言い伝えもあるそうです。
 先祖が異教徒を食べちゃっている図、ですね・・・。
 
 さらにはこの大蛇は旧約聖書に出てくるレヴィアタンと同じ、という説もあります。
 (私の頭の中ではレヴィアタンは、水木しげる先生が描いていたワニみたいな妖怪・・・。)

 話をごんぎつねに戻します。
 プルジャヌィには3つの図書館があり、そのうちの児童図書館の司書さんの依頼により、3年生と6年生の40人ほどの小学生に新美南吉の紹介、「ごんぎつね」のロシア語訳の朗読、それからきつねの折り紙を作りました。
 その前には館長さん自ら日本についての説明をしてくれました。
 よく分かったのはベラルーシ人の子どもはみんな日本のアニメが好きだということ、でも地震や津波は怖いと思っていることでした。

 すでに本を寄贈していたので、「ごんぎつね」を読んでいた人もいましたが、今回初めて朗読を聞く子どもが多く、兵十が火縄銃を出したあたりから、みんなすっかり静まり返ってしまっていました。
 多くの子どもが「ごんが死んじゃってかわいそう。」と話していましたが、担任の先生は、この話が日本の小学校4年生の国語の教科書に載っているという話を聞いて、
「10歳の子どもにこの話の内容は難しすぎる。」
と言っていました。
 言い換えれば、日本の小学生4年生のレベルは高い、と褒めています。

 ごんが死んでしまってしょんぼり、でしたが、折り紙できつねを作ったら、みんなにこにこしていました。
 3年生は早めに帰ったのですが、6年生の女の子たちにきつねの折り紙に名前を日本語で書いてあげたら、大喜びで日本語を勉強して日本に行きたい!と大騒ぎでした。

 会場にはちゃんと南吉さんの写真も飾られていました。
 日本の方が作ってくれた立体折り紙のふくろう、ロシア語で書かれた日本を紹介する雑誌などもこの図書館に寄贈しました。折り紙のふくろうを作ってくださった方に感謝しております。またベラルーシの図書館に羽ばたいていきました。
 
 今回の朗読会ですがプルジャヌィの皆さんに喜んでもらえてたようでよかったです。
 南吉さんの生家の生業である下駄や畳(と言っても本物ではなく、ランチョンマット)も見せながら説明しましたが、下駄イコール木の靴、と思ったらしく、みんなびっくりしていました。叩いて硬さをチェックする人もいました。

 司書さんたちと話し合って、プルジャヌィ周辺の図書館にも「ごんぎつね」を寄贈することになりました。
 
 意外と大都市より、地方都市のほうがベラルーシ人は外国文化に対して心を開いている場合が多いですよ。

 この図書館で「ごんぎつね」を初め、他の南吉童話にも地元の子どもたちが触れてほしい、いや、そうなるだろうと思いました。
  

ビテプスク市立第9番図書館で新美南吉の童話が紹介されました

2016-11-30 |   新美南吉
 新美南吉ロシア語訳童話集「ごんぎつね」を寄贈したビテプスク市立第9番図書館で11月25日、新美南吉童話が紹介されました。
 こちらがその図書館のHPです。ぜひご覧ください。
 記事はロシア語ですが画像が見られます。

 私は出席しておらず、図書館司書さんたちと学校の先生が中心になって企画したそうです。
 「でんでんむしのかなしみ」「あめ玉」「ごんぎつね」が朗読され、子どもたちが「二ひきのかえる」の劇を披露しました。かえるのお面が楽しいですね。
 さらに手袋の形をした紙にそれぞれ感想を書いたそうです。

 この記事を書いた司書さんは
「新美南吉の作品は一見すると、短いお話のように思えるが、読んでみると奥が深いことが分かる哲学的な文章。」
と感想を述べています。
 さらにロシア語訳の最後のほうに新美南吉が1942年7月10日書いた日記からの抜粋をロシア語に訳して掲載したのですが、それを司書さんはそのまま引用していました。

 抜粋というのはここの部分です。
「よのつねの喜びかなしみのかなたに、ひとしれぬ美しいもののあるを知っているかなしみ。そのかなしみを生涯うたいつづけた。」

 この本を翻訳作業中、作品だけではなく、南吉童話そのものの特徴を簡潔に表現したものはないかと探していました。
 結局ご本人の言葉を日記から見つけてロシア語に訳した(ちなみにこれを翻訳したのは私です。)のですが、それが司書さんの心に響いたようでうれしいです。

 ベラルーシに少しずつ南吉童話の世界が広がっていくようで、本当によかったです。
 子どもたちも楽しいひと時を図書館で過ごせたのでは、と思っています。

「ごんぎつね」を図書館に寄贈するプロジェクトについて紹介されました

2016-10-31 |   新美南吉
 ベラルーシ図書館界の専門雑誌「ビブリヤテカ・プラパヌエ」2016年第4号で、新美南吉ロシア語訳童話集「ごんぎつね」をベラルーシの図書館にチロ基金が寄贈するプロジェクトについて紹介されました。
 
 その結果はこちら