自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

ガガイモ

2020年08月21日 | 標本
ガガイモのスケッチをしました。葉脈の色が薄いと、油絵なら薄い色を上書きすればいいわけですが、水彩の場合、「濃い色を塗り残す」ことに習うので、表現がむずかしいです
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シカと海

2020年08月20日 | 標本


金華山は基本的には林に覆われていますが、風などで木が倒れると、後継ぎの木がシカに食べられてしまうので、林にならず、ススキ原や低木のヤブになり、そこでシカが増えると草原のままで、さらに高密度になるとシバ群落になります。背後に海があるのも島独特のことでいい景色です。
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シカの群れ

2020年08月19日 | 標本


シカは開けた場所に出ると、心理的に不安になり、お互いが集まって群れを作ります。
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金華山のシカ

2020年08月18日 | 標本
久しぶりに宮城県の金華山に行ってきました。学生時代からずっと調査地にしてきたところで、慣れた場所ではありますが、猛暑で大変でした。こんなに暑い金華山は記憶がありません。


この島のシカは狩猟対象でないので、のんびりしています。
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論文10 受理 高山帯のシカ3

2020年08月17日 | 標本
この反応に対して、7月6日に戻ってきた査読結果は次のようなものでした。

Thank you for your patience in the time it has taken to move through these revisions. Including one more round - which should adequately address the subject editor's remaining issue with the qualitative values that was also a major concern of the other reviewer.
(これまでの修正に要した間の忍耐、ありがとうございました。課題編集者が気にしている残りの質的価値のある点 - それはもう一人の査読者の主な関心事でもあります- に適切に対応するもう1ラウンドをお願いします

微細な修正を求められはしましたが、大筋で了解してもらえました。こうなれば、マラソンで言えば最後の競技場が見えたということです。そして7月13日についに以下の
連絡がありました。

It is a pleasure to accept your manuscript entitled "Diets of sika deer invading Mt. Yatsugatake and the Japanese South Alps in the alpine zone of central Japan" in its current form for publication in Wildlife Biology.
(貴殿の「日本中部の八ヶ岳と南アルプスの高山帯に侵入しつつあるニホンジカの食性」と題する原稿を現在の形でワイルドライフ・バイオロジーに喜んで受理します)

 フクロウ論文の時のように、良いものにするために色々アドバイスをくれるというのではありませんでしたが、査読者としては自分のアドバイスに対して素直に従わずに、自分たちの主張を曲げなかったのですから、日本の査読者であれば、意地悪く却下する可能性は大いにあったわけです。そういうことに慣れてしまうと、査読者に無意味に従順になる、あるいは媚びたような態度をとることになりかねません。私は残念ながら、日本の査読者にそういう意地悪な姿勢があると断言できます。だからできれば海外の雑誌に投稿する傾向があります。若い研究者が投稿して、意地悪な査読をされれば、査読とはそういうものだと思うようになることは無理のないことで、それは本当によくないことで、心配です。
 翻ってスポーツのレフェリーのことを考えると、レフェリーは絶対的な存在です。それだけに、レフェリーは誤審がないように厳しい訓練をするし、ラグビーやサッカーのレフェリーは現役の選手に引けを取らないくらい走ります。しかし私は日本の論文査読者が査読する精神や技術の訓練を受けたという話を聞いたことがありません。大学院生くらいの時に論文を書き始め、意地悪い査読を受けた人は、研究者になって査読をするようになった時、自分がされたと同じような「査読」をするようになるというのはありそうなことです。そういう悪い循環は断ち切らないといけません。
 高山のシカの論文では、ちょっと危険と思いながらも筋を通し、それが理解されました。それは科学をする者として爽やかな体験でした。

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論文10 受理 高山帯のシカ2

2020年08月16日 | 標本
少し時間がかかりましたが、戻ってきた査読結果は比較的好意的でした。結果は面白く、この論文は価値があるが、以下の点が問題だから修正してほしいということでした。そうなるとモリモリと闘志が湧いてきます。
 しかしその内容を読むとちょっと困るようなことでした。この査読者はシカの食性はシカが選択的に植物を選ぶかどうかというところに関心があるようでした。そして文献で良いから植物量を示せというのです。欧米の国立公園ならそういうデータがあるのでしょうか。このコメントにまともに答えることはできませんが、そうなると却下ということになるかもしれません。あれこれ検討しましたが、ないものはありません。そこで次のように対応することにしました。
 まず糞採集地の景観写真を提示して、植物の定量的データはないが、このようにササが豊富に生えている場所やイネ科が広がる場所などの明らかな違いがあることをアピールしました。その上で、植物の定量的データはないが、もともとこの論文はシカの選択性を解明しようとしたものではない。これまでいなかった高山帯にまでシカが入り込み、その食性はこれまで知られていないから、まず事実としてこれを解明することは意義がある。選択性については次の段階で調べる必要があるが、今はそれはない。この論文の位置付けをそのようにしたということを伝えました。
 論理的な考えかたをしてくれる人であれば、これは理解されるはずだと考えたのです。



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論文10 受理 高山帯のシカ1

2020年08月15日 | 標本
論文執筆のことを書いてきました。なかなかすんなりとはいかないのですが、それだけに受理されたときは嬉しいものです。
 最近の話題で言えば、中部地方のシカの食性の論文があります。現役時代に研究室に登山好きのK君が入ってきました。最近、シカが高山帯にまで拡大しました。そこで、八ヶ岳と南アルプスに登ってシカの糞を集めてもらいました。それぞれの山で山地帯、亜高山帯、高山帯の3カ所で拾いました。それでわかったのは、山地帯では南アルプスではササが多かったのですが、八ヶ岳では双子葉植物が多く、大きな違いがありました。しかし亜高山帯ではどちらでもイネ科が増え、高山帯ではどちらもほぼイネ科だけになるという垂直変異を示しました。これは山地帯では山の地形や人間による利用の歴史も違うので、林の状態がにているが、影響の少ない高山帯ではどちらでも自然草地が広がるので納得がいきます。もう一つの重要な成果は糞の栄養分析をおこなったところ、意外にも高いところほどタンパク質含有率が高かったのです。ちょっとおかしいと思ったのですが、結果はそう出ました。そこで改めて文献を調べてみると、北アメリカでこれとまったく同じ結果がでていて驚きました。つまり、高山帯では量はともかく質的には良い食物があるということです。そうであれば、夏になってシカが山を登ることも理解できます。こういう強いデータがあったので、ノルウエーのWildlife Biology(野生動物生物学)という雑誌に投稿しました。


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論文 9 査読精神 フクロウ論文2

2020年08月14日 | 標本
しかしこの査読者を相手にしても目はないと判断し、この内容が日本の査読者がいうように却下されるような内容なのかどうか、知りたいと思い国際誌に投稿することにしました。そして「国際猛禽類学雑誌」という雑誌に投稿しました。査読結果は比較的早く戻ってきました。その内容はこうでした。「牧場の距離とハタネズミ率の関係は実に美しい」そして次のようなコメントが添えられていました。「内容は問題ないが、日本のフクロウの食性はこれまで日本語で書かれたものが多いようなので、この際、あなたが日本語で書かれたものを通覧して日本のフクロウの食性について全貌を紹介してほしい」とあり、それに続けて「日本では手に入りにくい、こういう報告もあるから参考にしてください」として東欧の博物館の報告なども送ってくれたのでした。
 なんという違いでしょうか。片や、本質的な内容には触れず、枝葉末節の揚げ足をとって否定することを「査読」と思い違いしている。片や、内容が良いと判断したら、良い論文にするために協力を惜しまない。
 この違いはサイエンスに対する基本姿勢に関係すると思います。なぜ日本の査読者はそうでであるのか、これは考えるに値することです。
 私はこれ以降、査読するときはこの精神で原稿を読むようにしています。

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論文 8 査読の精神 フクロウ論文1

2020年08月13日 | 標本
私には1枚だけ鳥について書いた論文があります。それはフクロウについてのもので、それについて紹介しましょう。八ヶ岳の麓で人口巣箱をつけてフクロウの繁殖に貢献しているグルー王があり、縁あってそのフクロウの巣箱の底に溜まっている餌の残滓を分析する機会がありました。日本のフクロウは主にアカネズミの仲間の林に住むネズミを食べること知られています。ところが、八ヶ岳のものはそういう巣箱もありましたが、草原に住むハタネズミが多いものがありました。そこで、巣箱ごとに牧場からの距離ちハタネズミの割合を調べたら、牧場に近いほどハタネズミが多いことがわかりました。ネズミの調査をしてもそれを裏付ける結果が出たので、日本の鳥類学の雑誌に出しました。ところが却下の返事が来ました。その内容はデータそのものではなく、形式や表現についてのほとんど意地悪と言えるもので、一つのコメントは世界中のロシア語なども含めた全ての文献を網羅しない限り受け付けないというものでした。それは私の論文が言いたいことに不可欠なものではないので、それが理由で断られることには納得がいきませんでした。
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論文 7 査読の戻り

2020年08月12日 | 標本
論文の投稿にも時代の変化があることを書きましたが、そういう変化にかかわらず査読結果が戻ってくるとドキドキするのは変わりません。私の場合、出した原稿がそのまま受理ということはほとんどありません。程度の差はありますが、「内容は大体良いが、以下の点を修正してください」というものが多いです。大体自分の身の丈もわかってきたので、「この内容ならこの雑誌は無理だが、こちらならなんとかなるだろう」と雑誌を選ぶので、全然ダメということは多くはありません。でも、時には「これならひょっとしたら一流の雑誌でも大丈夫かも」と背伸びしてみることもあります。この場合はさすがに、ダメということがあります。それも門前払いといって、査読以前に編集部から「内容的にうちの雑誌には相応しいので、別の雑誌を探してください」とつれない返事が来ることもあります。それはクリアして査読に回った後で、やはりダメだということもあります。そうするとやはりがっくりきます。研究者は単純なもので、逆に修正の要求はあったが、なんとかなりそうだとなると、元気が出て「ようし、直して通してやるぞ」と力が湧いてきます。

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